モヒート・モスキート・モヒート

片喰 一歌

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鶯音を入る

第六夜

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「じゃあ……さっき私に塗ってたのは、何なんですか?」

 ――――緊張で喉が渇く。

 こんな時にも私の身体が求めるのはモヒートだった。

 私と彼女の出会いを導いてくれた思い出のカクテルでもあるそれは、いつしか好きを越えて心の拠り所にすらなっていた。

 依存と言われてしまえばそれまでだが、彼女に抱く恋心だって、それと大差ない筈で――――。

 紅さんならきっと『依存であれでも、執着であれでも求めてしまうのであれば翠が欲しいと思うなら満足するまで求めてしまえば好きなだけ欲しがったら良い』と言ってくれるだろうから、私は今日もまた想像上の彼女の台詞を免罪符に、透明と紅色を求める。

「あれは、

「血を……。痛みを止める作用なんかはないんですか? 痛くないのはそのお陰かなって思ったんですけど……」

「気にした事なかった。……もしかしたら、ある、かも。アタシは、使った事ないけど」

「ちなみに、その薬を私に塗ったのは何回目ですか?」

「覚えてない。けど、よ」 
 
 続けざまの質問には意外な程にあっさり答えた紅さんを、特に疑問に感じる事はなかった。

 彼女の後ろめたさは恐らく、『に傷を付けてしまった事』と『それを本人に意図せず知らせてしまった事』に端を発しているだろうから。

「……わかりました。なら、んですか?」

 では、そろそろ核心に迫って良い頃合いかとズバリ切り込んだ。

「…………」

 普段の短気さを思えば、かなり時間を掛けた方だと思うが、問われる側と問う側では必要となる覚悟の大きさも変わってくる。

 決心のつかない様子の彼女は、口を開きかけては閉じてを繰り返していた。
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