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《楽園の夢と、風俗の彼方へ》 ――「癒し」が罪とされた楽園に、風俗勇者が踏み込む時
第150話『快楽は光、癒しは翼──そして都市は羽ばたく』
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都市《ルメア・ヴァスティア》。
かつて“清浄”の名のもとに感情を捨て、香を禁じ、肌を封じたこの空中の理想郷は──
今、新たな“教典”を迎え入れようとしていた。
*
荘厳なる神殿議場。
白き床に、神光の柱が十本立ち並ぶ中、朗読が始まる。
【教典修正:第九条・追加文言】
「癒しは堕落にあらず。
快楽は神罰にあらず。
それは、祈りであり、再生であり、誰かを生かすための光である」
「感情にふれる手を、罪とするな。
涙を流した者を、罰とするな。
肌と肌がふれた夜に、“愛してる”を宿す者を、拒むな」
そして、追記された最後の一行。
『癒しは、人に翼を与える。
快楽は、人に生きる意味を返す。』
議場が、静まりかえった。
その筆致の下には、巫女団長――イリア=ルクレアの署名。
彼女は、もはや目を伏せてなどいなかった。
「私は恐れていた。
感情に呑まれた都市が、再び混乱に沈むことを。
でも今、私は知った。
“感情が都市を壊す”のではない。
“感情を否定する都市”こそが、自らを滅ぼしていたのだと」
拍手はなかった。
誰も泣かなかった。
だが、皆が笑っていた。
それだけで、都市の空気は変わった。
*
同時に、都市法務評議会より、正式に新計画が布告される。
【天界風俗復興計画】
名称:《香祈(こうき)再生整備事業》
目的:かつて封印された“感触・香・祈り”を用いた施術記録を再編成し、
市民が“癒しを選べる社会”を実現するための都市モデル拠点を開設。
その象徴として選ばれたのが――
清浄巫女から“施術師”となった少女、リヴィア=エルノアだった。
*
白き光が降り注ぐ神殿屋上。
そこには、都市に新たな“風”をもたらした者たちが並んでいた。
リヴィアは、かつてと同じ白衣に身を包みながらも、
表情はどこか柔らかく、凛とした芯を宿していた。
そして、その隣には、変わらずラフな格好の男――常盤流星。
「……これ、ほんとに俺、いていいの?」
「ええ。あなたは、“私の香りの始まり”ですから」
リヴィアはそう言って、手を重ねた。
「あなたに出会わなければ、私はいまだに“祈ることの意味”を知らなかった。
触れることが祝福だと、泣くことが祈りだと──
知らずに、生きたまま眠っていたままでした」
「……大げさだって」
「でも、事実です」
彼女は、夜空を見上げて微笑む。
「私は今日まで、誰かを“施術したい”と思ったことなど一度もなかった。
誰かを“抱きしめたくて震えた夜”など、あるはずがなかったんです」
流星の目が、ふと揺れる。
リヴィアは言った。
「だからいつか……あなたに、ちゃんと伝えたいんです」
「“抱きしめたくて震えた夜”のことを、香りとともに」
「その夜の私が、どれだけあなたにふれて、
それで、やっと“私自身になれた”のかを」
「……リヴィア」
「そのときは……もう一度、施術、受けてくれますか?」
「……ああ。
全力で、ととのわせてもらうよ」
*
都市に、風が吹く。
戒律は祈りへと姿を変え、
封じられた快楽は、光となって市民を包み込む。
“癒しとは、罪ではなかった”。
それを証明した小さな祈りが、
空に浮かぶ都市全体を、やさしく前へと押していた。
今、都市《ルメア・ヴァスティア》は――
翼を持って、未来へと羽ばたき始めた。
かつて“清浄”の名のもとに感情を捨て、香を禁じ、肌を封じたこの空中の理想郷は──
今、新たな“教典”を迎え入れようとしていた。
*
荘厳なる神殿議場。
白き床に、神光の柱が十本立ち並ぶ中、朗読が始まる。
【教典修正:第九条・追加文言】
「癒しは堕落にあらず。
快楽は神罰にあらず。
それは、祈りであり、再生であり、誰かを生かすための光である」
「感情にふれる手を、罪とするな。
涙を流した者を、罰とするな。
肌と肌がふれた夜に、“愛してる”を宿す者を、拒むな」
そして、追記された最後の一行。
『癒しは、人に翼を与える。
快楽は、人に生きる意味を返す。』
議場が、静まりかえった。
その筆致の下には、巫女団長――イリア=ルクレアの署名。
彼女は、もはや目を伏せてなどいなかった。
「私は恐れていた。
感情に呑まれた都市が、再び混乱に沈むことを。
でも今、私は知った。
“感情が都市を壊す”のではない。
“感情を否定する都市”こそが、自らを滅ぼしていたのだと」
拍手はなかった。
誰も泣かなかった。
だが、皆が笑っていた。
それだけで、都市の空気は変わった。
*
同時に、都市法務評議会より、正式に新計画が布告される。
【天界風俗復興計画】
名称:《香祈(こうき)再生整備事業》
目的:かつて封印された“感触・香・祈り”を用いた施術記録を再編成し、
市民が“癒しを選べる社会”を実現するための都市モデル拠点を開設。
その象徴として選ばれたのが――
清浄巫女から“施術師”となった少女、リヴィア=エルノアだった。
*
白き光が降り注ぐ神殿屋上。
そこには、都市に新たな“風”をもたらした者たちが並んでいた。
リヴィアは、かつてと同じ白衣に身を包みながらも、
表情はどこか柔らかく、凛とした芯を宿していた。
そして、その隣には、変わらずラフな格好の男――常盤流星。
「……これ、ほんとに俺、いていいの?」
「ええ。あなたは、“私の香りの始まり”ですから」
リヴィアはそう言って、手を重ねた。
「あなたに出会わなければ、私はいまだに“祈ることの意味”を知らなかった。
触れることが祝福だと、泣くことが祈りだと──
知らずに、生きたまま眠っていたままでした」
「……大げさだって」
「でも、事実です」
彼女は、夜空を見上げて微笑む。
「私は今日まで、誰かを“施術したい”と思ったことなど一度もなかった。
誰かを“抱きしめたくて震えた夜”など、あるはずがなかったんです」
流星の目が、ふと揺れる。
リヴィアは言った。
「だからいつか……あなたに、ちゃんと伝えたいんです」
「“抱きしめたくて震えた夜”のことを、香りとともに」
「その夜の私が、どれだけあなたにふれて、
それで、やっと“私自身になれた”のかを」
「……リヴィア」
「そのときは……もう一度、施術、受けてくれますか?」
「……ああ。
全力で、ととのわせてもらうよ」
*
都市に、風が吹く。
戒律は祈りへと姿を変え、
封じられた快楽は、光となって市民を包み込む。
“癒しとは、罪ではなかった”。
それを証明した小さな祈りが、
空に浮かぶ都市全体を、やさしく前へと押していた。
今、都市《ルメア・ヴァスティア》は――
翼を持って、未来へと羽ばたき始めた。
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