謙信の甥に転生! 龍馬の日本を戦国から始める

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第50話 1536年 6歳 武芸大会始めるぞ ⑦ 物真似男

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⑩ 物真似男



次の試合を見た。



片方の男が、やや劣勢。

だが――どこかおかしい。



審判の口が、動いていない。



その瞬間。



「――終了!」



確かに、審判の声が響いた。



優勢だった男が、反射的に手を止める。

その一瞬。



劣勢だった男が踏み込み――

逆転。

一本。



次の瞬間、会場が爆発した。



「ふざけるな!」

「今の反則だろ!」

「審判、何やってる!」



罵声の嵐。



俺は即座に言った。





「……あの男を、スカウト小屋へ」



スカウト小屋。



男は落ち着いた様子で立っていた。

俺が口を開く。





「名前は?」



次の瞬間――



清水

「清水新明です」



……俺の声だ。



安田

「無礼であるぞ!」



即座に――



清水

「無礼であるぞ!」

(安田の声)



安田

「やめろ、お前!」



清水

「やめろ、お前!」

(安田の声)



安田が半歩前に出る。





「――もうやめろ」



空気が止まる。





「次、誰かの真似をしたら、

 賞金は無しだ」



清水は青ざめ、慌てて平伏した。



清水

「も、申し訳ありません!」





「聞く。

 何のために、この大会に参加した?」



清水

「……病気の子供のためです」





「物真似は、どうやって覚えた?」



清水は一瞬だけ迷い、

それから正直に答えた。



清水

「病気で伏せっている子供を、

 笑わせたくて……」



清水

「覚えていくうちに、

 才能があると分かりました」



……最後の一言、

また安田の声だった。



安田が無言で睨む。



俺は咳払いを一つ。





「北爺」



北爺

「は」





「こいつ、黒子で使えるか?」



北爺は清水を一瞥し、即答した。



北爺

「夜。

 敵城で門を開けさせる時に使えますな」





「だろうな」



俺は清水を見る。





「登れ」



清水

「……はい?」





「木登りの試験だ」



特殊技能持ちだ。

油まみれでツルツルの木――

そこまでの無茶はさせない。



普通の木にした。



清水は一度、深呼吸し、

――スルスルと登った。



速い。

無駄がない。



あっという間に合格。





「物真似ができる。

 忍び込める。

 声も使える」





「十分だ」





「採用する」



清水は、何度も頭を下げた。



物真似男。

だが――

戦場では、立派な武器だ。
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