わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される

多忙の中で

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　俺自身があのパンとジャムとジュースの村、ディオー村の開発が始まって村に何日も留まったり行き来をすることが増えたのもある。
　城に行く機会は一気に減ってとにかく忙しい日々を送っていた。

「疲れているねぇ。大丈夫？」

　それでもリューラはうちにやって来てちょこちょこ顔は見ていたが、サフィナとは顔を合わせないまま気付いたら雪もチラつく季節になっていた。

「サライド」

　珍しく父さんが部屋にやって来て慌てて突っ伏していた机から体を起こす。
　立ち上がってタイを締めようとして、既に外して放ったことに気付いた。しかも、

「床に捨てるのはやめろよ」

　それを父さんに拾われて身を縮める。

「忙しそうだな？」
「えぇ。何せ村の開発ですからね」

　タイを受け取って机に置くと、父さんは歩いていってソファーに腰を降ろした。

「なのに陛下はしょっちゅうここにいらしているみたいだけどな？」

　目は合わないのにこの威圧感。

「……あいつ、友達居ないから」

　逃れるように机にあった書類を手に取ると、父さんの深いため息が聞こえてきた。

「やはり早く身を固めた方が安心だな」

　呟くようなそれに反応すると、父さんもこっちを向く。

「式の日取りを決めるぞ」

　有無を言わせないようなその目。
　一瞬何を言われたのかもわからなかった。

「は!?ちょっ、待っ!!」

　思いもよらなかった言葉に慌てると、父さんは少し目を細めた。