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《愛される音精は、誰の指名を受けるのか?──共鳴風俗《フォノ・セレステ》選定戦!》
第186話『禁忌の“共鳴キス”ルーム、密かに稼働開始』
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──ふれていない。
でも、今たしかに“唇に何かが落ちた”。
それは、風じゃない。
香でもない。
音でもなく、
それでいて――確かに“キス”だった。
*
深夜、《フォノ・セレステ》裏棟。
管理区域とは別に設けられた“研究試験施術室”にて、
秘密裏に稼働していた一つのプログラムがあった。
名前は――《感圧共鳴ルーム・TYPE-K》。
通称、《共鳴キス・ルーム》。
目的:
音圧波による“触感錯覚”の再現
特定振動周波数と皮膚温度により、“接触の幻”を神経系に直接送信
結果、相手と「ふれていないのにキスされた」錯覚を誘発する
研究責任者は音精の技師派閥。
本来は民間使用禁止。
だが、“リラクゼーション試験”として一部実施中だった。
そして――
「お疲れさまでした、ルセナ様。
こちらの部屋、空調と静音の状態が最適ですので、お使いください」
控え室の交代案内に、ルセナは何の疑いもなくうなずいた。
(……少しだけ、休もう)
部屋に入り、ドアが閉まった瞬間、
静かな音圧が空間に“落ちた”。
──無音。
だが、何かが近づいてくる感覚。
音の鼓動。
空気の震え。
体温よりわずかにあたたかい圧力。
「……っ」
(この振動……知らない……)
首筋が、ぞわりと震えた。
頬に、見えない指がふれた気がする。
そのまま、“顔”が近づいてくる。
──来る。
──くちびるが……
「……ッ……!?」
ふれられていないのに、
脳内が“ふれた”と錯覚した。
唇に、柔らかい圧と熱。
だが、どこにも接触はない。
その瞬間。
ルセナの心拍が、跳ねた。
共鳴キス、成功。
施術ログには、こう記録された。
【施術対象:音精ルセナ】
【共鳴到達:唇】
【記録反応:脳内共鳴+感情連鎖】
→ ※未許可対象に対する試験共鳴を記録。機密扱い。
*
「……なに……これ……?」
部屋を出たルセナは、震えていた。
ふれられていないのに。
でも、全身が覚えていた。
唇の感触、心臓の波、
そして――“誰かとつながった気がした”快楽。
「誰……?
わたし……誰と、ふれてしまったの……?」
答えは、ない。
だが、その“記憶のないキス”は、
彼女の“音”に明らかに“色”を加えていた。
翌朝。
ルセナの施術音は、これまでと違う“深み”を持ちはじめた。
“ふれてはいけないのに、ふれられた”。
その曖昧な境界が、彼女の旋律に妙な艶を加えていた。
それに気づいたのは、他ならぬ流星だった。
「……ルセナ。
お前、昨日──何があった?」
彼女は首を横に振る。
だが、胸の音晶がほのかに震える。
──“なにかが、ふれた”。
それだけが、確かだった。
でも、今たしかに“唇に何かが落ちた”。
それは、風じゃない。
香でもない。
音でもなく、
それでいて――確かに“キス”だった。
*
深夜、《フォノ・セレステ》裏棟。
管理区域とは別に設けられた“研究試験施術室”にて、
秘密裏に稼働していた一つのプログラムがあった。
名前は――《感圧共鳴ルーム・TYPE-K》。
通称、《共鳴キス・ルーム》。
目的:
音圧波による“触感錯覚”の再現
特定振動周波数と皮膚温度により、“接触の幻”を神経系に直接送信
結果、相手と「ふれていないのにキスされた」錯覚を誘発する
研究責任者は音精の技師派閥。
本来は民間使用禁止。
だが、“リラクゼーション試験”として一部実施中だった。
そして――
「お疲れさまでした、ルセナ様。
こちらの部屋、空調と静音の状態が最適ですので、お使いください」
控え室の交代案内に、ルセナは何の疑いもなくうなずいた。
(……少しだけ、休もう)
部屋に入り、ドアが閉まった瞬間、
静かな音圧が空間に“落ちた”。
──無音。
だが、何かが近づいてくる感覚。
音の鼓動。
空気の震え。
体温よりわずかにあたたかい圧力。
「……っ」
(この振動……知らない……)
首筋が、ぞわりと震えた。
頬に、見えない指がふれた気がする。
そのまま、“顔”が近づいてくる。
──来る。
──くちびるが……
「……ッ……!?」
ふれられていないのに、
脳内が“ふれた”と錯覚した。
唇に、柔らかい圧と熱。
だが、どこにも接触はない。
その瞬間。
ルセナの心拍が、跳ねた。
共鳴キス、成功。
施術ログには、こう記録された。
【施術対象:音精ルセナ】
【共鳴到達:唇】
【記録反応:脳内共鳴+感情連鎖】
→ ※未許可対象に対する試験共鳴を記録。機密扱い。
*
「……なに……これ……?」
部屋を出たルセナは、震えていた。
ふれられていないのに。
でも、全身が覚えていた。
唇の感触、心臓の波、
そして――“誰かとつながった気がした”快楽。
「誰……?
わたし……誰と、ふれてしまったの……?」
答えは、ない。
だが、その“記憶のないキス”は、
彼女の“音”に明らかに“色”を加えていた。
翌朝。
ルセナの施術音は、これまでと違う“深み”を持ちはじめた。
“ふれてはいけないのに、ふれられた”。
その曖昧な境界が、彼女の旋律に妙な艶を加えていた。
それに気づいたのは、他ならぬ流星だった。
「……ルセナ。
お前、昨日──何があった?」
彼女は首を横に振る。
だが、胸の音晶がほのかに震える。
──“なにかが、ふれた”。
それだけが、確かだった。
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