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夕顔別当
第五夜
しおりを挟む「……ふ、ふふふふ……。『有名な人じゃないから、有名人じゃない』……って事ですか。『有名人』って言葉、そんな素直に解釈してる人いたんですね」
苛立ちも疑問も一瞬にして消え去って、今はただ、これまでどうやって生きてきたんだろうと心配になるほど純粋な彼女が愛おしい気持ちが止まらない。
「違った?」
「いいえ。何にも間違ってなんかいませんよ。でも、紅さんの仕事は有名人って事になってるんじゃないですかね。一般的には。『知名度も人気も関係なく、人前に出る仕事してたら有名人!』って解釈してる人が多いと思います」
字義に照らし合わせれば誤用であろうが、言葉を額面通りに受け取る純粋過ぎる彼女の感覚も否定したくはなかった。
「そっか。アタシ、勘違いしてた。ごめんね」
彼女は驚きを浮かべたまま、私の両手を取った。
「謝らないでください。私の方こそ、紅さんが嘘吐く訳ないのに一瞬でも疑っちゃって……」
――――そう。カウンターの下でこっそり手と手を触れ合わせた時のように。
「アタシが人気者だったら、こんな変な事になってなかったのに」
「人気……人気かあ…………」
未だに――と断言してしまうのも失礼ではあるが、報道される情報が公平性や正確性を欠いている以上、そう思ってしまうのも仕方ない面はある気がする――テレビを情報源としている層もいるにはいるだろう。
「今、テレビ出てるかどうかって、人気の指標として機能してなくないですか? そもそも、人気も流行も人為的な流れで作り出されるものですし。あ。でも、根っからのミュージシャンって感じのバンドとかは人気関係なくテレビ出ないとかは昔からそうか。やっぱりあんま関係ないんじゃないですかね。というか、ぶっちゃけテレビ見てる層にウケても嬉しくなくないですか?」
しかし、昨今、テレビに出てくる芸能人というのは『他の媒体で人気を博しているためにテレビに引っ張って来られた』人が結構な割合を占めており、『テレビ番組に出演する事がスタートライン』だった時代はとうに終焉を迎えているのではないだろうか。
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