異世界風俗❤『異世界転生したら風俗店こそが癒しの最前線だった件~俺は冒険して稼ぎ、全力で愛され、そして搾られる~』

本能寺から始める常陸之介寛浩

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《「ふれない快楽」から「ふれ合う覚悟」へ》

第201話『ルセナ、風俗巫女の“施術解放”』

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「……このまま、名前もなく、想いだけ残して……それでいいの?」

 

 風が吹いていた。
 音のない、無名国《シィアス・ナーム》の静寂を切り裂くように。

 けれど、ルセナには聞こえていた。
 ティフェリアの鼓動が、今にも壊れそうなほど高鳴っていること。

 仮面の奥に、涙の匂い。
 香の残滓。
 そして――熱。

 

「ティフェリア……」

 

 彼女は、何も言わずに首を振った。
 まるで、彼の声を拒んでいるように見えて、違った。

 肩が震えていた。
 心の奥底に押し込めてきたものを、今まさに壊そうとしていた。

 

「ふれられないまま……
 私、あなたに……恋してしまったの」

 

 たった一言だった。
 けれどそれは、この国では死刑に等しい言葉だった。

 “名乗ること”。
 “恋を告げること”。
 “自分を知ってもらいたい”と願うこと。

 

 それが、この国で最も忌避される“個の芽”だった。

 

「……名前を教えて」
 彼女は、両手で自分の仮面の縁をつかんだ。

「“私”を、このまま終わらせたくないの。
 あなたに、呼んでほしいの。
 この気持ちを……残したいの」

 

 カチャ――

 乾いた、仮面の留め金が外れる音がした。

 

 ルセナの喉が鳴った。
 無意識だった。
 ただ、その瞬間、彼の全身の“音のセンサー”が震えていた。

 汗が伝う。
 ティフェリアの首筋を這い、胸の谷間へ。

 柔らかな唇。
 ほんのり火照った頬。

 

 けれどそれ以上に、目だった。

 

「……君、そんな顔だったんだ……」

 ルセナが言った。
 ただ、それだけしか言えなかった。

 彼女の素顔は、たしかに“名を持つ者”の目をしていた。

 自分を誰かに届けようとする、決意と恥じらい。
 そして――愛。

 

 ティフェリアは言った。

「私、ずっとこの国で、誰にも名前を呼ばれずに生きてきた。
 娼婦として、体だけを差し出して。
 心はずっと……仮面の奥に閉じ込めてきたの」

 

 ルセナはそっと、彼女の頬に手を添えようとして――止めた。

 この国の禁忌。
 ふれることは、名を呼ぶ以上の反逆だ。

 

 だが、ティフェリアが自分の手を、ルセナの指に重ねてきた。

「いいの。
 この国じゃ“罪”でも、私は“罰”じゃなくて……“愛”として受け止めたいの」

 

 指先がふれた。
 ふれるだけで、全身が粟立つ。

 まるで――初めて誰かに触れられる生き物のように、
 ティフェリアはわずかに喘いだ。

「ん……っ」

 

 音はなかった。
 ただ、彼女の声帯の奥で、生まれてしまった甘い衝動の振動が、
 ルセナの“共鳴器官”にダイレクトに刺さった。

「ティ……」

 彼女が目を伏せ、震えながらうなずく。

「お願い。もう一度……呼んで……」

 

「ティフェリア」

 

 その名を、ただ囁くだけで――
 彼女の腰が、ふるりと跳ねた。

「っ、あ……っ」

 恥ずかしそうに口を手で隠したが、
 体が名を欲しがっているのは、明らかだった。

 

 ルセナは、名を呼ぶたびに、彼女の反応が高まっていくのを感じていた。

 名は、彼女にとっての愛撫だった。
 名は、彼にとっての施術だった。

 

「ティフェリア……君の、名を――愛してる」

 

 その言葉に、ティフェリアの瞳がとろけた。

「……わたしも……」

 

 ルセナの顔が近づく。
 唇が触れ合いそうになる、その寸前――

 ティフェリアが言った。

「ねえ、ルセナ……
 ふれてもいいよ。
 “名前を呼ばれる快楽”が、こんなにも甘くて、
 ……恥ずかしいって、気づいてしまったから」

 

 彼女は、自らの指で帯を解いた。

 ローブが肩を落ち、透ける白布からは、心拍に合わせて上下する胸の形が……。

「仮面の下の私を、全部……
 あなたの声で、抱いて」

 

 ふれずに愛してきたルセナが、
 今、ふれてしまう瞬間がそこにあった。

 

 ……だが――

 

 その背後、丘のふもとに現れたのは――
 “黒い官服を纏った女”だった。

 

「名前を呼ぶな。
 名は呪いであり、契約であり、支配だ」

 

 その女は名乗らなかった。
 だが、ティフェリアは知っていた。

 この国の創始者。
 “名を喰らう魔女”と呼ばれた――

 
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