三國志 on 世説新語

ヘツポツ斎

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晋編3 天下統一、そして

羊祜3  羊公の鶴

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世目殷中軍:「思緯淹通,比羊叔子。」(品藻51)


東晋の時代、その智謀をもって
嘱望されたひと、殷浩いんこうについての
世の評判は、

「そのスマートな思考は、
 まるで羊祜ようこのようだ」

というものだった。


劉遵祖少為殷中軍所知,稱之於庾公。庾公甚忻然,便取為佐。既見,坐之獨榻上與語。劉爾日殊不稱,庾小失望,遂名之為「羊公鶴」。昔羊叔子有鶴善舞,嘗向客稱之。客試使驅來,氃氋而不肯舞。故稱比之。(排調47)


さて、そんな殷浩が、隠棲生活の末、
出仕した後の話となる。

殷浩の知る優れた少年の一人に、
劉爰之りゅうえんしと言う人がいた。
庾亮ゆりょうと話していた時、
殷浩はしきりに劉爰之を褒めやそす。

これは是非とも取り立てたい。
こうして劉爰之、庾亮の属官となる。

早速の召喚を受けて、
庾亮と会話する劉爰之。
だが、うまく会話が噛み合わない。
緊張なのか、不調だったのか。

ともあれ庾亮、期待ほどじゃないな、
とがっかりし、かれを
「羊公の鶴」
と呼んだ。

というのも、
羊祜は一羽の鶴を飼っていた。
この鶴、美しく舞う、
という事で評判だった。

ある日羊祜が、客人に
この鶴のことを自慢した。

それは見てみたい。
早速客人、鶴を追い立てる。

すると鶴はじたばたしてばかりで、
全然舞おうともしない。

庾亮は劉爰之を、
そんな鶴に例えたのである。


 ○


劉爰之
 ほぼ名前しか残ってないレベルの人である。挽回できなかったんだな……。

庾亮
 庾氏は八王の乱勃発時、逸早く江南の地に疎開している。この一件を見るだけでも行動力実行力の高さはよく窺える。八王の乱収束後赴任してきた、のちの元帝司馬睿しばえいに大層気に入られ、姻戚を結ぶ。その後順調に権勢を伸ばし、一時は王導おうどうをもしのぐほどとなった。しかしそのやり口はあまりに苛烈であり、多くの者からの反感を買う。結果蘇峻そしゅんの乱を招き、妹の庾文君ゆぶんくんを失った。庾亮は命からがら荊州に逃れ、陶侃とうかんに泣きつき、乱を平定してもらった。元々陶侃は庾亮の政策で痛い目に遭っていたから怨みを抱いていたのだが、実際にあったらあっさり籠絡されている。陶侃チョロいし庾亮怖い。以上をまとめると、蘇峻の乱を起こし、鎮めた人、となろうか。こう書くと、実に酷いマッチポンプである。
 陶侃亡き後、陶侃の軍府を継承。更にその軍府は西府として、弟の庾翼ゆよくを経て桓温かんおんへと引き継がれる。
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