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夕顔別当
第四十一夜
しおりを挟む「翠。先、シャワー使って良いよ」
すっぽんぽん(という表現がこれほどまでに似合わない人もそういないのではなかろうか)になった彼女は、タオルで隠す事もせず、堂々と私と向かい合っていた。
「いつもなら遠慮してましたけど、有難くそうさせてもらう事にします。お湯、せっかくいつも高そうなバスオイル入れてくれてますし、汚しちゃうのも悪いですよね」
彼女の全裸に焦点を合わせないようにオーバーなまでの笑顔を作る。
身長差が殆どなくて本当に良かった。
「悪いとかない。けど、早く落としたいかなって」
私自身の努力に加え、立ち込める湯気もなかなかに良い仕事をしてくれているが、彼女はずかずかと視界に入り込んでくるのだから、一瞬たりとも気は抜けなかった。
……あるいは、私自身が彼女の姿を追ってしまっているだけかもしれないが。
「紅さんの痕って思うと、まだ落としたくないんですけどね。色素沈着の事とか考えると、確かに落としたいです。口紅、口以外に塗った事ないし。まあ、薄い皮に塗るための物……って事は、相当基準も厳しいでしょうし、過敏になる必要ないのかもしれませんけど」
「だよね。あ、でも。湯船入る前に、少し流させて」
「勿論、使って下さい。ゆっくり汗流してもらって大丈夫です」
「ありがと」
断りを入れた彼女は、おとなしくシャワーを使用していたかのように思えたが。
「翠も、流したげる」
「え? 私は自分で…………うわっ!?」
日焼け止めや制汗剤のCM顔負けの弾ける笑顔で振り向き、こちらに向かってシャワーヘッドを向けてきた。
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