異世界風俗❤『異世界転生したら風俗店こそが癒しの最前線だった件~俺は冒険して稼ぎ、全力で愛され、そして搾られる~』

本能寺から始める常陸之介寛浩

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《愛される音精は、誰の指名を受けるのか?──共鳴風俗《フォノ・セレステ》選定戦!》

第190話『あなたに“もう一度抱かれたい”って思わせたくて』

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 《フォノ・セレステ》選抜祭後日。
 音精ルセナの施術ルームには、予約キャンセル待ちが二週間分を超えていた。

「……恋しに来る客が多すぎる」

 流星はルーム管理端末を見てため息をついた。

「癒されたいのか、惚れたいのか、もう分からねぇよな……」

 と、そこへ案内係がやってきた。

「本日、特別施術《共鳴記憶再投影セッション》が割り当てられています」

「再投影……? 過去の記録を使う共鳴技法か?」

 頷くスタッフ。
「お客様が“もう一度、あの夜の音を感じたい”と要望されたようです」

「施術対象者は――」

「……“記録音精No.74・匿名希望”」

 ──その名は伏せられていた。

 が、流星には分かっていた。

(この依頼、ヤバい匂いがする……!)

(ルセナが“ふれられなかったことを悔いてる誰か”と、再び向き合うってことだ)

 彼は小さく呟いた。

「……行ってこい。ルセナの“音”なら、きっと届く」

 ルセナの施術が始まった。

 空間は暗く、静かで、
 ただ“過去の音”が、微かに共鳴していた。

 その音――
 それは、彼女がかつて一度だけ、深く心を通わせた施術だった。

 ふれずに、ただ心臓のリズムを合わせ、
 涙の匂いに似た音だけで包み込んだ、たった一度の夜。

 その記録を再生しながら、今の“音”を重ねていく。

 ──ふれていない。
 ──でも、“想い”は残っている。

 ルセナの音が、重なりはじめたとき――

 突如、施術空間の奥から、別の音波が混ざった。

(え……?)

 それは、共鳴。

 ただの再生ではない。
 施術対象が、“過去の音”に反応し、自らの“声”を発したのだ。

 《記録音精No.74・匿名希望》──彼女の、音が鳴った。

「……あの夜、あなたにふれてほしかった」

「ふれなかったことが、優しさだと分かってた。
 でも、今も時々思い出すの。
 あの震える旋律。
 わたしの名前を、呼ばなかった優しさ」

「それでも……もう一度、あなたに“抱かれたい”って思ってしまうの」

 ルセナの手が震えた。

 胸の音晶が、静かに涙のような音を流し始める。

(わたしは……誰の音を、残してきたんだろう)

(“ふれない”施術は、記憶にならないと思ってた)
(でも、誰かの中に、ちゃんと残ってたんだ)

 彼女は、答えるように新たな旋律を奏でた。

 今度は、“名を呼ぶ音”。

 ──匿名の誰かではなく。
 ──“思い出になってしまった誰か”を、確かにふれなおす音。

「ありがとう……もう一度、音にしてくれて」

 その音は、やがて穏やかに消えた。

 施術は終了した。
 だが、空間に残った“感情の響き”は、しばらく消えなかった。

 施術後、ルセナは控室でぼんやりしていた。

 ドアが開き、流星が入ってくる。

「……大丈夫だったか?」

 ルセナは微笑む。

「……不思議です」

「ふれなかったのに、ふれていたみたいで。
 でも、ふれていたのに、ふれてなかった気もして……」

「……施術って、いつか“誰かの祈り”になるんですね」

 流星はその言葉に、何も返せなかった。

 だが、次の瞬間。
 ルセナが小さく笑った。

「でも、私――あなたにだけは、ふれられてもいいと思ってます」

 流星:「……えっ」

 ルセナ:「だって、“あなたの音”は、もう私の中に住んでますから」

 頬を染めたルセナの音晶が、静かに共鳴する。

 ──“あなたに、もう一度抱かれたいと思うのは、私も同じです”。

 流星:「…………ッ」

(この子……天然ラッキースケベだけじゃなくて、
 普通に恋の刺突力が高すぎる……!!)

 ドタバタハーレムの主役として、心臓の負荷がえぐい。

 だが、これは風俗ではない。
 でも巫女でもない。

 これは、“愛されたい者”の、
 “愛してしまった者”への――ささやかな願いだった。
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