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《砂漠の秘宝と、快楽を記す遺跡へ》 ――触れ合いを石に刻んだ民の、失われた祈りとは?
閑話『風俗は巡る、だから俺は今日も癒されに行く』
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──人にはそれぞれ“立ち戻る場所”がある。
例えば、家だったり。
家族だったり。
推しの配信だったり。
ラーメン二郎だったり。
そして俺の場合は──
「……ここだよな、やっぱり」
《洗体処 忘香楼(ぼうこうろう)・本店》。
通称「湯けむりの聖域」。
この都市には珍しく、完全現実型の“ふれあい特化型風俗”でありながら、
営業許可を得ている数少ない店のひとつだ。
「おかえりなさいませぇ、お兄さん♪」
出迎えてくれたのは、毎度おなじみ、ロングヘアの元気系セラピスト・セリナ嬢。
見た目は清楚なのに、入るとガチ。
「今日もたまってそうな顔してますね~♡」
「いや、そんな顔に“たまってる”って単語乗せるなよ……!?」
「い~や、肩も腰も頭も……それにね、ぜんぶコリコリって感じ♡
ほぐしてあげちゃいますからね?」
「この会話、何割が風俗的意味なんだ……」
*
洗体ルーム。
といっても、ただの個室ではない。
照明は抑えめ、香は弱バニラ系、
マットは全面低反発泡構造で、
そこにオイルと香水を流し込んで滑るように施術される。
「それじゃあ、泡の導入いきますね~。
最初はあったか~いのから……」
(くる、くるぞ……)
背中にそっとかけられた泡が、
じゅわ、と音を立てて肌に沿った。
(……これだよ……)
さっきまで夢で“記録に残らない愛”を受け取ってた俺が言うのもなんだけど──
やっぱり現実って、物理接触がある。
泡の音、肌の摩擦、香の広がり、
それにセリナ嬢の絶妙な距離感の囁き。
「……これ、好きでしょ?♡」
「……いや、そりゃまあ……」
「反応が正直すぎますぅ~♡ でも、それが流星さんのいいところ♡」
「名前呼ばれるって……すごい破壊力だな……!」
夢の中でソティアにあれほど想いを込めて呼び続けたけど、
リアルに耳元でフルネーム囁かれると、理性ってバグる。
「ねぇ、流星さん。
最近“夢の女”とどうなんですか?」
「なんで知ってんの!?」
「評議会の回覧で話題です♡ “夢の中で施術師に本気になった男”って」
「やめろぉぉぉぉぉぉ! 現実まで話題が逆流してきてるじゃんか!!」
「それだけ“現実に戻ってきたあなた”が、偉いってことですよ♡」
「……」
その一言で、泡よりも、香よりも、
俺の中の何かがほどけた。
*
施術後。
湯に浸かりながら、セリナ嬢と小さなグラスを交わす。
「やっぱり、戻ってきてくれて嬉しかったです」
「夢って……どこか綺麗すぎるからさ。
“優しかった”記憶だけが残って、
誰がそこにいたのか、だんだん曖昧になるんだよ」
「でも、今夜は違った」
「俺、“ちゃんと触れられて、名前を呼ばれて、笑われて”──
生きてるって感じがしたよ」
セリナは小さく頷いて、
グラスを重ねた。
「また疲れたら、
“現実側”にもどってきてくださいね、常連さん」
「……ああ。
俺は、忘れねぇからな。
この手のぬくもりも、泡の音も、
“癒された記憶”も──全部」
(そして俺はまた、夢と現実の狭間へ戻っていく)
例えば、家だったり。
家族だったり。
推しの配信だったり。
ラーメン二郎だったり。
そして俺の場合は──
「……ここだよな、やっぱり」
《洗体処 忘香楼(ぼうこうろう)・本店》。
通称「湯けむりの聖域」。
この都市には珍しく、完全現実型の“ふれあい特化型風俗”でありながら、
営業許可を得ている数少ない店のひとつだ。
「おかえりなさいませぇ、お兄さん♪」
出迎えてくれたのは、毎度おなじみ、ロングヘアの元気系セラピスト・セリナ嬢。
見た目は清楚なのに、入るとガチ。
「今日もたまってそうな顔してますね~♡」
「いや、そんな顔に“たまってる”って単語乗せるなよ……!?」
「い~や、肩も腰も頭も……それにね、ぜんぶコリコリって感じ♡
ほぐしてあげちゃいますからね?」
「この会話、何割が風俗的意味なんだ……」
*
洗体ルーム。
といっても、ただの個室ではない。
照明は抑えめ、香は弱バニラ系、
マットは全面低反発泡構造で、
そこにオイルと香水を流し込んで滑るように施術される。
「それじゃあ、泡の導入いきますね~。
最初はあったか~いのから……」
(くる、くるぞ……)
背中にそっとかけられた泡が、
じゅわ、と音を立てて肌に沿った。
(……これだよ……)
さっきまで夢で“記録に残らない愛”を受け取ってた俺が言うのもなんだけど──
やっぱり現実って、物理接触がある。
泡の音、肌の摩擦、香の広がり、
それにセリナ嬢の絶妙な距離感の囁き。
「……これ、好きでしょ?♡」
「……いや、そりゃまあ……」
「反応が正直すぎますぅ~♡ でも、それが流星さんのいいところ♡」
「名前呼ばれるって……すごい破壊力だな……!」
夢の中でソティアにあれほど想いを込めて呼び続けたけど、
リアルに耳元でフルネーム囁かれると、理性ってバグる。
「ねぇ、流星さん。
最近“夢の女”とどうなんですか?」
「なんで知ってんの!?」
「評議会の回覧で話題です♡ “夢の中で施術師に本気になった男”って」
「やめろぉぉぉぉぉぉ! 現実まで話題が逆流してきてるじゃんか!!」
「それだけ“現実に戻ってきたあなた”が、偉いってことですよ♡」
「……」
その一言で、泡よりも、香よりも、
俺の中の何かがほどけた。
*
施術後。
湯に浸かりながら、セリナ嬢と小さなグラスを交わす。
「やっぱり、戻ってきてくれて嬉しかったです」
「夢って……どこか綺麗すぎるからさ。
“優しかった”記憶だけが残って、
誰がそこにいたのか、だんだん曖昧になるんだよ」
「でも、今夜は違った」
「俺、“ちゃんと触れられて、名前を呼ばれて、笑われて”──
生きてるって感じがしたよ」
セリナは小さく頷いて、
グラスを重ねた。
「また疲れたら、
“現実側”にもどってきてくださいね、常連さん」
「……ああ。
俺は、忘れねぇからな。
この手のぬくもりも、泡の音も、
“癒された記憶”も──全部」
(そして俺はまた、夢と現実の狭間へ戻っていく)
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