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ベトナム3日・カンボジア11日滞在編
カンボジア退部の真相
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野々下 灯枇はそもそもとして、強烈な受験英語コンプレックスの持ち主である。
その上普段から、面白くも何ともないのに要求される作り笑いが大の苦手だった。それと、出したくもない大声を、言われた通り張り上げる事まで謎の羞恥心に邪魔されて難しかった。結果として、接客アルバイトの面接は全滅し、泣く泣くアルバイトの募集サイトをネットサーフィンした結果、誰でもウェルカムな派遣アルバイトを発見して登録し、細々と単発アルバイトをこなす事で、何とか小遣いレベルのバイト代を稼ぐことが出来た。
ちなみに大学生時代の灯枇の小遣いは、昼食代を含め月5千円ぽっちである。つまり灯枇の自由になる金は、精々月1万円以下がやっとの額であり、これは時給の高い深夜の居酒屋バイトでがっぽり稼げる連中や、もしくは有利子返済の奨学金をパチンコで浪費し、毎月の部費や打ち上げ代を滞納しても、全く悪びれない猛者共と比べても圧倒的に少ない。しかも灯枇の卑怯者な母親は、少ないバイト代を理由に小遣い打ち切りまで仄めかすのだ。
つまりはそういう訳で、灯枇は若草学園大学1年時に、研修希望者達が死にものぐるいで英語を勉強した上でやっと行く、高額のニューヨーク研修にも参加しておらず、従って、ろくすっぽ英語を話せず、リスニング的な英語理解も良くて中学生並みかそれ以下だった。
そんな灯枇は、徐々に近付く最高学年に怯えていた。何故なら大学の運動部において、先輩学生という存在は、快く後輩学生に自販機のジュースやらファミレスの食事をおごり、おごられた後輩学生は、ありがたくそれらを享受して、次代の後輩達にも全く同じ事をする責務があるからだ。
もちろん誰からもやれとは言われないが、周りが皆そうしているのに、灯枇だけが金欠を理由に責務を免れる訳には行かない。男子学生ほどでは無いにせよ、灯枇にだって他の同学年達に対する申し訳なさと、意地やプライドという物が備わっている。それにおごってくれた先輩方に対しての申し訳も立たない。
だから灯枇はどうにかして、周りと上手く馴染めないながらも、大変親切にして貰った水泳部からは、適切な名目を立てて退部する必要があった。
実際のところ、「International Internship」講義の実践編であるベトナム及びカンボジア渡航費は、灯枇のような成績劣等生でも大学から2万円の支援金を出して貰えた。更には親戚家族からの餞別もあり、灯枇の懐は、未だかつて無いほどに潤っていた。そして何より、灯枇はどんなに無理無茶無謀でも、一度くらいは海外に行ってみたかったのだ。
しかしだからといって、水泳部を退部する必要性は、実のところ全く無かった。表向きには渡航費用をバイト代で返すために水泳部を辞め、支出を減らしアルバイトを始めなくてはならないからという理屈だったが、灯枇はそれを、よりによって新歓の時に、部長と副部長に伝えてしまった。一応場所的にはボウリング場内の喫煙所であり、部長と副部長以外、周りには、ほとんど誰も居なかったとはいえ、なかなかに大胆不敵な退部宣言である。
その上普段から、面白くも何ともないのに要求される作り笑いが大の苦手だった。それと、出したくもない大声を、言われた通り張り上げる事まで謎の羞恥心に邪魔されて難しかった。結果として、接客アルバイトの面接は全滅し、泣く泣くアルバイトの募集サイトをネットサーフィンした結果、誰でもウェルカムな派遣アルバイトを発見して登録し、細々と単発アルバイトをこなす事で、何とか小遣いレベルのバイト代を稼ぐことが出来た。
ちなみに大学生時代の灯枇の小遣いは、昼食代を含め月5千円ぽっちである。つまり灯枇の自由になる金は、精々月1万円以下がやっとの額であり、これは時給の高い深夜の居酒屋バイトでがっぽり稼げる連中や、もしくは有利子返済の奨学金をパチンコで浪費し、毎月の部費や打ち上げ代を滞納しても、全く悪びれない猛者共と比べても圧倒的に少ない。しかも灯枇の卑怯者な母親は、少ないバイト代を理由に小遣い打ち切りまで仄めかすのだ。
つまりはそういう訳で、灯枇は若草学園大学1年時に、研修希望者達が死にものぐるいで英語を勉強した上でやっと行く、高額のニューヨーク研修にも参加しておらず、従って、ろくすっぽ英語を話せず、リスニング的な英語理解も良くて中学生並みかそれ以下だった。
そんな灯枇は、徐々に近付く最高学年に怯えていた。何故なら大学の運動部において、先輩学生という存在は、快く後輩学生に自販機のジュースやらファミレスの食事をおごり、おごられた後輩学生は、ありがたくそれらを享受して、次代の後輩達にも全く同じ事をする責務があるからだ。
もちろん誰からもやれとは言われないが、周りが皆そうしているのに、灯枇だけが金欠を理由に責務を免れる訳には行かない。男子学生ほどでは無いにせよ、灯枇にだって他の同学年達に対する申し訳なさと、意地やプライドという物が備わっている。それにおごってくれた先輩方に対しての申し訳も立たない。
だから灯枇はどうにかして、周りと上手く馴染めないながらも、大変親切にして貰った水泳部からは、適切な名目を立てて退部する必要があった。
実際のところ、「International Internship」講義の実践編であるベトナム及びカンボジア渡航費は、灯枇のような成績劣等生でも大学から2万円の支援金を出して貰えた。更には親戚家族からの餞別もあり、灯枇の懐は、未だかつて無いほどに潤っていた。そして何より、灯枇はどんなに無理無茶無謀でも、一度くらいは海外に行ってみたかったのだ。
しかしだからといって、水泳部を退部する必要性は、実のところ全く無かった。表向きには渡航費用をバイト代で返すために水泳部を辞め、支出を減らしアルバイトを始めなくてはならないからという理屈だったが、灯枇はそれを、よりによって新歓の時に、部長と副部長に伝えてしまった。一応場所的にはボウリング場内の喫煙所であり、部長と副部長以外、周りには、ほとんど誰も居なかったとはいえ、なかなかに大胆不敵な退部宣言である。
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