異世界風俗❤『異世界転生したら風俗店こそが癒しの最前線だった件~俺は冒険して稼ぎ、全力で愛され、そして搾られる~』

本能寺から始める常陸之介寛浩

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『言葉を持たぬ国と、性別未確定の誘惑』編

第105話『言葉なき愛──ヒロインたちの沈黙』

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「──今日は、一日、“言葉を使わずに過ごしてみよう”と思うの」

 朝の食卓にて。
 アリシアが、やや緊張した面持ちでそう宣言した。

 その言葉に、流星はパンをくわえたまま固まった。

「え?」

「この国の人たちの文化に、もっと真剣に寄り添ってみるべきだって……昨夜、ミレーユと話していて」

 ミレーユは頷いた。
 普段より少し髪を下ろし、香りの瓶を小さく胸元に吊り下げている。

「私たちは、つい“言葉”で気持ちを伝えようとしてしまうけれど……この国の人たちは、“香り”と“仕草”で心を通わせてきた」

「だから──今日は、あえて“言葉なし”で想いを伝えたいの」

 アリシアも真剣だった。
 その横で、リリアは腕を組み、そっぽを向いていたが──口元は、どこか照れたようにゆるんでいた。

「……フン。言葉がなきゃ、俺とまともに喋れないやつらなんじゃないの?」

 強がりながらも、視線はちらちらと流星を見ている。
 一方でヴァネッサはというと──

「沈黙プレイ!? つまり、あたしの“触る愛”を正当化していいってこと!?」

「それは違う意味になるから座ってろお前は!!」

 ◆

 午前中。

 沈黙の時間が始まった。

 不思議なもので──言葉が使えないだけで、空間が“研ぎ澄まされる”ような感覚がある。

 何気ない目線、手の動き、笑ったかすかな息づかい。
 すべてが、“伝えようとする意思”になる。

 リリアは、昼の弁当に小さな絵札を添えてきた。
 流星の似顔絵と、ハートのマーク──その横に“焦げすぎ注意”の文字。

 ……書いてるじゃん!!

 ツッコミたくなるが、本人はあくまで“音声での言葉は使ってない”という態度らしい。

 一方、ミレーユは丁寧に一枚の手紙を書き、それを封筒に入れて──香りを一滴、封蝋に染み込ませた。

「……これは?」

 流星が手に取ると、ミレーユはかすかに微笑むだけだった。

 彼女は何も言わない。
 ただ、そっと胸元の瓶とおそろいの香りを、流星の手に滑らせた。

 それは──優しく、甘く、ほんのりと柑橘が漂う香り。
 どこか“懐かしさ”と“安心”を感じさせる匂いだった。

 ──もしかしてこれは、彼女なりの“恋文”か。

 流星の胸が、一瞬だけ音を立てて跳ねた。

 ◆

 午後。

 アリシアは香りの代わりに、“動作”で伝えてきた。

 流星が剣の手入れをしていると、隣でそっとひざまずき、彼の剣の持ち方を両手で正す。

 背後から回り込むように、そっと手を添える──それだけの動き。

 でも、その距離感と、ささやかに触れる指先の温度が……やけに“本気”だった。

(こいつら……ガチで、言葉を使わずに……)

 流星は、ごくりと唾を飲んだ。

 この空気は、“ふざけた愛”ではない。
 彼女たちは、今まで以上に“真剣に”想いを伝えようとしている。

 ◆

 夕方。

 一日の終わり、宿の縁側で──流星は、ふとひとりで夕陽を眺めていた。

 そこに、ミレーユが隣に腰を下ろす。

 沈黙。

 風の音だけが、耳に心地よく抜けていく。

 やがて、彼女は静かに、流星の肩にもたれかかった。

 その髪から──朝に渡された香りが、ほんのりと立ち上る。

(……ああ)

 流星は、ようやく理解した。

 言葉にしなくても、伝わることがある。

 でも──言葉にしなければ、届かないこともある。

 だから──

「……ありがとう。おまえら、今日のこと──俺、忘れない」

 彼は、ぽつりと呟いた。

 ◆

 その夜。

 宿の廊下で、ヒロインたちが偶然鉢合わせた。

 全員、言葉を使わない一日を終えて、ほんの少しだけ照れている。

 だが──沈黙のままでは済まなかった。

 リリアが口を開く。

「……言葉にしない愛も、たまには……悪くない、かもな」

 アリシアがそっと笑った。

「でも……やっぱり、言葉も使いたい。あなたに“好き”って、ちゃんと伝えたいから」

 ミレーユも、ほんのり赤くなって──

「この香りは、あなただけのために調合したの。……届いてたなら、嬉しい」

 そして──

 ヴァネッサだけは、堂々と。

「よーし、じゃあ明日は“スキンシップ愛情表現Day”ってことで、添い寝×全身オイルマッサージコースに行こうか!」

「おまえだけ黙るどころか限界突破してるわ!!」

 ◆

 その夜──流星はひとり、ミレーユから渡された封筒を開けた。

 そこには、たった一行。

「香りに込めたのは、わたしの初恋です」

 流星は、そっとその手紙を胸に当て──微笑んだ。

「……こいつら、ガチだ」

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