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それから少ししてジョンが戸惑ったように顔を見せる。
「悪い話ではないから安心しろ」
呼ぶと、ソファーに腰掛けてお茶を飲んでいた俺の前にすぐにエミリオが案内をしてきた。
そのジョンの手には小さなバスケット。
「あ、これ……リバーさんからサライド様にも持って行くようにと……」
中から出てきたのはリンゴのタルト。
「これも焼いたのか?」
「そうですね。休みの日は大抵ネロと作ります」
ジョンを座らせてエミリオに切り分けてもらう。
切り口も美しいそのタルトを口にして決意した。
「本格的に焼き菓子を極めないか?」
「……え?」
キョトンとするジョンに少しは書き直して整えた紙を見せる。
「スイームのパンを食べたことはあるか?」
小麦を活かして俺の想像以上の出来になったあのパン。
そもそも俺がこの村に力を入れ始めたきっかけで、あれは毎朝食べても飽きない。
「はい。スイームさんのバケットに乗せたジャムに感動して、私は果物や加工したシロップなどを頂いて菓子を作るようになったので」
スイームのパンもこの村の果物加工品も口にしているなら尚更。
「それなら話が早いな。この村の開発を一気に進めている一つ目の目玉がスイームのパンだ。そして、二つ目が先王の愛した山葡萄のジュースや果物の加工品」
トンと指を差した先、書かれているのはジョンの名前。
「この菓子は三つ目になってもらいたい」
タルトを乗せた皿を持ち上げると、ジョンは驚いたような顔でこっちを見た。
「悪い話ではないから安心しろ」
呼ぶと、ソファーに腰掛けてお茶を飲んでいた俺の前にすぐにエミリオが案内をしてきた。
そのジョンの手には小さなバスケット。
「あ、これ……リバーさんからサライド様にも持って行くようにと……」
中から出てきたのはリンゴのタルト。
「これも焼いたのか?」
「そうですね。休みの日は大抵ネロと作ります」
ジョンを座らせてエミリオに切り分けてもらう。
切り口も美しいそのタルトを口にして決意した。
「本格的に焼き菓子を極めないか?」
「……え?」
キョトンとするジョンに少しは書き直して整えた紙を見せる。
「スイームのパンを食べたことはあるか?」
小麦を活かして俺の想像以上の出来になったあのパン。
そもそも俺がこの村に力を入れ始めたきっかけで、あれは毎朝食べても飽きない。
「はい。スイームさんのバケットに乗せたジャムに感動して、私は果物や加工したシロップなどを頂いて菓子を作るようになったので」
スイームのパンもこの村の果物加工品も口にしているなら尚更。
「それなら話が早いな。この村の開発を一気に進めている一つ目の目玉がスイームのパンだ。そして、二つ目が先王の愛した山葡萄のジュースや果物の加工品」
トンと指を差した先、書かれているのはジョンの名前。
「この菓子は三つ目になってもらいたい」
タルトを乗せた皿を持ち上げると、ジョンは驚いたような顔でこっちを見た。
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