わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される

やってみないか？

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　サフィナが今生活をしている屋敷は王都からは離れた場所で、ディオー村との中間にあった。
　広々とした土地には温室がいくつもあって、見たことのない珍しい植物もかなりある。

「このような場所まで御足労賜りありがとうございます」

　ハイドが頭を下げて出迎えてくれて、俺とマニエルは屋敷の中へと案内された。
　王都にあるリオッター家の屋敷でも見かけたメイドが多いのはサフィナのことをよくわかっているからかもしれない。
　視覚を奪われた不安やストレスはかなりだろうし、襲撃のトラウマや後遺症もあるだろう。
　全てをサフィナのために……そんなリオッター公爵の想いも感じられた。

「遠いところお越し頂きありがとうございます」

　案内された部屋には夫人が座っていて、俺たちの来訪に気付いて立ち上がる。

「こちらこそ、お忙しいなかお時間を頂きありがとうございます」

　頭を下げると、マニエルも合わせて頭を下げていた。

「今、お医者様が来て下さったところですので……サフィナにも会って頂けますか？」
「よろしいですか？」

　奥の部屋に案内されてすぐに目に入ったのは白衣を着た医師の向こう、ソファーに支えられながら腰掛けるあの艶やかな赤髪のサフィナ。
　隣でそのサフィナを支えている茶髪にメガネの男が婚約者のオリバーなんだろう。
　軽く会釈をされて俺たちも会釈を返した。

「どなたかいらっしゃいました？」

　鈴を転がすような令嬢モードのサフィナの声は変わらない。