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『王都帰還と“高級風俗の陰謀”編』
第40話『お迎えは馬車と香水、VIPの罠』
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──その封筒は、まるで“薔薇”そのものだった。
上質な深紅の紙。花びらを模したエンボス加工。
封蝋には「R・S」の金文字が浮かび上がる。
「これって……《ローズ・セレナーデ》から?」
リリアが警戒心をあらわにする。
受け取ったのは、常盤流星。ギルド宿舎のポストに、なぜか名指しで届いたのだ。
「差出人なし、だが中身は──」
──【ご招待状】──
《紳士のあなたへ》
当店は、心より癒されたい紳士の方を歓迎いたします。
・初回無料
・完全個室対応
・選べる接客嬢は全員、国家審査済の一流ホステスです。
貴方の癒しの夜が、ここから始まります。
《Rose Serenade》
「ちょっと待って!? “国家審査済み”ってなに!?」
「怪しいを超えて“政府ぐるみ”みたいなこと言ってない!?」
「いや……逆に興味湧いてきたな……」
「湧くなァァァアアアア!!」
◆
その夜、王都の石畳を黒塗りの四輪馬車が走る。
車輪の音も心なしか静かで、まるで夢を引いて走っているかのようだった。
──そして、その馬車に乗っていたのは──
「──ふはは……俺は今、選ばれし者になった気がする……!」
「なにその邪悪な笑み!? もう騙されてる顔になってるからやめてぇ!!」
ついに潜入決行である。
もちろんギルドの調査任務とはいえ、本人は100%ノリノリ。
「初回無料ってことは、実質勝ち……!」
「ちがう、勝ちじゃない! 勝ちの概念を間違えてる!!」
──と、そのとき。
馬車が緩やかに止まった。
「お客様、到着いたしました」
扉が開くと、そこには──
――光の館。
街の一角に忽然と現れた、薔薇のアーチと香の回廊。
美しすぎる外装。金細工の階段。天井からはシャンデリアならぬ“香水ボトル”が吊るされていた。
「なにここ……夢か……?」
足元からじわじわと広がる“安らぎの香り”に、思わず膝が震える。
その瞬間──
「いらっしゃいませ、《ローズ・セレナーデ》へようこそ」
現れたのは、完璧な微笑をたたえた美女。
深紅のスリットドレスに身を包み、長い黒髪を艶やかに垂らす──
「わたくし、本日のご案内を担当いたします《ローズ》と申します」
「うわ……美人だ……」
「ダメだこの人、正面から落ちかけてる!?」
流星は口をぽかんと開けたまま、足を踏み出す。
館の奥、夢の世界へと。
◆
店内は静謐そのものだった。
床は絹、壁は香木。
窓の外には、人工的に設けられた“夜空の幻影”。
「まるで──時間が止まってるみたいだ……」
「お客様、どうぞリラックスなさって。こちらのお部屋で、お好みに合った接客をご用意いたします」
ローズの手が、白手袋越しに流星の手を取る。
その瞬間──脳がふわりととろけそうになった。
──だが。
「……違和感、ある」
流星の胸中に、ほんのわずかな引っかかりが生まれていた。
この香り。空気の流れ。接客の手順。
「理想」すぎる。
「“現実の女性”って、もっと面倒くさいじゃん……」
そう──
風俗通い歴20年、プロの“現実フェチ”である彼には気づけた。
──これは“造られた夢”だ。
ほんの一瞬、ローズの微笑に、ズレた“影”が差した気がした。
上質な深紅の紙。花びらを模したエンボス加工。
封蝋には「R・S」の金文字が浮かび上がる。
「これって……《ローズ・セレナーデ》から?」
リリアが警戒心をあらわにする。
受け取ったのは、常盤流星。ギルド宿舎のポストに、なぜか名指しで届いたのだ。
「差出人なし、だが中身は──」
──【ご招待状】──
《紳士のあなたへ》
当店は、心より癒されたい紳士の方を歓迎いたします。
・初回無料
・完全個室対応
・選べる接客嬢は全員、国家審査済の一流ホステスです。
貴方の癒しの夜が、ここから始まります。
《Rose Serenade》
「ちょっと待って!? “国家審査済み”ってなに!?」
「怪しいを超えて“政府ぐるみ”みたいなこと言ってない!?」
「いや……逆に興味湧いてきたな……」
「湧くなァァァアアアア!!」
◆
その夜、王都の石畳を黒塗りの四輪馬車が走る。
車輪の音も心なしか静かで、まるで夢を引いて走っているかのようだった。
──そして、その馬車に乗っていたのは──
「──ふはは……俺は今、選ばれし者になった気がする……!」
「なにその邪悪な笑み!? もう騙されてる顔になってるからやめてぇ!!」
ついに潜入決行である。
もちろんギルドの調査任務とはいえ、本人は100%ノリノリ。
「初回無料ってことは、実質勝ち……!」
「ちがう、勝ちじゃない! 勝ちの概念を間違えてる!!」
──と、そのとき。
馬車が緩やかに止まった。
「お客様、到着いたしました」
扉が開くと、そこには──
――光の館。
街の一角に忽然と現れた、薔薇のアーチと香の回廊。
美しすぎる外装。金細工の階段。天井からはシャンデリアならぬ“香水ボトル”が吊るされていた。
「なにここ……夢か……?」
足元からじわじわと広がる“安らぎの香り”に、思わず膝が震える。
その瞬間──
「いらっしゃいませ、《ローズ・セレナーデ》へようこそ」
現れたのは、完璧な微笑をたたえた美女。
深紅のスリットドレスに身を包み、長い黒髪を艶やかに垂らす──
「わたくし、本日のご案内を担当いたします《ローズ》と申します」
「うわ……美人だ……」
「ダメだこの人、正面から落ちかけてる!?」
流星は口をぽかんと開けたまま、足を踏み出す。
館の奥、夢の世界へと。
◆
店内は静謐そのものだった。
床は絹、壁は香木。
窓の外には、人工的に設けられた“夜空の幻影”。
「まるで──時間が止まってるみたいだ……」
「お客様、どうぞリラックスなさって。こちらのお部屋で、お好みに合った接客をご用意いたします」
ローズの手が、白手袋越しに流星の手を取る。
その瞬間──脳がふわりととろけそうになった。
──だが。
「……違和感、ある」
流星の胸中に、ほんのわずかな引っかかりが生まれていた。
この香り。空気の流れ。接客の手順。
「理想」すぎる。
「“現実の女性”って、もっと面倒くさいじゃん……」
そう──
風俗通い歴20年、プロの“現実フェチ”である彼には気づけた。
──これは“造られた夢”だ。
ほんの一瞬、ローズの微笑に、ズレた“影”が差した気がした。
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