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夕顔別当
第十九夜
しおりを挟む「青汁いつも飲んでますけど、健康のためですか?」
食後、透明のコップに注がれた青汁を一気に飲み干した彼女に問い掛けた。
「ううん。普通に味が好き」
「へえ。珍しいですね」
健康志向からの習慣かと思ったが、そんな事はなかったらしい。
まあ、よくよく考えずとも、好きでなければ食後のデザートの立ち位置には持って来ないだろう。
「そ? 翠もいる?」
「いえ。そちらは結構です。蜂蜜と違って、甘くないのはわかってるんで」
透明なコップの底の方には緑の残滓が居座っていて、見るからに苦そうな雰囲気を醸し出している。
「翠、甘いの好きだもんね。じゃ、オレンジジュースかグレープフルーツジュースは?」
「いただきます」
「ん。好きな方取って。両方飲んでも良いよ」
「ありがとうございます。でも、お腹一杯でそんなに飲めませんよ。オレンジジュース、いただきますね」
よく冷えた瓶を取り出して、透明なコップに一杯分。
飲んでみようなんて考えた事もなかった瓶入りのオレンジジュースを三分の一ほど味わってから、彼女に尋ねる。
「紅さんはジュース好きじゃないんですか?」
勘違いの可能性も大いにあるが、私が彼女の家の冷蔵庫を初めて開けた時には、ジュースなど一本も入っていなかった気がする。
好きな飲み物の話をしてからだ。
私の好きな柑橘系のジュースがラインナップに加わるようになったのは。
「嫌いじゃない。けど、飲み物はもっとスッキリしてた方が好き」
「青汁がスッキリ……? まあ、でも甘いジュースと比べたら後味はスッキリか…………」
「スッキリする。アタシの口移しでも、いらない?」
「! ……ジュースも嫌いじゃないんだったら、そっちを口移ししてくれると有難いですね」
もごもごと厚かましいリクエストとしてみた所、彼女は少し考えてから――――。
「でも、今、ジュースの気分じゃないから、普通にキスしよ」
チュ、と音をさせた。
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