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竜舌蘭
第二十五夜
しおりを挟む「多分、今までとそんな変わらないけど」
少し赤みの差した頬は、チークのせいか。テキーラのせいか。
――――私のせいだったら良いのに。
でも、焦ることはない。
彼女を照れさせるチャンスは、この先何度でも巡ってくる筈だ。
「そうですかね。私はすごくスッキリした感じしますけど」
医者にかかれば病名が付くように、どんなに曖昧な関係であろうと、付けようと思えば名前などいくらでも付けられる。
そこまでして意味付けする必要性はあるのかとも思うし、そんな名前に価値など付くかはわからないが、私はずっと、もうずっと、彼女と特別な関係になりたくて仕方なかった。
「なら、良かった」
モヒートで口の中をスッキリさせても拭えなかった不快感は、たった今、取り払われた。
何杯分ものモヒート相手に、一人で完勝を収めた彼女をぼうっと見つめていると。
「翠。……それ終わったら、出よっか」
紅さんのグラスはどちらも空になっていたが、普段より明らかに飲酒量が少ない。
「珍しいですね。もう良いんですか?」
「ん。飲みたくなったらウチで飲み直すし、今は帰ってしたい事あるから。でも、翠が飲みたければ、もう一杯頼む」
「いえ、私も今は大丈夫です。したい事……と、してほしい事もいっぱいありますし、大体が人前では出来ない事ですから」
「……特別なキスしてあげるから、翠は妄想の内容、聞かせてね」
残りを急いで飲み干したのは、早く二人きりになりたかったから。
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