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15.婚約破棄騒動1
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む、無理。こんなの知ったら花壇の前で平常心ではいられません。
顔の下にあるノートを見直して、私は机に突っ伏してしまいました。
そこに書いてあるのは、毎年レイから匿名で贈られた花の名前とその花言葉です。
《10歳の誕生日、リナリア「この恋に気づいて」
11歳の誕生日、ベゴニア「片想い」「愛の告白」
12歳の誕生日、サンビタリア「私を見つめて」
13歳の誕生日、忘れな草「真実の愛」「私を忘れないで」
14歳の誕生日、スイセンノウ「私の愛は不変」
15歳の誕生日、ミニバラ「果てしなき愛」》
段々、重くなってませんか?
花言葉って、思ってたよりストレートなのですね。
あ、ミニバラは色によっても意味が違うらしいです、もらった赤は「愛情」「情熱」「猛烈な恋」「内気な愛らしさ」・・・レイは、どれのつもりでくれたのでしょう・・・。
お行儀悪くも、頬を机にくっつけたまま、ぼんやりしていたら、案の定、部屋に入ってきた侍女のニコラに叱られました。
「お嬢様、顔に跡が付きますよ。これからお茶会に行かれるのでしょう?そろそろ支度をなさってください。」
「そうだけど、今日はなんだか行きたくないわ。」
図書館で借りてきた本から花言葉を書き写していたら、レイに会いたくなってしまったのです。
でも今月、彼はずっと第三王子であるルカーシュ殿下の護衛です。会えるわけがありません。そう思うと何にもやる気がなくなってしまいました。
ニコラは、呆れたようにため息をつくと、持っていた何かを私の顔の前に置きました。
「お嬢様、婚約者様からのお手紙ですよ。これで、元気を出して下さい。」
「レイからの手紙?!なんて凄いタイミングかしら!」
がばっと起き上がった私は、手紙を素早くペーパーナイフで開封すると便箋を取り出します。
「あれ?1枚しかないです。」
いつもなら、最低でもニ枚以上は入っているのですが。思わず、差出人の名前を確かめましたが、間違いなく彼からでした。
「レイもお疲れなのでしょう。」
つぶやきながら、折畳まれた便箋を開いて、またもや目を疑いました。
いつもならびっしり書いてあるはずの文字が、真ん中の方に数行だけで終わっています。
「一体、何事でしょうか?」
そのいつもよりずっと乱れた、走り書きのような文字を辿ると、『国王陛下の許可がようやく下りたので、僕達は今日から正式な婚約者です。遠慮なくお友達に話して大丈夫だよ。』と書いてありました。
「おおう・・・」
思わず間抜けな声が漏れます。
あの約束した日から約二ヶ月、ようやく正式な婚約者になったわけですから、嬉しいに決まっています。
が、放っといても家族の誰かから私に伝わることを、わざわざ、今日この時間に電報のように大急ぎで伝えてきた彼の意図が明確過ぎて、私は恐れ慄きました。
これって、意訳すれば『今からお友達とお茶会だよね。正式な婚約者になったことだし、隠さず僕と婚約したってきちんと伝えてくるんだよ?』
ってことですよね?私、穿ったこと言ってませんよね?
支度を手伝ってもらいながらニコラにも確認してみたところ、そのとおりだと思いますと言われましたし。
急にお茶会のハードルが上がった気がします。
今日は仲のいい四人だけの私的なお茶会なので、気楽におしゃべりして来るだけのつもりだったのに、婚約したって言わなきゃ駄目ですかねえ。
ぐずぐず悩んでいたら、ニコラが怖い顔で私の両肩に手を置き、かんで含めるように話してきました。
「いいですか、お嬢様。ラインハルト様は、親切にもお嬢様がお友達に話しやすいように、正式に決まったと言うことをわざわざ伝えてくださったのですよ。本日は一番仲良くして頂いているご令嬢方と会われるのですよね。皆さん、他の方からお聞きになるより、お嬢様から直接報告してもらうほうが嬉しいに決まっています。」
「そ、そうね。ニコラの言う通りだわ。」
その剣幕に私は頷くしかありませんでした。
私がお茶会の場所に着いた時、もう皆さん揃っておいででした。やはり、ぐずぐずしていたのがいけなかったようです。次から気をつけます。
何度も来て、勝手知ったる人様の庭なので、案内してくれているメイドを追い抜きそうになりながら急いで近づいて行くと、
「リーディア、急ぐと転びますよ。皆、待っているからゆっくりおいでなさい。」
と声を掛けてくれたのは、スラリとした長身で一つ年上のステラ・アッカーマン侯爵令嬢。
本日の会場の主です。アッカーマン侯爵家は城の近くに屋敷があり、庭が広大で多種多様な珍しい植物を集めて栽培している事で有名です。ですので、晴れた日のお茶会はいつも庭で行われます。
「リーディアが遅れてくるのは珍しいわね。そのドレス、新作ね?後でゆっくり見せて頂戴。」
そう眼鏡をきらりと光らせて言ったのは、アリツェ・ハース子爵令嬢。
私と同じ歳でもうすぐ一緒に学院に通うことになっています。
彼女の家はドレスショップをいくつか持っていて、うちと取引があり、彼女もドレスなどが大好きです。なので、会うときはいつも新作ドレスを着ていきます。お披露目してそのまま商談になることも。
「リディお姉様、お久しぶりです。」
私を姉と呼ぶ可愛らしいカロリーナ・トット伯爵令嬢は一つ年下で、末っ子の私は姉気分を味わわせてもらっています。彼女はここに居る皆を姉と呼んでいますが。
三人とも濃淡の差こそあれ、金の髪に青い目の美しい方たちです。
先日のローマン子息とのやり取りを思い出し、彼女たちはそんなことを思っていない、私も気にしないで堂々とすると決めたはずなのに、そっと紅い目を伏せてしまいました。
「リーディア、いらっしゃい。久しぶりに貴方に会えて嬉しいわ。」
ステラの優しい声に、これではいけないと顔を上げ、笑顔で挨拶をして席につきました。
私はもっと強くならねば。
美味しいお茶に色とりどりのお菓子が並ぶテーブルを囲んで、女の子だけの会話が始まります。
最初は待てないアリツェが、私の着ているドレスの話を聞きたがります。
これは海の向こうの国の新作だそうで、自然の色を布地に再現する試みによって生まれたものらしいです。
私が来ているのは夕焼けの茜色ですが、皆には空の青や海の碧、夜の始まりの紫も似合うのではないでしょうか。
そんな説明をしますと、皆うっとりと自分が着たところを想像しているようです。
いえ、アリツェは店に並んだ様子や、どれだけのお客が買ってくれるかを眼鏡の奥で想像していますね。
次は学院の話を少々。この九月から通うアリツェと私は、昨年から通っているステラに色々教えてもらって心構えをしているのです。
カロリーナは来年ですが、まだ通うかどうかは決まっていないそうです。
学院に行くのは義務ではないので、最後まで家庭教師に教えてもらったり、私達のように高等部の三年間だけ通ったり、レイの様に中等部から寮に入って通う、ルカーシュ殿下の様に初等部から寮に入って通う、など色々な学び方ができます。
あと数ヶ月で学院生活が始まると思うとわくわくしますね。最近、アリツェとの手紙もその話ばかりです。
学院の話ばかりだとカロリーナがつまらなさそうなので、ステラが次の話題を振ってくれました。
「そうそう、いつも話しているランの君の話なのですけどね。こないだ夜会でお話したら、どうも婚約なさったようなのよ。」
「ええっ、そんなあ。一度踊って頂きたかったのに~。」
「婚約者の方とずっと踊られるわけではないので、カロリーナも踊る機会はあると思うわ。」
「ステラお姉様、是非紹介してくださいね!」
この四人の中で社交界に出ているのはステラだけです。
特にデビューがまだ先のカロリーナは社交界への憧れが強くて、素敵な貴公子とお話にでてくるような恋をしたいと常々言っています。
いつもなら、恋愛小説は現実には起こらないことだからと思いながら聞いていました。
ですが、現在、自分の身に起こっていることを考えたら、あり得ないことではないと分かったので、認識を改めます。
今日はそう、自分の話をしなければならないのでした。
言い出すタイミングは今なのではないかと思いつつも、なかなか言い出せないまま、会話が進んでいきます。
顔の下にあるノートを見直して、私は机に突っ伏してしまいました。
そこに書いてあるのは、毎年レイから匿名で贈られた花の名前とその花言葉です。
《10歳の誕生日、リナリア「この恋に気づいて」
11歳の誕生日、ベゴニア「片想い」「愛の告白」
12歳の誕生日、サンビタリア「私を見つめて」
13歳の誕生日、忘れな草「真実の愛」「私を忘れないで」
14歳の誕生日、スイセンノウ「私の愛は不変」
15歳の誕生日、ミニバラ「果てしなき愛」》
段々、重くなってませんか?
花言葉って、思ってたよりストレートなのですね。
あ、ミニバラは色によっても意味が違うらしいです、もらった赤は「愛情」「情熱」「猛烈な恋」「内気な愛らしさ」・・・レイは、どれのつもりでくれたのでしょう・・・。
お行儀悪くも、頬を机にくっつけたまま、ぼんやりしていたら、案の定、部屋に入ってきた侍女のニコラに叱られました。
「お嬢様、顔に跡が付きますよ。これからお茶会に行かれるのでしょう?そろそろ支度をなさってください。」
「そうだけど、今日はなんだか行きたくないわ。」
図書館で借りてきた本から花言葉を書き写していたら、レイに会いたくなってしまったのです。
でも今月、彼はずっと第三王子であるルカーシュ殿下の護衛です。会えるわけがありません。そう思うと何にもやる気がなくなってしまいました。
ニコラは、呆れたようにため息をつくと、持っていた何かを私の顔の前に置きました。
「お嬢様、婚約者様からのお手紙ですよ。これで、元気を出して下さい。」
「レイからの手紙?!なんて凄いタイミングかしら!」
がばっと起き上がった私は、手紙を素早くペーパーナイフで開封すると便箋を取り出します。
「あれ?1枚しかないです。」
いつもなら、最低でもニ枚以上は入っているのですが。思わず、差出人の名前を確かめましたが、間違いなく彼からでした。
「レイもお疲れなのでしょう。」
つぶやきながら、折畳まれた便箋を開いて、またもや目を疑いました。
いつもならびっしり書いてあるはずの文字が、真ん中の方に数行だけで終わっています。
「一体、何事でしょうか?」
そのいつもよりずっと乱れた、走り書きのような文字を辿ると、『国王陛下の許可がようやく下りたので、僕達は今日から正式な婚約者です。遠慮なくお友達に話して大丈夫だよ。』と書いてありました。
「おおう・・・」
思わず間抜けな声が漏れます。
あの約束した日から約二ヶ月、ようやく正式な婚約者になったわけですから、嬉しいに決まっています。
が、放っといても家族の誰かから私に伝わることを、わざわざ、今日この時間に電報のように大急ぎで伝えてきた彼の意図が明確過ぎて、私は恐れ慄きました。
これって、意訳すれば『今からお友達とお茶会だよね。正式な婚約者になったことだし、隠さず僕と婚約したってきちんと伝えてくるんだよ?』
ってことですよね?私、穿ったこと言ってませんよね?
支度を手伝ってもらいながらニコラにも確認してみたところ、そのとおりだと思いますと言われましたし。
急にお茶会のハードルが上がった気がします。
今日は仲のいい四人だけの私的なお茶会なので、気楽におしゃべりして来るだけのつもりだったのに、婚約したって言わなきゃ駄目ですかねえ。
ぐずぐず悩んでいたら、ニコラが怖い顔で私の両肩に手を置き、かんで含めるように話してきました。
「いいですか、お嬢様。ラインハルト様は、親切にもお嬢様がお友達に話しやすいように、正式に決まったと言うことをわざわざ伝えてくださったのですよ。本日は一番仲良くして頂いているご令嬢方と会われるのですよね。皆さん、他の方からお聞きになるより、お嬢様から直接報告してもらうほうが嬉しいに決まっています。」
「そ、そうね。ニコラの言う通りだわ。」
その剣幕に私は頷くしかありませんでした。
私がお茶会の場所に着いた時、もう皆さん揃っておいででした。やはり、ぐずぐずしていたのがいけなかったようです。次から気をつけます。
何度も来て、勝手知ったる人様の庭なので、案内してくれているメイドを追い抜きそうになりながら急いで近づいて行くと、
「リーディア、急ぐと転びますよ。皆、待っているからゆっくりおいでなさい。」
と声を掛けてくれたのは、スラリとした長身で一つ年上のステラ・アッカーマン侯爵令嬢。
本日の会場の主です。アッカーマン侯爵家は城の近くに屋敷があり、庭が広大で多種多様な珍しい植物を集めて栽培している事で有名です。ですので、晴れた日のお茶会はいつも庭で行われます。
「リーディアが遅れてくるのは珍しいわね。そのドレス、新作ね?後でゆっくり見せて頂戴。」
そう眼鏡をきらりと光らせて言ったのは、アリツェ・ハース子爵令嬢。
私と同じ歳でもうすぐ一緒に学院に通うことになっています。
彼女の家はドレスショップをいくつか持っていて、うちと取引があり、彼女もドレスなどが大好きです。なので、会うときはいつも新作ドレスを着ていきます。お披露目してそのまま商談になることも。
「リディお姉様、お久しぶりです。」
私を姉と呼ぶ可愛らしいカロリーナ・トット伯爵令嬢は一つ年下で、末っ子の私は姉気分を味わわせてもらっています。彼女はここに居る皆を姉と呼んでいますが。
三人とも濃淡の差こそあれ、金の髪に青い目の美しい方たちです。
先日のローマン子息とのやり取りを思い出し、彼女たちはそんなことを思っていない、私も気にしないで堂々とすると決めたはずなのに、そっと紅い目を伏せてしまいました。
「リーディア、いらっしゃい。久しぶりに貴方に会えて嬉しいわ。」
ステラの優しい声に、これではいけないと顔を上げ、笑顔で挨拶をして席につきました。
私はもっと強くならねば。
美味しいお茶に色とりどりのお菓子が並ぶテーブルを囲んで、女の子だけの会話が始まります。
最初は待てないアリツェが、私の着ているドレスの話を聞きたがります。
これは海の向こうの国の新作だそうで、自然の色を布地に再現する試みによって生まれたものらしいです。
私が来ているのは夕焼けの茜色ですが、皆には空の青や海の碧、夜の始まりの紫も似合うのではないでしょうか。
そんな説明をしますと、皆うっとりと自分が着たところを想像しているようです。
いえ、アリツェは店に並んだ様子や、どれだけのお客が買ってくれるかを眼鏡の奥で想像していますね。
次は学院の話を少々。この九月から通うアリツェと私は、昨年から通っているステラに色々教えてもらって心構えをしているのです。
カロリーナは来年ですが、まだ通うかどうかは決まっていないそうです。
学院に行くのは義務ではないので、最後まで家庭教師に教えてもらったり、私達のように高等部の三年間だけ通ったり、レイの様に中等部から寮に入って通う、ルカーシュ殿下の様に初等部から寮に入って通う、など色々な学び方ができます。
あと数ヶ月で学院生活が始まると思うとわくわくしますね。最近、アリツェとの手紙もその話ばかりです。
学院の話ばかりだとカロリーナがつまらなさそうなので、ステラが次の話題を振ってくれました。
「そうそう、いつも話しているランの君の話なのですけどね。こないだ夜会でお話したら、どうも婚約なさったようなのよ。」
「ええっ、そんなあ。一度踊って頂きたかったのに~。」
「婚約者の方とずっと踊られるわけではないので、カロリーナも踊る機会はあると思うわ。」
「ステラお姉様、是非紹介してくださいね!」
この四人の中で社交界に出ているのはステラだけです。
特にデビューがまだ先のカロリーナは社交界への憧れが強くて、素敵な貴公子とお話にでてくるような恋をしたいと常々言っています。
いつもなら、恋愛小説は現実には起こらないことだからと思いながら聞いていました。
ですが、現在、自分の身に起こっていることを考えたら、あり得ないことではないと分かったので、認識を改めます。
今日はそう、自分の話をしなければならないのでした。
言い出すタイミングは今なのではないかと思いつつも、なかなか言い出せないまま、会話が進んでいきます。
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