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金糸梅
第七夜
しおりを挟む「あ、間接キス」
「今更、照れる事じゃない」
と嘯く彼女だったが、目が泳いでいる。
「紅さんこそ、今更照れる事じゃないですよね?」
ふと思い立って、起き上がる。
私の座高が彼女より少しだけ高かったのは、今この時のためだったのかもしれない。
「何の事?」
「わかってるくせに、とぼけるつもりですか? 今、私が紅さんの事を性的な目で見てるって言ったら、照れましたよね。いつもの強気はどうしたんです?」
隣に腰掛けたが、この場面での選択肢としては不正解だった気がして、先程までは頭部を乗せていた膝に跨った。
レアな上目遣いを堪能させてもらおうと企んで起こした行動だったが、紅さんは首ごと上を向くタイプだったらしく、思っていたほどレアな角度の彼女は拝めなかった。
「翠、そっちはそんな乗り気じゃなさそうだった」
「出会った頃の私は、そうでした。女性同士でセックスなんて遠い世界の出来事だなあって思ってましたし、興味も湧きませんでした」
――――『寂しい穴を埋める棒の役割を果たせるから』。
以前の私は、ただそれだけの理由で、思考停止して男だけを求めていた。
だが、穿たれる度にその虚無感は深度を増して私に襲いかかってきた。
寂しさを埋めるどころか広がるばかりだった事実から目を背け、『自分の穴に合う棒ではなかっただけ』なんて見苦しい言い訳をしては、毎晩のように別の男を試して。
「でも、紅さんだって、前から私の事、いやらしい目で見てたんでしょう? 最初から身体の関係込みで誘ってきてくれたじゃないですか。あんな熱心に口説かれたら、意識しない方が難しいと思いますけど」
――――純粋に誰かを恋しいと思う気持ちが『肉体的な繋がりを持ちたい』という欲求を喚起する事もあるのだという事を忘れて生きていた。
例え実を結ぶ事のない契りだとしても、彼女とはもっと深い場所で触れ合って、あるがままの自分を受け入れてほしいし、私もあるがままの彼女を受け入れたい。
それはきっと、何の思い入れもない男と機械的に身体を繋げるよりもずっと価値も意味もある行為の筈だ。
「…………シて、くれないんですか? 私、紅さん好みの『いい匂いで、やわこいオンナ』になるために、バストアップ体操なんて始めちゃったし、他にも色々してるのになあ」
思いっきり近付いて、形の良い唇にキスをすると、胸まで一緒に形を変えた。
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