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《「ふれない快楽」から「ふれ合う覚悟」へ》
第195話『仮面の下で、イキそうです──初外交プレイ』
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仮面国家《ノムナーム》。
そこでは、“名”を持つこと、呼ぶこと、さらには「快楽」そのものが公共の場から締め出されていた。
語らず、ふれず、個を明かさず。
ただ静かに、ただ深く――香と音と呼吸のみで、官能は内奥へと沈められる。
「――ここが、“愛を抑圧することで昇華する”国……」
ルセナは、音精としては異例の“風俗巫女”の肩書きを背負い、流星とともに外交視察団の一員としてノムナームに入国していた。
義務づけられたのは、名前の封印と仮面の着用。
そして、“共鳴外交”と呼ばれる儀礼。
その内容は――
『声を出してはいけない。触れてもいけない。
だが、音と鼓動のみで、相互の「情動指数」を交信せよ。』
「なんて……ドスケベな外交なの……!」
思わず小声で呟くルセナに、流星が咳払いして睨むが――
「事実じゃんっ……!」
そう。この儀礼こそ、名を持たぬ者同士の“無名外交”。
つまりは、匿名風俗施術外交――その最前線である。
儀礼室の中央、黒瑪瑙の床に寝かされた官僚の身体が、微かに震えていた。
「共鳴対象、情動指数95……98……上昇中……」
側の装置が、心拍と快楽ホルモンの分泌量を計測していた。
マスク越しでも、官僚の口元は薄ら笑みを浮かべているようにも見える。
ルセナは、ただ静かに腰を下ろし、官僚の傍らへ。
指は動かさず。唇も開かず。
ただ――「音圧」のみで施術が始まった。
ゆるやかに、ルセナの喉からハミングにもならぬ呼気が漏れた。
それが空気を揺らし、官僚の胸に、腹に、そして下腹部へと波を届けていく。
「――ッ」
ビクン、と官僚の体がわずかに跳ねる。
その様子を、仮面付きの観察官たちが冷静に記録していたが……
次第にその手も震え始めていた。
「……これは……音のマッサージでは、ない」
「まるで……ふれずに、官能を与える“聖女”の儀式……」
「だが聖女が……これは……あかん……勃ってる……ッ!」
ピッ、と音が鳴り、心拍数が180を突破。
「……い、イキそうです」
官僚の口が、かすかに動いた――その呟きは誰にも聞こえなかった。
だが、ルセナの音は、確実に彼の中に達していた。
──ピク、ピクンッ。
股間が、微かに跳ねた。
(あ……ダメ、ダメ……! 触れてないのに……!)
ルセナの胸元が紅潮する。
流星が思わず目を逸らしかけたが、同時に――
「……おい、下半身……震えてるぞ……!?」
「いや、涙ぐんでるだけかもしれん……」
「どっちだよ!?」
もはや外交の場という建前は崩壊寸前だった。
「……すごかった」
終了後、控室で息を整えるルセナの頬は火照っていた。
「声も……名前も……何もないのに、
“こんなに感じて、愛された”って分かるなんて……っ」
流星もまた仮面をつけたまま、小声で呟いた。
「仮面の下に……あんな表情があったなんてな」
「え?」
「ううん。なんでもない」
流星の心臓は、今でもルセナの“音”を思い出して鼓動していた。
触れずに、心臓を愛撫される。
そんな“官能”が、ここにはあった。
その夜、ノムナームの評議会では前代未聞の議論が始まる。
「……触れずにイカされた男がいると聞いたが?」
「国家の尊厳を傷つける快楽は、是か否か――」
その中で、ルセナの存在は「風俗巫女としての外交官」として新たな波紋を呼び始めていた。
──その仮面の下で、
誰よりも深く、名を呼ばれたくて震えている乙女がいるとも知らずに。
(……ねえ、流星……)
(いつか、この仮面を外して、“あなたの本名”で呼んでも、いい?)
そこでは、“名”を持つこと、呼ぶこと、さらには「快楽」そのものが公共の場から締め出されていた。
語らず、ふれず、個を明かさず。
ただ静かに、ただ深く――香と音と呼吸のみで、官能は内奥へと沈められる。
「――ここが、“愛を抑圧することで昇華する”国……」
ルセナは、音精としては異例の“風俗巫女”の肩書きを背負い、流星とともに外交視察団の一員としてノムナームに入国していた。
義務づけられたのは、名前の封印と仮面の着用。
そして、“共鳴外交”と呼ばれる儀礼。
その内容は――
『声を出してはいけない。触れてもいけない。
だが、音と鼓動のみで、相互の「情動指数」を交信せよ。』
「なんて……ドスケベな外交なの……!」
思わず小声で呟くルセナに、流星が咳払いして睨むが――
「事実じゃんっ……!」
そう。この儀礼こそ、名を持たぬ者同士の“無名外交”。
つまりは、匿名風俗施術外交――その最前線である。
儀礼室の中央、黒瑪瑙の床に寝かされた官僚の身体が、微かに震えていた。
「共鳴対象、情動指数95……98……上昇中……」
側の装置が、心拍と快楽ホルモンの分泌量を計測していた。
マスク越しでも、官僚の口元は薄ら笑みを浮かべているようにも見える。
ルセナは、ただ静かに腰を下ろし、官僚の傍らへ。
指は動かさず。唇も開かず。
ただ――「音圧」のみで施術が始まった。
ゆるやかに、ルセナの喉からハミングにもならぬ呼気が漏れた。
それが空気を揺らし、官僚の胸に、腹に、そして下腹部へと波を届けていく。
「――ッ」
ビクン、と官僚の体がわずかに跳ねる。
その様子を、仮面付きの観察官たちが冷静に記録していたが……
次第にその手も震え始めていた。
「……これは……音のマッサージでは、ない」
「まるで……ふれずに、官能を与える“聖女”の儀式……」
「だが聖女が……これは……あかん……勃ってる……ッ!」
ピッ、と音が鳴り、心拍数が180を突破。
「……い、イキそうです」
官僚の口が、かすかに動いた――その呟きは誰にも聞こえなかった。
だが、ルセナの音は、確実に彼の中に達していた。
──ピク、ピクンッ。
股間が、微かに跳ねた。
(あ……ダメ、ダメ……! 触れてないのに……!)
ルセナの胸元が紅潮する。
流星が思わず目を逸らしかけたが、同時に――
「……おい、下半身……震えてるぞ……!?」
「いや、涙ぐんでるだけかもしれん……」
「どっちだよ!?」
もはや外交の場という建前は崩壊寸前だった。
「……すごかった」
終了後、控室で息を整えるルセナの頬は火照っていた。
「声も……名前も……何もないのに、
“こんなに感じて、愛された”って分かるなんて……っ」
流星もまた仮面をつけたまま、小声で呟いた。
「仮面の下に……あんな表情があったなんてな」
「え?」
「ううん。なんでもない」
流星の心臓は、今でもルセナの“音”を思い出して鼓動していた。
触れずに、心臓を愛撫される。
そんな“官能”が、ここにはあった。
その夜、ノムナームの評議会では前代未聞の議論が始まる。
「……触れずにイカされた男がいると聞いたが?」
「国家の尊厳を傷つける快楽は、是か否か――」
その中で、ルセナの存在は「風俗巫女としての外交官」として新たな波紋を呼び始めていた。
──その仮面の下で、
誰よりも深く、名を呼ばれたくて震えている乙女がいるとも知らずに。
(……ねえ、流星……)
(いつか、この仮面を外して、“あなたの本名”で呼んでも、いい?)
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