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鶯音を入る
第二十五夜
しおりを挟む「もっと詳しく教えてほしいです。私の事、どう思ってましたか? 私は…………前も言ったかもしれませんけど、紅さんの事、前から一方的に気になってて、憧れてて……。実際に話してみたら、考えてたのと全然違う感じでしたけど、だからこそ好きというか」
恋人という立場を得ておきながら、『血の提供者以上』だと仄めかされるだけでは満足出来なかった。
よくもまあそこまで欲を掻けるものだとは思うが、彼女風に言えば、欲しいものを心のままに求めているだけ……という事になるのだろう。
「アタシも、前に話した覚えあるけど、翠の事『ホント可愛いコだな』って思ってた。……アタシ、こんな体型でしょ。だから、細い子の事、見ちゃう。……けど、翠はその中でも、すごく目立ってた」
しかし、ショーウインドウにとびきりの品を見つけてしまった少女のように目を輝かせている彼女の言葉には、どうにも私の自認と噛み合わない所があった。
「目立つ…………? 私、目立つ容姿じゃ……なくないですか? むしろモブ全開というか……。細いって言ったって、私より華奢で折れそうな人いっぱいいますし、街歩く人、皆美人に見えますし。いや本当に。それでも、『その美人全員、紅さんと比べちゃったら一気に霞むなあ』なんて失礼な事も同時に考えちゃうんですけどね」
「アタシだって、大した事ない。……でも、翠には世界で一番、綺麗に見える。……でしょ?」
と得意気に笑んだ彼女は、出会ったあの日よりもさらに美しく映った。
「前半は全面的に否定しますけど、後半はその通りです!」
思いっきり首を縦に振ったら、頭がガンガンしたが、二日酔いなんかと違って妙な清々しさがあったのは、自分の感情を表現するために取った行動だったからなのだろうか。
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