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竜舌蘭
第十九夜
しおりを挟むすると、彼女は穴の塞がって久しい方の耳に、真っ赤な唇を近付けて――――。
「……アタシが翠に、特別な人にしかしないキス、してるトコ」
気絶してしまいそうなほど艶やかに囁いた。
「…………え」
「見たがってなかった?」
石化したように固まっている間に、あと少しで接触しそうだった唇は、あっという間に離れていってしまった。
ここが外だという事を弁えているからだろうが、彼女が身なりの良い男性達と良い雰囲気になっている場面を何度も目の当たりしていた身としては、些か腑に落ちない。
彼等は良くて、私が駄目な理由は――――やはり、性別なのだろうか。
「見たい……ですけど」
暗澹たる気持ちをひた隠しにし、半ば強引に会話に意識を戻した。
「けど?」
「それで私が釣れるとでも?」
吐息の当たった耳たぶを頻りに気にしているのでは、強がっていても意味がない。
「うん。今、OKしてくれたら、帰ってすぐに見せても良い」
毒のような唇が首に触れ、只ならぬ仲にある者の存在を匂わせる印を残していく決定的な瞬間を。
私が見逃し続けているその一瞬を目にする機会を、わざわざ作ってくれようというのか。
そして、それは――――私がしつこく見たい見たいと繰り返していたから、なのか。
「…………それ、どこにしてくれます? いつもと同じ場所ですか?」
念の為と確認を取る私は、抜け目のない女に分類されるだろう。
そして、抜け目のなさとは可愛げのなさでもあるという事は、幼いうちから身に沁みていた。
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