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14.街へおでかけ9
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「ラインハルト、珍しく怒ってるのはいいが、こんなところで揉めるな。後は私が預かる。ローマン侯爵令息、私も人を顔貌で判断することは良くないと思う。これ以上ここで騒いでも、お互いにいいことはないだろう?考えを改め、リーディア嬢に謝罪してはどうだろうか?」
ルカがラデクに穏やかに声を掛けましたが、彼を庶民だと思っているラデクには火に油で、彼を怒鳴りつけます。
「なんだ貴様、庶民のくせに貴族に向かってその口のきき方は!」
ルカの口元に薄っすら笑いが浮かびました。レイと同じ、笑っているのに怖い笑顔です。
「私は自分が庶民だとは言っていない。貴族ではない、と言っただけだ。」
その台詞にラデクの動きが止まり、ルカを睨みつけました。
その視線を彼は真っ向から受け止めて、肩を竦めながら、
「まあ、お前の好きな身分でいうなら私の方が上だな。だが、そんなものは関係なく、お前の考えは許容し難い。で、謝罪するのか、しないのか?」
相手を見据えます。
ラデクはルカの正体がわからないことに不安を覚えたようで、一瞬、目が揺らぎました。ですが、目下の者に謝るなどという、彼の矜持を損なうことを受け入れられるわけがありません。
それが今できるなら、こうはなってないでしょう。
「そんなことをする必要はない。」
やはり、ラデクは顔を上げ、傲然と言い放ちました。
ルカは残念そうにわざとらしいため息をつき、
「そうか。なら、仕方ないな。リーディア嬢に怪我もなかったし、今日はこれで帰るか。ラインハルト、いいな?」
軽い感じに言って、隣のレイに声を掛けました。
「僕はこいつを絶対に許したくありません。」
レイの怒りは収まらないようで、ラデクを睨みつけたままです。
「まあ、そう言うな。もちろん、こういう思想は国の内部崩壊の因だから、父と兄には報告する。あとは彼らに任せる。それでいいだろ。」
笑うルカに、レイは悔しそうに返しました。
「仕方ありません。それが最善でしょう。もうここに居るのも不愉快です、帰りましょう。」
「・・・お前の父とは誰のことだ。貴族ではないと言うなら、一体・・・まさか。」
ラデクが、恐る恐るルカに問いました。そろそろ気が付きましたかね。
「決まってるだろ、父とは国王、兄とは王太子のことだよ。」
「嘘!」
ラデクが目を見開くと同時に、侯爵令嬢の悲鳴が上がりました。そりゃあ、驚きますよねえ。
驚愕のあまり立ち尽くす二人にルカが更に畳み掛けます。
「知らなかっただろうが、私は一応、第三王子だ。王宮に居るのが嫌いなもんで、幻などと言われているようだが、ま、このように実在している。残念ながら家族との中は良好で、特に兄は私があちこちで集めてきた話を喜んで聞いてくれる。この話もさぞ興味深く聞いてくれるだろうよ。」
言い捨てて、青ざめる侯爵家の二人に背を向けたルカの周りには、レイが連れてきた護衛達がいつの間にか控えています。
「ラインハルト、リーディア嬢、帰るぞ。」
ルカからそう声を掛けられて、私も二人に背を向けました。願わくばもう会いたくないですね。向こうもそう思っているのでしょうが。
しかし、歩きだしてから、ずっと心が重苦しくて、もやもやが収まりません。
しばらく悩んで、私は決断しました。
ラデクに伝わるかわかりませんが、あのような偏見に満ちた言葉によって、傷ついた人がどういう気持ちで生きていくのか知って欲しいと思うのです。
私にはレイがいてくれたので救われましたが、そうでなければ今も変わらず人の顔を見られないままだったでしょう。
そして、例え相手に響かなくとも、間違っているのはラデクの方だと言ってやりたい!
私は思い切って身体をくるりと反転させると、ラデクのところまで戻りました。
それなのに、いざ彼の顔を見ると怖くなって言葉が出ません。勇気がほしくて、ブレスレットを握りしめると、ようやく言葉が出てきてくれました。
「私は子供の頃に貴方に言われたことと、同じことを言われました。お前みたいな赤い瞳を持つ女が、じろじろ人の顔を見てるんじゃない、と。きっと貴方のような考え方の人だったのですね。あれから私は人の顔を見るのが怖くて、俯いて生きてきました。ですが、もうそう言われたことは気にしません。言った貴方の方が間違っているからです。」
慌ててやってきたレイが、はっとしたように私を見つめます。それに大丈夫、の気持ちを込めて頷き返しました。
ラデクは憎悪に満ちた目でこちらを見ると、吐き捨てた。
「お前がどうなろうと私はどうでもいい。貴様らに言われたぐらいで俺が考えを変えるとでも思うのか。」
「思いませんが、だからといって私が間違っていると思う貴方に従う理由もありません。やっとそう気が付きました。」
ルカは護衛とともに先を歩いています。
レイと私は横に並んで、後ろからついて行きます。
私は黙って横を歩いている彼の袖を摘んで、謝罪しました。
「レイ、ごめんなさい。私、あんなふうに言われて自分を抑えられなくて、大事になってしまいました。」
彼は驚いたように私を見て、くしゃっと顔を歪ませました。
「いや、謝るのは僕の方だ。エリク殿から頼まれていたのに、君から離れて辛い目に合わせてしまった。反省してる。でも、リディは強かったね。自分で過去の呪縛から抜け出すことができた。僕の出る幕はなかったよ。」
その言葉に私は大きく首を振りました。
「いいえ、私がそうできたのは、何があってもレイが私といてくれると思えたからです。貴方と会っていなければ私は今まで通り、俯いて黙っていたでしょう。私の婚約者になってくれてありがとうございます。」
それを聞いた途端、レイは赤くなってその場に立ち止まりました。
その気配に振り返ったルカが、レイを見てにやっと笑うと、
「リーディア嬢、その男は今、貴方に対して良からぬことを考えているから離れた方がいい。」
と言って寄越しました。
それを聞いて、思わず袖から離した私の手を、レイがすかさず掴み直して、ルカに言い返します。
「そんなこと考えてないですよ!僕は、ただ、リーディアがあんまりにも可愛いことを言ってくれるから・・・。・・・いや、良からぬことじゃないと思うんだけど・・・。」
言いながら、段々声が小さくなって、最後は片手で顔を覆って俯いてしまいました。その様子を見ていた私は、何故か赤くなってしまいました。
数歩、戻って来たルカは呆れ返ったように私達を見やると、
「本当にお前達は、よくもそれだけいちゃつけるものだな。もう付き合ってられん。私は先に帰る。ラインハルト、彼女を送り届けたら私の部屋に来い。」
と言い捨て、目を逸らしてくれていた護衛を促し、足早に去って行きました。
よく考えたら護衛の方々はレイの同僚ではないのでしょうか。明日、大丈夫ですかね。
レイは片手を上げてルカに応えると、その手で顔を隠しつつ、こちらをちらりと見遣り、
「大丈夫、さすがに僕だってこんな人目があるところでは何もしないから。」
と手を繋いだまま歩きだしました。これはこれでどうかと思いますが。
帰る途中、ふとルカとの会話を思い出しました。
「そう言えば、レイ。今日、ルカーシュ殿下に花言葉の話を聞いたのですが、ナズナの花言葉は何ですか?」
「今、それ、聞く?え、僕が贈った他の花の花言葉って知ってるの?」
彼は笑顔のまま、固まりました。
「いいえ、ルカーシュ殿下は自分で調べてみろと。ですから、今度、図書館に調べに行くつもりです。私、貴方にナズナの刺繍をしたハンカチを贈ってしまいましたので、悪い意味がないか心配になってしまいまして。ご存知ではありませんか?」
「ああ、そういうことね。そうだなあ、知らないままのほうが良かったんだけど・・・」
つぶやきながら、彼は私の頭を自分の胸に抱え込むようにして、耳元でささやきました。
「顔を見ながらは言いづらいから、このままで聞いてくれる?ナズナの花言葉は、『あなたに私の全てを捧げます』」
ルカがラデクに穏やかに声を掛けましたが、彼を庶民だと思っているラデクには火に油で、彼を怒鳴りつけます。
「なんだ貴様、庶民のくせに貴族に向かってその口のきき方は!」
ルカの口元に薄っすら笑いが浮かびました。レイと同じ、笑っているのに怖い笑顔です。
「私は自分が庶民だとは言っていない。貴族ではない、と言っただけだ。」
その台詞にラデクの動きが止まり、ルカを睨みつけました。
その視線を彼は真っ向から受け止めて、肩を竦めながら、
「まあ、お前の好きな身分でいうなら私の方が上だな。だが、そんなものは関係なく、お前の考えは許容し難い。で、謝罪するのか、しないのか?」
相手を見据えます。
ラデクはルカの正体がわからないことに不安を覚えたようで、一瞬、目が揺らぎました。ですが、目下の者に謝るなどという、彼の矜持を損なうことを受け入れられるわけがありません。
それが今できるなら、こうはなってないでしょう。
「そんなことをする必要はない。」
やはり、ラデクは顔を上げ、傲然と言い放ちました。
ルカは残念そうにわざとらしいため息をつき、
「そうか。なら、仕方ないな。リーディア嬢に怪我もなかったし、今日はこれで帰るか。ラインハルト、いいな?」
軽い感じに言って、隣のレイに声を掛けました。
「僕はこいつを絶対に許したくありません。」
レイの怒りは収まらないようで、ラデクを睨みつけたままです。
「まあ、そう言うな。もちろん、こういう思想は国の内部崩壊の因だから、父と兄には報告する。あとは彼らに任せる。それでいいだろ。」
笑うルカに、レイは悔しそうに返しました。
「仕方ありません。それが最善でしょう。もうここに居るのも不愉快です、帰りましょう。」
「・・・お前の父とは誰のことだ。貴族ではないと言うなら、一体・・・まさか。」
ラデクが、恐る恐るルカに問いました。そろそろ気が付きましたかね。
「決まってるだろ、父とは国王、兄とは王太子のことだよ。」
「嘘!」
ラデクが目を見開くと同時に、侯爵令嬢の悲鳴が上がりました。そりゃあ、驚きますよねえ。
驚愕のあまり立ち尽くす二人にルカが更に畳み掛けます。
「知らなかっただろうが、私は一応、第三王子だ。王宮に居るのが嫌いなもんで、幻などと言われているようだが、ま、このように実在している。残念ながら家族との中は良好で、特に兄は私があちこちで集めてきた話を喜んで聞いてくれる。この話もさぞ興味深く聞いてくれるだろうよ。」
言い捨てて、青ざめる侯爵家の二人に背を向けたルカの周りには、レイが連れてきた護衛達がいつの間にか控えています。
「ラインハルト、リーディア嬢、帰るぞ。」
ルカからそう声を掛けられて、私も二人に背を向けました。願わくばもう会いたくないですね。向こうもそう思っているのでしょうが。
しかし、歩きだしてから、ずっと心が重苦しくて、もやもやが収まりません。
しばらく悩んで、私は決断しました。
ラデクに伝わるかわかりませんが、あのような偏見に満ちた言葉によって、傷ついた人がどういう気持ちで生きていくのか知って欲しいと思うのです。
私にはレイがいてくれたので救われましたが、そうでなければ今も変わらず人の顔を見られないままだったでしょう。
そして、例え相手に響かなくとも、間違っているのはラデクの方だと言ってやりたい!
私は思い切って身体をくるりと反転させると、ラデクのところまで戻りました。
それなのに、いざ彼の顔を見ると怖くなって言葉が出ません。勇気がほしくて、ブレスレットを握りしめると、ようやく言葉が出てきてくれました。
「私は子供の頃に貴方に言われたことと、同じことを言われました。お前みたいな赤い瞳を持つ女が、じろじろ人の顔を見てるんじゃない、と。きっと貴方のような考え方の人だったのですね。あれから私は人の顔を見るのが怖くて、俯いて生きてきました。ですが、もうそう言われたことは気にしません。言った貴方の方が間違っているからです。」
慌ててやってきたレイが、はっとしたように私を見つめます。それに大丈夫、の気持ちを込めて頷き返しました。
ラデクは憎悪に満ちた目でこちらを見ると、吐き捨てた。
「お前がどうなろうと私はどうでもいい。貴様らに言われたぐらいで俺が考えを変えるとでも思うのか。」
「思いませんが、だからといって私が間違っていると思う貴方に従う理由もありません。やっとそう気が付きました。」
ルカは護衛とともに先を歩いています。
レイと私は横に並んで、後ろからついて行きます。
私は黙って横を歩いている彼の袖を摘んで、謝罪しました。
「レイ、ごめんなさい。私、あんなふうに言われて自分を抑えられなくて、大事になってしまいました。」
彼は驚いたように私を見て、くしゃっと顔を歪ませました。
「いや、謝るのは僕の方だ。エリク殿から頼まれていたのに、君から離れて辛い目に合わせてしまった。反省してる。でも、リディは強かったね。自分で過去の呪縛から抜け出すことができた。僕の出る幕はなかったよ。」
その言葉に私は大きく首を振りました。
「いいえ、私がそうできたのは、何があってもレイが私といてくれると思えたからです。貴方と会っていなければ私は今まで通り、俯いて黙っていたでしょう。私の婚約者になってくれてありがとうございます。」
それを聞いた途端、レイは赤くなってその場に立ち止まりました。
その気配に振り返ったルカが、レイを見てにやっと笑うと、
「リーディア嬢、その男は今、貴方に対して良からぬことを考えているから離れた方がいい。」
と言って寄越しました。
それを聞いて、思わず袖から離した私の手を、レイがすかさず掴み直して、ルカに言い返します。
「そんなこと考えてないですよ!僕は、ただ、リーディアがあんまりにも可愛いことを言ってくれるから・・・。・・・いや、良からぬことじゃないと思うんだけど・・・。」
言いながら、段々声が小さくなって、最後は片手で顔を覆って俯いてしまいました。その様子を見ていた私は、何故か赤くなってしまいました。
数歩、戻って来たルカは呆れ返ったように私達を見やると、
「本当にお前達は、よくもそれだけいちゃつけるものだな。もう付き合ってられん。私は先に帰る。ラインハルト、彼女を送り届けたら私の部屋に来い。」
と言い捨て、目を逸らしてくれていた護衛を促し、足早に去って行きました。
よく考えたら護衛の方々はレイの同僚ではないのでしょうか。明日、大丈夫ですかね。
レイは片手を上げてルカに応えると、その手で顔を隠しつつ、こちらをちらりと見遣り、
「大丈夫、さすがに僕だってこんな人目があるところでは何もしないから。」
と手を繋いだまま歩きだしました。これはこれでどうかと思いますが。
帰る途中、ふとルカとの会話を思い出しました。
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彼は笑顔のまま、固まりました。
「いいえ、ルカーシュ殿下は自分で調べてみろと。ですから、今度、図書館に調べに行くつもりです。私、貴方にナズナの刺繍をしたハンカチを贈ってしまいましたので、悪い意味がないか心配になってしまいまして。ご存知ではありませんか?」
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