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短夜
第三夜
しおりを挟む「貴女とご一緒したい男性なんていっぱいいると思うんですけど、今日は私なんかに声掛けちゃってよかったんですか? 毎回、違う男性と一緒にいるじゃないですか」
顔のパーツやスタイルがゴージャスに見えるせいか近寄りがたい印象を抱いていたが、思っていた以上にフランクで話しやすい彼女に感謝しつつ、印象ではなく偏見と言うべきだった思い込みをこっそり恥じた。
「……ああ、その事。全然問題ないよ。アタシは贔屓のこの店を繁盛させたくて、影響力のあるオトコに紹介してるだけだから」
彼女は、とんでもないことをさらっと言ってのけた。
やはり格――常識かもしれないが――が、あまりにも違う。
「そ、そうだったんですか。なんか違う世界の話ですね……。私、てっきり…………」
何を言っているんだろう。
気分を害してしまったら、もう二度と話すチャンスは訪れないかもしれないのに。
私が漫才コンビのボケ役なら、容赦なくどつかれていたに違いない。
「ワンナイト? まあ、成り行きでそうなることもあるけど」
「ですよね。貴女、同性の私から見てもとても色っぽくて、羨ましいくらいですもん」
「有り難う。でも、アタシはオトコなんかよりアナタみたいな可愛いオンナのほうがタイプだな。良い匂いするし、肌もやわこくて」
――――『残念な美女』。
そんな失礼としか言いようのない感想が頭を過った。
語彙がエロ親父のそれなのが難点なのか、逆に外しとして有効なのか。私には判断がつかないが、口に出す勇気はない。
あんなに男をとっかえひっかえしておいて言うことがそれか、なんて思いもなくはなかったが。
「え……っと。そんなにからかわないでもらえると有り難いですかね。私、この通り地味ですし、口説かれるのに慣れてないんで真に受けちゃいますから。そしたらほら、ご迷惑ですよね? ね?」
どうか『うん』と言ってほしい。
念じる気持ちがあまりに強いせいか、身体も自然と前のめりになっていく。
「なんで? 全然迷惑じゃないのに。ていうか、今夜は独りでいたくない気分だし……。朝までアナタと一緒に過ごしたいと思って声掛けたんだけど…………ダメ?」
彼女は私の左手に右手を重ねてきた。
情けない話だが、緊張のあまり、視線をそこから動かせない。
『過去最上級に色っぽいであろう彼女を拝めないなんて……』と嘆きつつも、思考はいやに冷静に働いているのが救いだ。
記憶が確かなら、今まで連れていた男には、これほどまでにあからさまな色仕掛けはしていなかったはず。
目の前で起こっていることが信じられないが、程良くしっとりした肌が吸い付く感触は、夢にしてはやけにリアルだ。
――――今夜のターゲットにされたと見て間違いはないだろう。
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