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『言葉を持たぬ国と、性別未確定の誘惑』編
第107話『願いの言葉──「俺は、選ぶ」』
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──沈黙の塔、その最深部。
流星たちが踏み入れたのは、闇のように静寂な“玉座の間”だった。
足音が吸い込まれる石の床、声をかけても反響すらない空間。
そこに、ひとり──黒衣をまとい、仮面で素顔を隠した男が座していた。
その名を、“無言の王《ヴォーク》”。
かつて、言葉によって愛する者と引き裂かれ、
言葉によって信頼を失い、
言葉によって、国を失った男。
「……ようこそ、選ばれし者たちよ」
その声は、頭の奥に直接響く“思念話法”。
空気は震えていない。それでも、言葉は確かに届いた。
「言葉は争いの種、愛は裏切りの温床。
ならばこの地では、沈黙のうちに“快楽”だけを与えよう」
──その瞬間、部屋の奥から姿を現したのは、美しくも儚い“幻のホステスたち”。
彼女たちは、誰も口を開かず、それでも微笑み、手を差し伸べてくる。
静寂の中、癒しの香りとともに。
まるで「このまま、語らずに満たされていればいいのよ」と囁いてくるように──。
リリアは剣を握り直し、無言で睨んだ。
アリシアは魔力を練るが、空気が魔術をかき消していく。
ヴァネッサは怒りを込めて床を蹴り、だが言葉を失ったことで苛立ちを表現できない。
──だがそのとき。
ただ一人、流星がゆっくりと前に出た。
彼の足音だけが、場に残響を作る。
そして──
「……やめろよ、そんなの……やめてくれよ……」
響いた。
本当に、声が響いた。
この“無言の領域”において、確かに“音”が鳴った。
それは、“言葉の意思”そのものが、沈黙の呪いを打ち破った瞬間だった。
「……言葉がなきゃさ──
おまえたちのこと、“好き”って言えないだろうがああああッ!!」
叫びと同時に、塔の壁が震えた。
ホステスたちの幻が砕け、香りが一瞬にして蒸発する。
「オレはな……風俗も、おまえらも、現実も……全部、本気で好きだ!!
黙って愛されるより、下手でもいいから、言葉で“好き”って言いてえんだよ!!」
──“無言の王”が、ゆっくりと立ち上がった。
「……なぜだ? なぜ、そんなにも“語りたがる”?
言葉は、傷を残すぞ? 恋人を泣かせ、友を誤解させるぞ?」
「知ってるよ!!」
流星は、拳を握りしめたまま叫ぶ。
「それでも──言葉でしか伝えられない“本気”があるって、
オレは……この旅で、何度も何度も知ったんだ!!」
背後で、リリアが頷いた。
言葉を取り戻したその表情が、「私もそうだ」と語っていた。
アリシアも、魔力の輝きの中で笑った。
「それでも、話す価値はある」と、目で言った。
ヴァネッサが腰に手を当て、満面の笑みでサムズアップ。
「バカだけど、好きだぜその考え」って顔。
そしてミレーユが──そっと、香壺を掲げた。
中には、淡く花のように香る“告白の香”。
それは、彼女が流星のためだけに調合した、世界でひとつの“愛の言葉”。
「……おまえら……本当に、ありがとう」
流星は、ひと呼吸。
そして、王に向かって歩みを進めた。
「言葉ってのは、“選ぶ”もんだ。
だれかを傷つけないように選ぶし、誰かを守るために選ぶし、
何より、“愛してる”って言うために選ぶ」
「それが──オレの、願いだ」
──その言葉に、“無言の王”の仮面が砕けた。
中から現れたのは、どこにでもいそうな、普通の青年の顔だった。
ただ、過去の苦しみと痛みを知りながら、それを隠すために“声”を捨てた──
それだけの、ひとりの人間だった。
◆ ◆ ◆
その日──“沈黙の塔”は静かに崩壊し、
封じられていた声が、空へと昇っていった。
王都では、長らく禁じられていた“声”の儀式が復活。
民は、再び愛を語り、笑い合い、喧嘩して──
そして、恋をした。
◆ ◆ ◆
「……よく言った、流星」
リリアがぽつりと漏らす。
「言われた瞬間、全身が変な汗出たけど……でも、嬉しかった」
アリシア:「あなたの言葉で、あの王も救われた。だから──私も信じるわ」
ヴァネッサ:「よーし、じゃあ今夜は“愛してる”って耳元で100回言ってもらうプレイね♡」
ミレーユ:「選んでくれて……ありがとう」
そして、流星は深く息を吸い、照れながら言った。
「──オレは、選ぶよ」
「風俗も、みんなも。全部、本気で好きだ。だから……全部、言葉で伝えてく」
──彼の声は、もう誰にも封じられなかった。
流星たちが踏み入れたのは、闇のように静寂な“玉座の間”だった。
足音が吸い込まれる石の床、声をかけても反響すらない空間。
そこに、ひとり──黒衣をまとい、仮面で素顔を隠した男が座していた。
その名を、“無言の王《ヴォーク》”。
かつて、言葉によって愛する者と引き裂かれ、
言葉によって信頼を失い、
言葉によって、国を失った男。
「……ようこそ、選ばれし者たちよ」
その声は、頭の奥に直接響く“思念話法”。
空気は震えていない。それでも、言葉は確かに届いた。
「言葉は争いの種、愛は裏切りの温床。
ならばこの地では、沈黙のうちに“快楽”だけを与えよう」
──その瞬間、部屋の奥から姿を現したのは、美しくも儚い“幻のホステスたち”。
彼女たちは、誰も口を開かず、それでも微笑み、手を差し伸べてくる。
静寂の中、癒しの香りとともに。
まるで「このまま、語らずに満たされていればいいのよ」と囁いてくるように──。
リリアは剣を握り直し、無言で睨んだ。
アリシアは魔力を練るが、空気が魔術をかき消していく。
ヴァネッサは怒りを込めて床を蹴り、だが言葉を失ったことで苛立ちを表現できない。
──だがそのとき。
ただ一人、流星がゆっくりと前に出た。
彼の足音だけが、場に残響を作る。
そして──
「……やめろよ、そんなの……やめてくれよ……」
響いた。
本当に、声が響いた。
この“無言の領域”において、確かに“音”が鳴った。
それは、“言葉の意思”そのものが、沈黙の呪いを打ち破った瞬間だった。
「……言葉がなきゃさ──
おまえたちのこと、“好き”って言えないだろうがああああッ!!」
叫びと同時に、塔の壁が震えた。
ホステスたちの幻が砕け、香りが一瞬にして蒸発する。
「オレはな……風俗も、おまえらも、現実も……全部、本気で好きだ!!
黙って愛されるより、下手でもいいから、言葉で“好き”って言いてえんだよ!!」
──“無言の王”が、ゆっくりと立ち上がった。
「……なぜだ? なぜ、そんなにも“語りたがる”?
言葉は、傷を残すぞ? 恋人を泣かせ、友を誤解させるぞ?」
「知ってるよ!!」
流星は、拳を握りしめたまま叫ぶ。
「それでも──言葉でしか伝えられない“本気”があるって、
オレは……この旅で、何度も何度も知ったんだ!!」
背後で、リリアが頷いた。
言葉を取り戻したその表情が、「私もそうだ」と語っていた。
アリシアも、魔力の輝きの中で笑った。
「それでも、話す価値はある」と、目で言った。
ヴァネッサが腰に手を当て、満面の笑みでサムズアップ。
「バカだけど、好きだぜその考え」って顔。
そしてミレーユが──そっと、香壺を掲げた。
中には、淡く花のように香る“告白の香”。
それは、彼女が流星のためだけに調合した、世界でひとつの“愛の言葉”。
「……おまえら……本当に、ありがとう」
流星は、ひと呼吸。
そして、王に向かって歩みを進めた。
「言葉ってのは、“選ぶ”もんだ。
だれかを傷つけないように選ぶし、誰かを守るために選ぶし、
何より、“愛してる”って言うために選ぶ」
「それが──オレの、願いだ」
──その言葉に、“無言の王”の仮面が砕けた。
中から現れたのは、どこにでもいそうな、普通の青年の顔だった。
ただ、過去の苦しみと痛みを知りながら、それを隠すために“声”を捨てた──
それだけの、ひとりの人間だった。
◆ ◆ ◆
その日──“沈黙の塔”は静かに崩壊し、
封じられていた声が、空へと昇っていった。
王都では、長らく禁じられていた“声”の儀式が復活。
民は、再び愛を語り、笑い合い、喧嘩して──
そして、恋をした。
◆ ◆ ◆
「……よく言った、流星」
リリアがぽつりと漏らす。
「言われた瞬間、全身が変な汗出たけど……でも、嬉しかった」
アリシア:「あなたの言葉で、あの王も救われた。だから──私も信じるわ」
ヴァネッサ:「よーし、じゃあ今夜は“愛してる”って耳元で100回言ってもらうプレイね♡」
ミレーユ:「選んでくれて……ありがとう」
そして、流星は深く息を吸い、照れながら言った。
「──オレは、選ぶよ」
「風俗も、みんなも。全部、本気で好きだ。だから……全部、言葉で伝えてく」
──彼の声は、もう誰にも封じられなかった。
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