異世界風俗❤『異世界転生したら風俗店こそが癒しの最前線だった件~俺は冒険して稼ぎ、全力で愛され、そして搾られる~』

本能寺から始める常陸之介寛浩

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《欲望の女王と、快楽の均衡戦線(バランス・オブ・デザイア)》

第134話『煩悩の反逆──癒しとは選ぶこと』

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 それは突然だった。

 快楽審査第六夜の朝。淫魔王国ヴァルセイリアの王都大通り。
 朝市の露店が並ぶなか、人々は見慣れない異変に気づいた。

「……なんだあれ?」

「露店、急に増えてない? え、なに? “耳かき屋台”? “もふもふ膝枕”?」

「“安心して泣けるお姉さん屋台”って何!?」

 ──それらの屋台のど真ん中に、堂々と看板を掲げて立つ男がいた。

「ようこそ! 自由癒し市場《ととのい村 in ヴァルセイリア》へ!!」

 そう──勇者・常盤流星は王都のど真ん中に、
 風俗屋台村を自ら開設していた。

 *

「なに考えてんだお前えええええええッ!!!???」

 リリアの怒号が空を裂く。

「この状況、女王の目の前だぞ!? 明らかに“反国家行為”だぞ!? もはやクーデターだぞ!? ていうかこの“膝枕屋”なんで五軒もあるの!!?」

「落ち着けリリア! これは合法的な革命だ!」

「合法に“ととのい”とか言うな!!!」

 *

 事の発端は、夜明け前のギルド仮宿にて。

「癒しってのは、押し付けるもんじゃねぇ」

 流星は、眠そうなアリシアたちに語った。

「誰かが“これが気持ちいいです”って決めるんじゃなくて、
 それぞれが“これが好き”って選べるのが、本当の癒しだろ?」

「……まあ、理屈は分かるけど……」

「でも、この国はそれができねぇ。なら──俺たちが見せてやるんだよ」

「“選べる癒し”の力ってやつをな」

 ──こうして突貫で始まったのが、《ととのい村》プロジェクトである。

 流星は、王都の空き地を合法的に短期貸与契約。
 さらに街角の素人癒し人たちを説得・スカウトし、実力主義の癒し屋台群を組織した。

「お姫様あやし隊! 子守唄つきなでなで500トルナ!」

「聴覚敏感男子に捧ぐ、“声かけ禁止”静音マッサージ!」

「さあこちらは“好きなだけ話を聞いてくれるだけの抱擁屋台”!」

 結果、王都の若者たちがぞろぞろと列を成し始める。

「“自由に選べる”って……こんなに気持ちいいのか……」

「今まで、“女王が定めた快楽”にしか触れてこなかったけど……
 自分で“これ好き”って言えたの、初めてかも……」

「癒し……癒しって、“こういうもの”だったんだな……」

 *

 そしてついに──

 女王エイリーンが、侍女と共に“ととのい村”を視察に訪れた。

 屋台に集まる民。笑顔。涙。緊張。安堵。驚き。そして、穏やかなととのい。

 そのすべてを目の当たりにして──

「……これは、反乱かしら」

「いいえ女王様、これは……“革命”ですわ」

 傍らのセラフィーナが小さく呟いた。

 *

 流星は、特設ステージに立った。

 そして王都の空に向けて、こう宣言した。

「癒しってのは、選べるものだ!」

「支配された快楽は、いずれ“感情を殺す毒”になる!」

「でもな──誰かと笑い合って、“好きだ”って言い合える快楽は、
 戦争だって、涙だって、止めることができる」

「だから! 俺は今日ここに──煩悩による反逆を宣言する!!」

 ──王都の空が、どよめいた。

「私は“癒されたい”んじゃない。
 “選んで癒されたい”んだ!!」

 *

 その瞬間。

 玉座のバルコニーから、静かな拍手が聞こえた。

「見事ですわ、勇者様──常盤流星」

 そこには、かつての威圧を脱ぎ捨てた、ひとりの女性の姿があった。

「その言葉こそ、私が“言えなかった”想い」

 エイリーン=アストラシアは、手を差し出すようにして言った。

「では、次は……“癒されたくて選ばれた女王”として、
 この革命の続きを見届けますわ──」

 革命は、煩悩から始まる。

 そして、癒しは、選んだその瞬間から生まれるのだ。
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