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《欲望の女王と、快楽の均衡戦線(バランス・オブ・デザイア)》
第130話『女王の宮殿、快楽審査開始』
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──その試験の名は、“快楽基準適応審査”。
淫魔王国アストラシアでは、すべての住民が快楽に対してどのように反応するかを数値化され、“統一された幸福”の指標に照らして管理される。
そして、王女直属の“七大快楽官”によって施される快楽は、まさに国家が定めた「標準癒し」だった。
「……本当にやるのかよ、これ」
流星は金縁の大理石が敷き詰められた謁見の間の片隅で、だらりと腰を落とす。
目の前には豪華絢爛な寝台型の玉座が設えられ、その上にはピンクと紫を基調としたシルクのカーテンが揺れていた。
「第一試験官、準備完了ですわ」
エイリーン女王の声に応じて現れたのは、黒髪に眼鏡、整ったスーツ姿の美麗な女性淫魔──その名も《官能管理官エヴェリナ》。
「“快楽の反応値”は、数値で評価するのが正義です」
彼女は微笑むと、手にした魔導端末を掲げた。
「あなたが感じた“気持ちよさ”が、基準値78%以上であれば“適正”。それ未満、もしくは“性的ではない反応”を示した場合は──再教育ルーム行き」
「……俺の“気持ちいい”を、数値で評価すんのか……?」
「はい。それがこの国の、正常な価値観です」
*
流星が最初に案内されたのは、“触覚型施術ルーム”。
エヴェリナが手袋を脱ぎ、素手で彼の肩に優しく触れ──ごく普通の、指圧的なマッサージを開始した。
「……ど、どう?」
「うーん……普通に気持ちいいけど、“感情が煮立つ”ほどでは……」
《快楽数値:68% 評価:不可》
「──不適正です」
「おい! いきなり“不可”って、肩こりレベルの話だったぞ!?」
「女王が望んでいるのは“首筋に触れられた瞬間、顔が紅潮し、息が漏れる反応”です」
「んなもん事前に言っとけよッ!!」
《再教育ルーム行き:判定保留》
「……保留ってなんだよ……嫌すぎるぞ響きが……!」
*
一方──別室にて。
リリア、アリシア、ミレーユ、ヴァネッサ、アストレアの五人も“同時進行で快楽審査”を受けていた。
アリシアは、白衣を着た“快楽心理検査官”に囲まれていた。
「さあ、目を閉じてください。今から“標準快楽香(Ver.4)”を嗅いでもらいます。あなたが“感じたこと”を10段階で答えてください」
「ちょ、ちょっと待ってそれは何の香……──んんっ!?」
甘く、鼻腔に広がるのは──お風呂上がりの柔らかなミルクの香りと、微かな石鹸、そして……
「こ、これはっ……“流星が布団に寝転んだあと”の残り香と……一致する……?」
《快楽数値:94% 評価:過剰》
「──過剰反応です。これは“想定された快楽感情”ではありません。“個人感情由来”は処罰対象です」
「な、何それ!! 私の感情の自由は!? 快楽の独裁じゃない!!」
「はい、それが国家理念です」
「やっぱりこの国おかしい!!!」
*
さらに──
ミレーユは、“音声癒し室”にて「耳元で理想の愛のささやきを受ける」審査を。
アストレアは“視覚快楽刺激室”にて「星空と添い寝男子の再現映像」を見せられ──
ヴァネッサに至っては、トレーニングルームで「抱きつきマッサージ」と称して8人の筋肉系男子淫魔に囲まれ──
「いや、あたしはむしろ押したい側なんだけど!! 逆責めはどこだ逆責めは!!」
「──拒否反応確認。“施術拒否型”は非適正対象です」
「誰が適正かッ!!?」
*
そして──流星。
再びベッドに座らされ、最後に出てきた快楽官が囁く。
「……“女王の理想的快楽”とは、“自らを解放しつつも、感情が高ぶりすぎないバランス型悦楽”です」
「いや、それってもう感想の統一じゃなくて、“好きのテンプレ”じゃん」
「テンプレがあるからこそ、支配が可能になるのです」
「こえぇよ!」
快楽官は、最後にささやいた。
「あなたの“不適正”を女王が知れば、直ちに“特別処罰プログラム”が適用されます」
「……なんかその響き、むしろ興奮を誘いかねないからやめてくれ」
「なお、特別処罰プログラム第一項目は、“女王直々による精神的服従矯正”です」
「やめろって言ってんだろ!!!」
*
アリシアたちが再集合したとき、全員が何かしらの“快楽指標未達”を叩き出していた。
「……この国、ホントにやばい」
「快楽が義務、癒しが監視、感情が管理されてる……!」
「癒しってのは、自分の中から“湧き出す”ものだろ……?」
流星が呟いた。
「押しつけられる快楽なんて、どこか歪んでる」
「でも……このままじゃ、あたしたち全員、“処罰”される」
アストレアが震える声で言った。
「女王は言っていた。明日、“適正反応訓練”として、我々を官邸の地下施設に送ると……」
「……つまり、“矯正”されるってことだな」
流星は、ゆっくりと剣に手をかけた。
「なら……その前に、こっちから“快楽の反撃”に出るしかねぇな」
仲間たちの視線が集まる。
「この国に、“自由な癒し”ってやつを見せてやろうぜ」
淫魔王国アストラシアでは、すべての住民が快楽に対してどのように反応するかを数値化され、“統一された幸福”の指標に照らして管理される。
そして、王女直属の“七大快楽官”によって施される快楽は、まさに国家が定めた「標準癒し」だった。
「……本当にやるのかよ、これ」
流星は金縁の大理石が敷き詰められた謁見の間の片隅で、だらりと腰を落とす。
目の前には豪華絢爛な寝台型の玉座が設えられ、その上にはピンクと紫を基調としたシルクのカーテンが揺れていた。
「第一試験官、準備完了ですわ」
エイリーン女王の声に応じて現れたのは、黒髪に眼鏡、整ったスーツ姿の美麗な女性淫魔──その名も《官能管理官エヴェリナ》。
「“快楽の反応値”は、数値で評価するのが正義です」
彼女は微笑むと、手にした魔導端末を掲げた。
「あなたが感じた“気持ちよさ”が、基準値78%以上であれば“適正”。それ未満、もしくは“性的ではない反応”を示した場合は──再教育ルーム行き」
「……俺の“気持ちいい”を、数値で評価すんのか……?」
「はい。それがこの国の、正常な価値観です」
*
流星が最初に案内されたのは、“触覚型施術ルーム”。
エヴェリナが手袋を脱ぎ、素手で彼の肩に優しく触れ──ごく普通の、指圧的なマッサージを開始した。
「……ど、どう?」
「うーん……普通に気持ちいいけど、“感情が煮立つ”ほどでは……」
《快楽数値:68% 評価:不可》
「──不適正です」
「おい! いきなり“不可”って、肩こりレベルの話だったぞ!?」
「女王が望んでいるのは“首筋に触れられた瞬間、顔が紅潮し、息が漏れる反応”です」
「んなもん事前に言っとけよッ!!」
《再教育ルーム行き:判定保留》
「……保留ってなんだよ……嫌すぎるぞ響きが……!」
*
一方──別室にて。
リリア、アリシア、ミレーユ、ヴァネッサ、アストレアの五人も“同時進行で快楽審査”を受けていた。
アリシアは、白衣を着た“快楽心理検査官”に囲まれていた。
「さあ、目を閉じてください。今から“標準快楽香(Ver.4)”を嗅いでもらいます。あなたが“感じたこと”を10段階で答えてください」
「ちょ、ちょっと待ってそれは何の香……──んんっ!?」
甘く、鼻腔に広がるのは──お風呂上がりの柔らかなミルクの香りと、微かな石鹸、そして……
「こ、これはっ……“流星が布団に寝転んだあと”の残り香と……一致する……?」
《快楽数値:94% 評価:過剰》
「──過剰反応です。これは“想定された快楽感情”ではありません。“個人感情由来”は処罰対象です」
「な、何それ!! 私の感情の自由は!? 快楽の独裁じゃない!!」
「はい、それが国家理念です」
「やっぱりこの国おかしい!!!」
*
さらに──
ミレーユは、“音声癒し室”にて「耳元で理想の愛のささやきを受ける」審査を。
アストレアは“視覚快楽刺激室”にて「星空と添い寝男子の再現映像」を見せられ──
ヴァネッサに至っては、トレーニングルームで「抱きつきマッサージ」と称して8人の筋肉系男子淫魔に囲まれ──
「いや、あたしはむしろ押したい側なんだけど!! 逆責めはどこだ逆責めは!!」
「──拒否反応確認。“施術拒否型”は非適正対象です」
「誰が適正かッ!!?」
*
そして──流星。
再びベッドに座らされ、最後に出てきた快楽官が囁く。
「……“女王の理想的快楽”とは、“自らを解放しつつも、感情が高ぶりすぎないバランス型悦楽”です」
「いや、それってもう感想の統一じゃなくて、“好きのテンプレ”じゃん」
「テンプレがあるからこそ、支配が可能になるのです」
「こえぇよ!」
快楽官は、最後にささやいた。
「あなたの“不適正”を女王が知れば、直ちに“特別処罰プログラム”が適用されます」
「……なんかその響き、むしろ興奮を誘いかねないからやめてくれ」
「なお、特別処罰プログラム第一項目は、“女王直々による精神的服従矯正”です」
「やめろって言ってんだろ!!!」
*
アリシアたちが再集合したとき、全員が何かしらの“快楽指標未達”を叩き出していた。
「……この国、ホントにやばい」
「快楽が義務、癒しが監視、感情が管理されてる……!」
「癒しってのは、自分の中から“湧き出す”ものだろ……?」
流星が呟いた。
「押しつけられる快楽なんて、どこか歪んでる」
「でも……このままじゃ、あたしたち全員、“処罰”される」
アストレアが震える声で言った。
「女王は言っていた。明日、“適正反応訓練”として、我々を官邸の地下施設に送ると……」
「……つまり、“矯正”されるってことだな」
流星は、ゆっくりと剣に手をかけた。
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