155 / 226
鶯音を入る
第二十四夜
しおりを挟む「……様子がおかしい時……って言い方が悪いですね。たまに元気ない時があるなって事には気付いてたんです。でも、聞くのが怖くて…………。訊かれたくない事だったら上手い事話逸らしてくれるって安心感はあっても、私ごときがそこまで踏み込んで良いのかな、って……」
『したい事はして良い』のだと。『それも立派な理由』だと。他ならぬ貴女に教わったのに、何も活かせないで手をこまねいていた私は、卑怯で愚かで役立たずだ。
「こんなに近くにいるのに、紅さんはいつも私に寄り添ってくれるのに、私は貴女が一番辛くて苦しんでる時に寄り添えなくて…………。本当に、ごめんなさい……!」
「そんな事ない。翠がいてくれるだけで、支えられてた。一緒にいてくれたのが違うコだったら、きっと、こんな風に思えてなかった……」
つっかえていた殆ど全てを吐き出して、いくらか心が軽くなった事に再び罪悪感を覚えつつ、こわごわ窺った彼女の様子は予想に反して穏やかなもので、薔薇色の頬は初恋に胸躍らせる少女と遜色ない程可愛らしい。
――――ああ、そうだ。
外見の印象に覆い隠されがち……ではなく、見た人が勝手に誤解しがちだが、彼女はとても純真な人だった。
「本当に?」
「ん。だって、今までのコ、一回ずつしか一緒に寝てないし」
「……正体がバレたら、まずいから?」
「それも理由。……でも、多分そうじゃない。皆の事、『血の提供者』以上に思えなかった」
塩分でカピカピの頬を包む手のひらは、今とは正反対の季節に飲むホットミルクやコーンスープのように私の心をあたたかくほぐして、幸福で満たしていくようだった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
小さくなって寝ている先輩にキスをしようとしたら、バレて逆にキスをされてしまった話
穂鈴 えい
恋愛
ある日の放課後、部室に入ったわたしは、普段しっかりとした先輩が無防備な姿で眠っているのに気がついた。ひっそりと片思いを抱いている先輩にキスがしたくて縮小薬を飲んで100分の1サイズで近づくのだが、途中で気づかれてしまったわたしは、逆に先輩に弄ばれてしまい……。
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる