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「稼いで風俗に行きたい男 vs 風俗に偏見のある真面目女子」
閑話『たまにはご褒美も必要だろ?』
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「……よし、今日は行くぞ」
そう呟いた常盤流星の目は真剣そのものだった。
王都護送の任務を引き受ける前、最後の自由時間。
長く張りつめていた緊張の糸を、彼は解き放つことにした。
目的は――もちろん、“異世界風俗”。
「なあリリア、アリシア。ちょっと出かけてくる」
「……え、どこへ?」
リリアが首をかしげ、アリシアが目を細める。
「まさか……また?」
「また、だな」
流星は堂々と胸を張った。
「冒険に疲れた心を癒すのは、癒しのプロに任せるべきなんだよ。医療と同じさ」
「……その例え、間違ってるとは言い切れないけど、たぶん間違ってるわ」
アリシアが腕を組んで顔を背ける。
リリアはあきれ顔で肩をすくめた。
「まったく……せめて“病院行く”って言えば誤魔化せるのに、正直者すぎるわよ、あんた」
「信頼の証だ。じゃ、行ってくる!」
◆ ◆ ◆
流星が足を踏み入れたのは、町の裏通りにある洒落た建物――
その名も《夢香亭(むこうてい)》。
建物の中に入ると、ふわりと漂う甘い香り。
まるでバニラと白檀が混ざったような、妖しくも安らかな香りに包まれる。
「いらっしゃいませ、お客様。今夜はどんな気分で?」
受付の女性が優雅に微笑む。
「……“やさしめ希望”。あと耳が長いとテンション上がります」
「かしこまりました。当店自慢の“癒しのエルフ娘”をご案内いたします」
通されたのは、ふかふかのソファが置かれた個室。
「ごめんくださ――」
カラン、と扉が開き、
現れたのは……白銀の髪にアクアブルーの瞳、優しい笑顔を湛えたエルフの美少女だった。
「初めまして。わたし、セリナと申します。
どうぞ、心と体、ゆっくり休めてくださいね……?」
「……天使って、ここにもいるんだな」
◆ ◆ ◆
……一時間後。
「ありがとうございました。またお疲れのときは、どうぞ」
セリナの手を取って礼を言い、店を出た流星は、夜風に吹かれて深く息を吐いた。
「いやぁ……世界を救おうなんて、やっぱ無理だな」
そう呟いてから、彼はふと立ち止まり、空を見上げる。
「でも、誰かに笑ってもらうくらいなら……俺にもできるかもな」
その頃。
宿の部屋では、リリアとアリシアがちゃぶ台を囲んでお茶を啜っていた。
「で、行ったのね」
「行ったわね」
「……ほんと、あいつ、ブレないわ」
「……でもまあ、無理に押しつけてくるわけでもないしね。
“そこだけは”尊敬する。あたしには真似できない」
「私は絶対真似したくないけど」
「うん、わかる」
二人が顔を見合わせて笑う。
それは――“理解”というにはまだ遠く、
でも“嫌悪”でもない、不思議な感情の入り混じった笑顔だった。
――そしてその夜、流星は心の底から安らかな眠りについた。
(※隣に誰もいないベッドで)
【閑話・完】
そう呟いた常盤流星の目は真剣そのものだった。
王都護送の任務を引き受ける前、最後の自由時間。
長く張りつめていた緊張の糸を、彼は解き放つことにした。
目的は――もちろん、“異世界風俗”。
「なあリリア、アリシア。ちょっと出かけてくる」
「……え、どこへ?」
リリアが首をかしげ、アリシアが目を細める。
「まさか……また?」
「また、だな」
流星は堂々と胸を張った。
「冒険に疲れた心を癒すのは、癒しのプロに任せるべきなんだよ。医療と同じさ」
「……その例え、間違ってるとは言い切れないけど、たぶん間違ってるわ」
アリシアが腕を組んで顔を背ける。
リリアはあきれ顔で肩をすくめた。
「まったく……せめて“病院行く”って言えば誤魔化せるのに、正直者すぎるわよ、あんた」
「信頼の証だ。じゃ、行ってくる!」
◆ ◆ ◆
流星が足を踏み入れたのは、町の裏通りにある洒落た建物――
その名も《夢香亭(むこうてい)》。
建物の中に入ると、ふわりと漂う甘い香り。
まるでバニラと白檀が混ざったような、妖しくも安らかな香りに包まれる。
「いらっしゃいませ、お客様。今夜はどんな気分で?」
受付の女性が優雅に微笑む。
「……“やさしめ希望”。あと耳が長いとテンション上がります」
「かしこまりました。当店自慢の“癒しのエルフ娘”をご案内いたします」
通されたのは、ふかふかのソファが置かれた個室。
「ごめんくださ――」
カラン、と扉が開き、
現れたのは……白銀の髪にアクアブルーの瞳、優しい笑顔を湛えたエルフの美少女だった。
「初めまして。わたし、セリナと申します。
どうぞ、心と体、ゆっくり休めてくださいね……?」
「……天使って、ここにもいるんだな」
◆ ◆ ◆
……一時間後。
「ありがとうございました。またお疲れのときは、どうぞ」
セリナの手を取って礼を言い、店を出た流星は、夜風に吹かれて深く息を吐いた。
「いやぁ……世界を救おうなんて、やっぱ無理だな」
そう呟いてから、彼はふと立ち止まり、空を見上げる。
「でも、誰かに笑ってもらうくらいなら……俺にもできるかもな」
その頃。
宿の部屋では、リリアとアリシアがちゃぶ台を囲んでお茶を啜っていた。
「で、行ったのね」
「行ったわね」
「……ほんと、あいつ、ブレないわ」
「……でもまあ、無理に押しつけてくるわけでもないしね。
“そこだけは”尊敬する。あたしには真似できない」
「私は絶対真似したくないけど」
「うん、わかる」
二人が顔を見合わせて笑う。
それは――“理解”というにはまだ遠く、
でも“嫌悪”でもない、不思議な感情の入り混じった笑顔だった。
――そしてその夜、流星は心の底から安らかな眠りについた。
(※隣に誰もいないベッドで)
【閑話・完】
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