異世界風俗❤『異世界転生したら風俗店こそが癒しの最前線だった件~俺は冒険して稼ぎ、全力で愛され、そして搾られる~』

本能寺から始める常陸之介寛浩

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《星の癒しと、忘れられた風俗都市》 ―忘却の都市《エストレリオ》、そして“感情を失った者たち”の癒し再生譚―

第141話『癒しは生きている──新たな風俗の夜明け』

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 空が白み始める。

 その朝、都市《エストレリオ》の中心区にある《回想の館》の扉が――静かに、ゆっくりと、開かれた。

「……風俗院が……」

「また、開いてる……」

 街の人々が足を止めた。
 誰もがかつて一度は通り過ぎ、やがて記憶の中から“消した”場所。

 だが今、そこには香が焚かれ、灯がともり、
 “癒しのぬくもり”が、確かに息をしていた。

 *

「“抱きしめていい”って、どうやって伝えるんですか?」

 リィルの問いかけに、アリシアが答えた。

「まずは、“あなたが感じてもいい”ってことを、自分に許すことから始めよう」

 ミレーユが頷く。

「手を重ねる練習、視線を合わせる練習、耳を傾ける練習……
 あなたたちは、それを“やめろ”と言われてきた。
 でも、また始めていいの。癒すことは、罪じゃない」

 リリアが苦笑する。

「感情のリハビリなんて、風俗でやる話じゃないけど……
 でも、ここはそれができる場所だから」

 施術師たちがうなずく。

「まず、隣に座るところから始めます」

「手を握るのに慣れるまでは、言葉を添えて」

「“ここにいていいよ”って、香で伝える」

「“あなたが好きな香りはなんですか”って、ちゃんと聞く」

 ひとりひとりが、自分で再教育のカリキュラムを作り出していた。

 それは、かつて記憶とともに失われた《癒しの技術》を、
 もう一度“人間として”取り戻す行為だった。

 *

「……流星」

 回想の館の中庭で、リィルが彼に問いかける。

「もし、“誰かを抱きしめる”ことで、その人の痛みを半分持っていけるとしたら……あなたは、やりますか?」

「もちろんやるよ」

 流星は即答した。

「でも、できることは“抱きしめること”までだ。
 “痛みを癒せるかどうか”は、相手が“癒されたい”って思えるかどうか、だからな」

「……はい。私も、そう思います」

 リィルは微笑んだ。

「今日は、初めて“誰かの名前を呼べた”日でした。
 名前を呼ぶって、こんなに……あたたかいんですね」

「名前って、存在の証だからな」

 流星は照れたように頭をかいた。

「俺は……正直、“癒しのプロ”でもなんでもないけどさ。
 でも、“この人のそばにいたい”って思えるのは、やっぱ名前を呼べたからだったりするんだよな」

 リィルは、照れたように笑い、そっと彼の手を取った。

「じゃあ、もう一度。
 流星様、今日はありがとうございました。
 あなたのおかげで……私は、私を取り戻せました」

 *

 街のあちこちでは、小さな変化が起き始めていた。

 長らく無表情だった花屋の老婆が、
「この香、孫の匂いに似てるの」と微笑んで花を売った。

 パン屋の少年が、「いらっしゃいませ」と照れ笑いで初めて言った。

 小さな祈りが、街に溶けていた。

 ──そして《回想の館》は、その夜、正式に再開を宣言した。

 《選べる癒し屋台》と提携し、街のどこにいても「施術の受付」が可能に。

「“手を握りたい”って思ったら、それを拒まないで」
「“ありがとう”って伝えたくなったら、それを止めないで」
「“会いたかった”と涙が出たなら、それを抱きしめるために私たちがいる」

 それが、“新たな風俗の形”だった。

 選ばれる癒し。
 選ぶ快楽。
 そして、触れてもいいと許される街。

 *

 数日後。
 《香都記録評議会》より、回想の館に正式な承認状が届いた。

 “癒しは、罪ではない。
 快楽とは、人が人と繋がるための祈りである。
 記憶とともに紡がれるぬくもりを、次の時代に託す。”

「癒しは、生きている」

 その言葉が、館の玄関に掲げられた。

「さて……次は、どこの街を癒してやろうか」

 流星が空を見上げた瞬間、
 新たな香便――“空から降る星の手紙”が届く。
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