異世界風俗❤『異世界転生したら風俗店こそが癒しの最前線だった件~俺は冒険して稼ぎ、全力で愛され、そして搾られる~』

本能寺から始める常陸之介寛浩

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《星の癒しと、忘れられた風俗都市》 ―忘却の都市《エストレリオ》、そして“感情を失った者たち”の癒し再生譚―

第138話『記憶なき娼婦たち──忘却の施術者』

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 ──《レメンブリウム》、通称“回想の館”。

 かつて“触れるだけで記憶が蘇る風俗施術”が営まれていたこの場所は、
 今はすべての光を失い、記憶と共に封印されていた。

 だが、扉は開いた。

 香鍵によって解かれた封印の奥、流星たちは重い空気の中へと足を踏み入れる。

 *

「……ここ、誰かが住んでる」

 アリシアの声が響いた。

 壁の一部には、手入れされた寝具。
 暖かい湯が入った桶。わずかな香が炊かれていた痕跡。

 そして──その奥、柔らかな光に包まれるひと部屋に、少女たちが座っていた。

「……ようこそ」

 静かな声。
 その場にいた5人の少女たちは、全員が白いローブをまとい、整った姿勢でこちらを見ていた。

 目は伏せられ、表情は──空虚だった。

「君たちは……この館の、施術師?」

「……だったのだと思います」

 一人の少女が答える。年齢は16、17か。白磁のような肌に、銀の瞳。名前を呼ぶように聞くと、彼女は小さく答えた。

「リィル……たぶん、それが私の名前」

「“たぶん”?」

「ここにいたことは覚えている。でも、なぜいたのか、誰を癒したのか……
 それを、“思い出すと胸が苦しくなる”のです」

 他の少女たちも頷いた。

「触れようとすると、痛みがくる」

「誰かの名前を呼ぶと、頭が真っ白になる」

「それでも、なぜか“誰かに抱きしめられた記憶”だけが、あたたかくて……」

 流星は、気づいていた。

「……記憶を封じられたんだな。“癒す力”と一緒に」

「はい。私たち、“風俗院の記録”からも、消されました」

 リィルは指を胸に添えながら呟いた。

「それでも、私たち、ここで……誰かが来てくれるのを、待ってた気がします」

 *

 そのとき。

 奥の棚に飾られた壊れかけの記録結晶から、音が鳴った。

 かすかな、誰かの声。

『ありがとう、リィル。君の手の温もりで、また生きていける。
 君の笑顔を見て、救われた。あの夜、君の声で名前を呼ばれたこと……俺は、一生忘れない』

 その瞬間。

 リィルの身体が、ふるりと震えた。

「わたし……笑ってた……?」

「そうだ。君は誰かを癒して、救って、笑ってたんだ」

 流星はそっと、リィルの前にしゃがんで言った。

「君は、自分が癒した人の中で、ちゃんと生きてたんだよ」

 リィルの瞳が大きく開かれ、ゆっくりと潤んでいく。

「……あなたの笑顔……初めて、見た気がする」

 リィルはそう呟き、指を流星の頬に添えた。

「でも、わかる。あなたの匂い……やさしい、風の匂いがする……」

「……癒された?」

「はい……少し、思い出せました」

 その瞬間。

 館の奥に灯りが点いた。

 淡い光のラインが、壁から床へ、天井へと走り──
 かつて施術が行われていた“記憶の部屋”が、静かに目を覚ました。

「ここは、癒しのために造られた場所。
 “忘れても、大切だったことを思い出すための場所”……」

 アリシアが、魔導結晶の残り香を嗅いで呟く。

「やっぱり、ここはただの風俗なんかじゃない。“記憶と生きるための場所”だったのよ」

 ミレーユが香圧反応を確認し、目を細める。

「この館には、今も“癒しの記憶”が染みついてる。
 流星……この子たち、もう一度“施術”できるようにしよう」

 流星は静かに頷いた。

「思い出せばいい。笑顔で触れて、手を重ねて、心を伝えれば──
 きっと“癒す力”も戻る」

 その言葉に、リィルがそっと微笑んだ。

「……なら、あなたから、試してもらえますか?」

「へ?」

「施術を、してみたいんです。“癒し”ってどんな感覚だったか、確かめたい」

「いや、それって俺が“癒される側”ってことだよな……? いやだって、今日はあんまり肩も凝ってないし……」

「……私が癒したら、また笑ってくれますか?」

「……わかった。全力で“ととのう”から、頼む」

 リリア(外で物音を聞いていた)「なにこの完全にイチャつき案件……」

 *

 その夜、回想の館には久々に灯りが戻った。

 “癒す力を失った施術師たち”と、“癒されすぎて革命を起こした勇者”の再会。

 彼女たちがもう一度、自らの感情を取り戻し始めたことは、
 都市にとって最初の“再生の兆し”だった。

 そして、次なる封印を巡る戦いが、始まろうとしていた。
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