異世界風俗❤『異世界転生したら風俗店こそが癒しの最前線だった件~俺は冒険して稼ぎ、全力で愛され、そして搾られる~』

本能寺から始める常陸之介寛浩

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『言葉を持たぬ国と、性別未確定の誘惑』編

第106話『声を取り戻せ!無言の塔・最終階へ』

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 ──沈黙の塔。それは、言葉を失った民の“記憶”を封じた場所だった。

 

 流星たちの眼前にそびえ立つのは、まるで空そのものを貫くような黒曜の塔。

 その表面には“音を吸い込む魔法刻印”が無数に浮かび上がり、風さえも音を立てることを拒まれていた。

 

「……なんつー場所だよここ。歩くだけで、自分の心音だけが響くって感じだ……」

 流星は呟いた──つもりだったが、声が、出ていない。

 口が動いている感覚はある。喉も震えた。

 だが、何も、音にならなかった。

 

「──っ!」

 アリシアが小さく口を開き、流星に向かって“指で文字”を書く。

 《ここから先は、“音”を奪われる空間。幻影系の魔術に備えて。》

 

 その後ろで、ミレーユがうなずく。
 小さな香壺を取り出し、皆の手首に“感情を守る香”を一滴ずつ落とした。

 それは、言葉が通じなくなる空間でも、気持ちを濁さずに保つための香り。
 今までの旅路で身につけた“香語術”の応用だった。

 

 リリアは剣を構えたまま、無言で流星を見ていた。
「気を抜くなよ」と、いつものように口には出さない。

 代わりに、彼女はただ、剣の柄を“トントン”と二度叩き、背を向けて歩き出した。

 ──この“沈黙の塔”では、彼女の鋭い突っ込みも封じられる。

 これは、恐ろしい。

 

 

 ◆ ◆ ◆ 

【第一階層:視覚の欺き】

 

 塔に入った瞬間、景色がねじ曲がった。

 それぞれが“最も親しい存在”の幻影に包まれ──

 リリアは、昔死に別れた兄の幻影に囁かれた。
 アリシアは、過去に失った研究仲間の幻を見る。

 

 そして流星には──かつて自分が“風俗街で救えなかった”一人の女性の面影が現れた。

(……おまえ、あの時……俺を庇って──)

 彼は手を伸ばしかける。

 だが、その瞬間──

 ヴァネッサが勢いよく、幻影ごと彼にドロップキックをお見舞いした。

 

 《てめーがそんな顔すんなッ!あたしの煩悩が困るだろうがッ!》

 ──彼女は、表情だけで怒鳴りつけていた。

 流星は目を覚ます。

(ありがとう……おまえ、相変わらずだな)

 

 

 ◆ ◆ ◆ 

【第二階層:誘惑の回廊】

 

 空間全体が、“あの神殿風俗の幻影”に包まれる。

 流星は、次々と現れる理想のホステスたち──
 笑顔のレイナ、微笑のローズ、甘え声のメリッサ──に囲まれた。

「癒されたいでしょう?」「現実に戻らなくてもいいのよ?」

 甘い声が……いや、“香り”が誘ってくる。

 そのとき──

 リリアが突然、流星の手を握った。

 

 彼女の手は、微かに震えていた。
 言葉はなかったが、彼女の香りは伝えていた。

 《戻ってこい。私たちは、いつだって──現実で、そばにいる》

 流星は、涙がにじみそうになるのをこらえながら、ホステスたちの幻を振り払った。

(そうだ……俺は、“あっちの世界”に住んでるんじゃない。ここで生きてる)

 

 

 ◆ ◆ ◆ 

【最上階:“言葉を喰らう魔”】

 

 そして、最上階。

 そこにいたのは──人間の姿をした、影のような存在だった。

 

 その名は、“ヴォーク”。

 かつてこの地の王子でありながら、戦争と裏切りに絶望し、“言葉の価値”を捨てた者。

「言葉など、争いの種だ」「感情など、すべては偽りだ」

 彼は、全ての声を封じ、“香り”と“沈黙”だけの世界を創った。

 

 そして流星に問うた。

 ──「おまえの願いは、なんだ?」

 

 声が出ない空間。

 だが、流星は心の中で叫んだ。

(俺は……俺は、言葉で笑って、言葉で喧嘩して、言葉で“好き”って言いたいんだよッ!)

 

 次の瞬間──ミレーユが流星に“封じの香”をかけた。

 それは、幻影を一時的に断ち切る魔術。

 そして、アリシアが流星の背に手を当てた。

 ──《言って。あなたの、本当の“願い”を》

 

 

 ◆

 

 ……声が、出た。

 “沈黙の塔”の呪いが、流星の魂の叫びに反応して、一瞬だけ“音”を許した。

 

「俺は……誰かの胸に飛び込みたい時、“助けて”って言いたい!
 愛してるって、泣きながら言いたい!
 風俗だって、心がつながるから最高なんだ!!」

 

 その言葉が、塔の魔を打ち砕いた。

 ──言葉が、力を持った瞬間だった。

 

 

 ◆ ◆ ◆ 

【塔崩壊、そして再びの光】

 塔の呪いが消えるとともに、周囲に漂っていた“無言の霧”も晴れた。

 村人たちは──ようやく、声を取り戻した。

 その場に倒れ込むように、リリアが叫ぶ。

「──おまえってヤツは、最後の最後まで……変態でバカで、でも……」

 アリシアは、微笑みながらも泣いていた。

「でも、あなたの“言葉”で……この国は救われたわ」

 ミレーユは、淡く香る瓶を握りながら、

「……あなたの声、わたし……好きよ」

 

 そして──

 ヴァネッサは、全力で叫ぶ。

「お疲れ流星!今夜は添い寝フルコース!煩悩のご褒美ターイムだ!!」

 

 ──声を取り戻した国には、再び“愛の言葉”が響き始めた。
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