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夕顔別当
第六夜
しおりを挟む「そんな事ない。どんな人でも、きっかけが何でも、皆、アタシの大切なファン」
迷わず言い切った彼女の瞳は真夏の青空のように雲一つなく澄み渡っていて、記録的な酷暑にも拘らず秋の訪れを少しだけ遅らせてほしいと思った。
「…………! ごめんなさい。想像力……というか、色々なものが欠けてる発言でした」
私を責めようとする意図が全く感じ取れなかったことで、却って居たたまれなくなり、人生初の土下座をした。
床は私の足の形に生温かった。
「ううん。テレビ出て、一気に人気出たら、そう思わない自信ないし。『今まで見つけてくれなかったくせに』って、多分、思うから。アタシ、ワガママなんだろうね」
彼女は私を立ち上がらせてくれたが、少しきつそうだ。
まだ体調が戻り切っていないのかもしれない。
「宣伝って地道な割に目に見える効果出る事、あんまりないですし……。そう思っちゃうの、あるあるじゃないですかね」
後ろめたさを誤魔化したくて、彼女を庇ったが。
「ワガママは否定しないんだ」
絶妙に庇い切れていない下手くそなフォローをされた彼女が、のけぞって笑った。
背凭れというストッパーを持たない彼女がどこまで行くのかと見守っていたが、当然、某子供向けアニメの悪役のような事態にはならなかった。
「出来ませんね。紅さんはワガママな女王様ですし、私はそういう所も好きですから。好きな人の好きな所は、一つだって減ってほしくないでしょう?」
「……うん。アタシも、翠が生意気な事言わなくなったら、寂しい」
「そうですか」
彼女のドレッサーチェアとは違う、リビングから持ってきた背凭れ付きの椅子に掛け直す。
この部屋において明らかに異質なその椅子は、居候に過ぎず、どこをとっても平凡で、一般人代表のような私に似合いの品に思えた。
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