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第79話 1536年 6歳 揚北衆との戦いだぞ
しおりを挟む赤目からの報告。
――あと十分。
揚北衆連合、五千。
陣形は鶴翼(一)。
竹俣清綱、色部勝長、中条藤資。
後に謙信二十五将と呼ばれる名将達だ。
俺が先を急ぎ、
魚鱗(◇)で中央突破を狙うと読んでいる。
だから、鶴翼。
名将と戦う時は、
まず相手の意図通りに動く。
そこから、意表を突く。
謙信にも教えた言葉だ。
「正をもって合し、奇をもって勝つ」
俺は“奇”の部分を、
雷蔵、胤嵐、空曹、風馬、小島にだけ話した。
俺達は**魚鱗(◇)**の陣を取る。
縦陣だ。
前と左右、三部隊に分ける。
前――
ヤンキー兄弟、井口剣一。
軽装歩兵兼任。
左――
胤嵐。
右――
雷蔵。
中央には遊撃隊。
ただし、これは重装騎兵に変える。
最後部に軽騎兵。
左右に分ける。
左:風馬
右:小島弥太郎
前
■
ヤンキー兄弟
井口剣一
■ ■
左 右
胤嵐 雷蔵
■
中央
重装騎兵
■ ■
後左 後右
風馬 小島弥太郎
このまま前進すれば、
魚鱗(◇)は鶴翼(一)に包まれる。
鶴翼が閉じれば――
(∪)
包囲殲滅だ。
敵が見えた。
鶴翼(一)。
俺達が中央突破すると見て、
中央は厚い。
手こずる間に、
左右の翼で包み込む腹だ。
ヤンキー兄弟が前に出る。
「今から俺達ぶっ込むからよー!」
敵から聞こえるのは、苦笑。
「何だ、あの珍獣は?」
敵の目が、中央に集中する。
その瞬間。
軽騎兵が左右に分かれ、
鶴翼(∪)の翼の先端に突撃。
遅れて、
重装歩兵も左右の翼先端へ。
風馬と小島弥太郎。
突破力は十分。
翼の先端を貫けば、
後方へ回り込める。
つまり――
包囲の逆転だ。
敵は慌てて中央の兵を左右に回す。
中央が、薄くなる。
敵からは見えない。
重装歩兵の後ろに、
重装騎兵が控えていることを。
俺は合図を送る。
空曹以下二百。
重装騎兵、突入。
敵:鶴翼(一)
↓
雷蔵突破 → ∪ ← 胤嵐突破
↓
中央が薄くなる
↓
重装騎兵(■)が突破
遅れて、
前方の重装歩兵も中央へ。
敵は混乱する。
槍が通らない。
だが、
こちらの十字槍は
首と足を正確に突いていく。
重装騎兵が中央突破、背面展開。
数が足りない部分を
重装歩兵が支える。
両翼も突破。
包囲完成。
包囲が優位なのは単純だ。
敵は攻撃出来ない。
味方は全員が攻撃出来る。
俺は包囲殲滅を好む。
敵の三分の二を削ったところで、
包囲の一部を開けた。
逃がす。
小島弥太郎、百名で追撃。
目的は殲滅ではない。
春日山城に近づかせないこと。
俺達は再び
**魚鱗(◇)**を組み、
春日山城へ向かった。
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