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《楽園の夢と、風俗の彼方へ》 ――「癒し」が罪とされた楽園に、風俗勇者が踏み込む時
第143話『楽園の夢──癒しを禁じられた楽園』
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「報告します。都市《ルメア・ヴァスティア》にて、“抱擁衝動”の爆発的発生を確認。
市民間で不特定多数の“手を繋ぎたい”衝動、ならびに“見知らぬ他人を抱きしめたくなる”症例が急増しています。対象年齢層は9歳から80歳まで。階級・職種・信仰を問わず、感情の制御が困難に」
星辰評議会《アステリオン》第三管区・癒し監察局。
一人の老議官が、手元の報告書を閉じ、深くため息をついた。
「……やはり、“感情制御都市”の限界だな」
別の女性官吏が頷いた。
「都市構造は完璧です。しかし、その根幹にある“無接触規範”が、いま都市の内部から瓦解しつつあります」
「では……例の男を呼ぶしかあるまい」
「例の?」
「“風俗で都市を再生する男”だ」
「……またあの人ですか」
「またあの人です」
*
そのころ。
快晴の青空、やや上。
流星たちは、浮遊式魔導船《カリスト号》にて、空を突き進んでいた。
「うおおおっ、なんだこの高度! 酸素薄くない!?」
「船の魔力フィルターがあるから平気のはずよ」
「いや、それ以前に……この下……空だぞ!?」
アリシアが端末を確認しながら言う。
「目的地、《ルメア・ヴァスティア》までもう少し。
雲を抜けると、都市全体が“空中浮遊神殿群”のように連なってるはずよ」
「天界……ってやつか」
「厳密には、“感情清浄区域”って呼ばれてるみたい。
接触禁止・香使用制限・言語表現も制約付き……ほぼ修道院の街ね」
「そんなところで“ハグが止まらない現象”が起きてんのか……」
流星はため息をついた。
「相変わらず、問題のあるところにしか呼ばれねぇな、俺……」
*
都市《ルメア・ヴァスティア》――
空に浮かぶ大地の中心、白銀のドームと星形の回廊が連なる神聖都市。
地上との接触は制限されており、住民の感情教育は“無接触・無感動”を理想とする徹底管理型。
そして、地表に立った瞬間、流星たちは“違和感”を感じた。
「……空気が澄みすぎてる……いや、違う。無機質だ」
香がない。
湿度がない。
視線も、微笑みも、会釈も、ない。
ただ、白衣の人々が整然と動いているだけ。
「無表情の人混みって、こんなに怖いんだな……」
アストレアが小声で言った瞬間、警鐘が鳴った。
「異物接近。識別不明の外界生命体を確認。拘束術式展開」
「……へ?」
光の帯が発動し、瞬時に五芒星型の魔法陣が展開。
空間が歪み、白衣の“巫女部隊”が周囲に展開してきた。
──その人数、ざっと三十。
「出ましたッ! 空中都市恒例の“即拘束”イベント!!」
「余計なこと言ってる場合かああああああッ!!」
リリアが叫ぶ間もなく、術式が降下。
バシュゥッ!
次の瞬間、流星は腕を押さえられ、リリアとヴァネッサは魔法結界に包囲されていた。
「感情の波動、異常高値。外界快楽者と確認。
清浄戒律違反者として、ただちに《聖環審問所》に連行します」
「快楽者って、なんか言い方ヒドくない!?」
アリシアが抵抗しようとするが、すでに街の結界魔術が発動していた。
──感情、接触、香の全てを封じる都市結界《セラフィム環》。
「な、なんだこの圧……身体が、反応しない……」
「恐ろしく“ととのえられてる”な、この都市……!」
結界下では、香術も接触療術も封じられる。
この都市では、“癒し”そのものが異端だった。
*
審問所・地下収容殿。
石と白布に包まれた無機質な空間にて、
流星たちは無力化状態のまま、審問官と対峙していた。
「外界の者よ。貴殿らの接触行動は、当地の戒律に照らして“感情過多違反”と認定されました」
「うるせぇよ、こっちは“癒し外交官”の仕事で来てるっての!」
「癒し……?」
審問官の一人が鼻で笑う。
「癒しなど、病の源。快楽とは心の暴力。
それらを是とする都市など、“堕落の証”に他ならない」
「はん、見下すのは勝手だがな――」
流星は睨み返した。
「だったら、お前らの都市で起きてる“抱きしめたい病”はなんなんだ?」
審問官の笑みが消えた。
「我々の都市に、問題など存在しない」
「なら、なぜ評議会は俺を呼んだ?」
沈黙。
その刹那――扉の奥から、一人の少女が現れた。
透き通るような白銀の髪。天使のような白衣。
首元には“感情測定の封環”。
彼女は流星の前に立ち、じっと見つめて言った。
「……あなたの香り……なんだか、なつかしい」
彼女の名は、リヴィア=エルノア。
“感情を知らずに育った天界巫女”。
この日、彼女の胸に、“何か”が確かに芽生え始めていた。
市民間で不特定多数の“手を繋ぎたい”衝動、ならびに“見知らぬ他人を抱きしめたくなる”症例が急増しています。対象年齢層は9歳から80歳まで。階級・職種・信仰を問わず、感情の制御が困難に」
星辰評議会《アステリオン》第三管区・癒し監察局。
一人の老議官が、手元の報告書を閉じ、深くため息をついた。
「……やはり、“感情制御都市”の限界だな」
別の女性官吏が頷いた。
「都市構造は完璧です。しかし、その根幹にある“無接触規範”が、いま都市の内部から瓦解しつつあります」
「では……例の男を呼ぶしかあるまい」
「例の?」
「“風俗で都市を再生する男”だ」
「……またあの人ですか」
「またあの人です」
*
そのころ。
快晴の青空、やや上。
流星たちは、浮遊式魔導船《カリスト号》にて、空を突き進んでいた。
「うおおおっ、なんだこの高度! 酸素薄くない!?」
「船の魔力フィルターがあるから平気のはずよ」
「いや、それ以前に……この下……空だぞ!?」
アリシアが端末を確認しながら言う。
「目的地、《ルメア・ヴァスティア》までもう少し。
雲を抜けると、都市全体が“空中浮遊神殿群”のように連なってるはずよ」
「天界……ってやつか」
「厳密には、“感情清浄区域”って呼ばれてるみたい。
接触禁止・香使用制限・言語表現も制約付き……ほぼ修道院の街ね」
「そんなところで“ハグが止まらない現象”が起きてんのか……」
流星はため息をついた。
「相変わらず、問題のあるところにしか呼ばれねぇな、俺……」
*
都市《ルメア・ヴァスティア》――
空に浮かぶ大地の中心、白銀のドームと星形の回廊が連なる神聖都市。
地上との接触は制限されており、住民の感情教育は“無接触・無感動”を理想とする徹底管理型。
そして、地表に立った瞬間、流星たちは“違和感”を感じた。
「……空気が澄みすぎてる……いや、違う。無機質だ」
香がない。
湿度がない。
視線も、微笑みも、会釈も、ない。
ただ、白衣の人々が整然と動いているだけ。
「無表情の人混みって、こんなに怖いんだな……」
アストレアが小声で言った瞬間、警鐘が鳴った。
「異物接近。識別不明の外界生命体を確認。拘束術式展開」
「……へ?」
光の帯が発動し、瞬時に五芒星型の魔法陣が展開。
空間が歪み、白衣の“巫女部隊”が周囲に展開してきた。
──その人数、ざっと三十。
「出ましたッ! 空中都市恒例の“即拘束”イベント!!」
「余計なこと言ってる場合かああああああッ!!」
リリアが叫ぶ間もなく、術式が降下。
バシュゥッ!
次の瞬間、流星は腕を押さえられ、リリアとヴァネッサは魔法結界に包囲されていた。
「感情の波動、異常高値。外界快楽者と確認。
清浄戒律違反者として、ただちに《聖環審問所》に連行します」
「快楽者って、なんか言い方ヒドくない!?」
アリシアが抵抗しようとするが、すでに街の結界魔術が発動していた。
──感情、接触、香の全てを封じる都市結界《セラフィム環》。
「な、なんだこの圧……身体が、反応しない……」
「恐ろしく“ととのえられてる”な、この都市……!」
結界下では、香術も接触療術も封じられる。
この都市では、“癒し”そのものが異端だった。
*
審問所・地下収容殿。
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流星たちは無力化状態のまま、審問官と対峙していた。
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「うるせぇよ、こっちは“癒し外交官”の仕事で来てるっての!」
「癒し……?」
審問官の一人が鼻で笑う。
「癒しなど、病の源。快楽とは心の暴力。
それらを是とする都市など、“堕落の証”に他ならない」
「はん、見下すのは勝手だがな――」
流星は睨み返した。
「だったら、お前らの都市で起きてる“抱きしめたい病”はなんなんだ?」
審問官の笑みが消えた。
「我々の都市に、問題など存在しない」
「なら、なぜ評議会は俺を呼んだ?」
沈黙。
その刹那――扉の奥から、一人の少女が現れた。
透き通るような白銀の髪。天使のような白衣。
首元には“感情測定の封環”。
彼女は流星の前に立ち、じっと見つめて言った。
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