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《「ふれない快楽」から「ふれ合う覚悟」へ》
第202話『外交官セックス──あなたの“名”を、絶頂の中で呼びたい』
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仮面の国《シィアス・ナーム》に、
“ふれない愛”が旋風のように広がっていた。
だがその中心で――
ふたりの外交官は、誰よりも深く、そして危うい一線の上を歩んでいた。
◆
「……ルセナ」
夜の風が、静かに仮面の境界をなでていく。
それは、ふたりだけの“裸の場所”。
周囲は静まり返り、誰もが“波動施術”の余韻に酔いしれている深夜。
ルセナは、流星の前で仮面を外した。
いや、もっと正確に言えば、
「名前を呼ばせるために」、それを脱ぎ捨てた。
「ねえ、流星……わたしの“名”って、何だと思う?」
静かに、服の紐をほどきながら、彼女は言った。
「ふれずに愛することって……とても官能的で、
でも、ふれたいって思った瞬間から、それは“恋”になってしまう」
肌が露わになる。
心音が高鳴る。
ルセナの胸元が、呼吸に合わせて揺れる。
そしてその瞳が、まっすぐに、流星の心を見つめていた。
「わたし、もう……名前で呼ばれたいの。
ふれられる“誰か”になりたいの……」
流星は、咄嗟に答えられなかった。
これまでの施術――
ふれない愛、名前のない悦び、匿名の絶頂。
それらすべては、この国での“流儀”だった。
それを破るということは、
外交官としてではなく、“男”として彼女に触れるということ。
「……ルセナ、お前の名を、呼びたいよ」
ただ、それは同時に、
彼女の中の“何か”を壊してしまう気がした。
純粋で、仮面越しの官能に咲いていた、あの美しさ。
ルセナは、そっと彼の胸に耳を当てる。
鼓動が速い。
彼女の頬も、赤く染まっている。
「じゃあ……名前のかわりに、これを覚えてて」
彼女は流星の心音に、自分の指をそっと重ねた。
「ドク……ドク……ドク……」
リズムが、合っていく。
まるで心臓が“名”を代弁しているかのように。
「わたしは、あなたのこの音で、イくから。
だから……ふれないまま、でも、“中”に来て……」
それは、まぎれもなく――
セックスではなかった。
だが、性交よりも濃密で深い、愛と官能の融合だった。
ルセナは、流星の胸にキスを落とした。
服の上から、心臓に、音に、想いを。
「わたし、あなたの“鼓動”が好き。
呼吸が、熱が、声にならない声が……全部、愛してる」
流星は、彼女の背を抱き寄せた。
触れてはいけないと知りながら。
それでも、彼女の吐息が、耳にふれた瞬間――
「あ……」
ルセナの身体が、震えた。
まるで心臓が、そこに達してしまったかのように。
「だめ、そこ……鼓動が、跳ねて……!
もう、呼ばれてるみたい……っ、あ、ああっ……!」
彼女は絶頂した。
服のまま。挿れられることなく。
ただ流星の“心”に、音に、名もなき愛に、貫かれて。
「ねえ……もう、名前なんていらない……」
ルセナは泣いていた。
満たされた涙だった。
ふれないまま愛し、ふれないまま堕ちて、
そして、ふれたまま、昇華されてしまった愛の姿だった。
◆
朝が来る。
だが、ふたりはまだ“名前”を呼ばなかった。
呼べば、きっと終わってしまう。
この仮面の国でだけ、許された“恋”のかたち。
けれど流星は思う。
いつか、彼女の名を呼ぶ日が来たなら――
それは、たった一度きりの、絶頂の瞬間にするのだと。
「その日が来たら……その名を、“中”で呼ぶよ」
ルセナは、そっと微笑んだ。
そして、ふたりはもう一度だけ、心臓を重ねた。
“ふれない愛”が旋風のように広がっていた。
だがその中心で――
ふたりの外交官は、誰よりも深く、そして危うい一線の上を歩んでいた。
◆
「……ルセナ」
夜の風が、静かに仮面の境界をなでていく。
それは、ふたりだけの“裸の場所”。
周囲は静まり返り、誰もが“波動施術”の余韻に酔いしれている深夜。
ルセナは、流星の前で仮面を外した。
いや、もっと正確に言えば、
「名前を呼ばせるために」、それを脱ぎ捨てた。
「ねえ、流星……わたしの“名”って、何だと思う?」
静かに、服の紐をほどきながら、彼女は言った。
「ふれずに愛することって……とても官能的で、
でも、ふれたいって思った瞬間から、それは“恋”になってしまう」
肌が露わになる。
心音が高鳴る。
ルセナの胸元が、呼吸に合わせて揺れる。
そしてその瞳が、まっすぐに、流星の心を見つめていた。
「わたし、もう……名前で呼ばれたいの。
ふれられる“誰か”になりたいの……」
流星は、咄嗟に答えられなかった。
これまでの施術――
ふれない愛、名前のない悦び、匿名の絶頂。
それらすべては、この国での“流儀”だった。
それを破るということは、
外交官としてではなく、“男”として彼女に触れるということ。
「……ルセナ、お前の名を、呼びたいよ」
ただ、それは同時に、
彼女の中の“何か”を壊してしまう気がした。
純粋で、仮面越しの官能に咲いていた、あの美しさ。
ルセナは、そっと彼の胸に耳を当てる。
鼓動が速い。
彼女の頬も、赤く染まっている。
「じゃあ……名前のかわりに、これを覚えてて」
彼女は流星の心音に、自分の指をそっと重ねた。
「ドク……ドク……ドク……」
リズムが、合っていく。
まるで心臓が“名”を代弁しているかのように。
「わたしは、あなたのこの音で、イくから。
だから……ふれないまま、でも、“中”に来て……」
それは、まぎれもなく――
セックスではなかった。
だが、性交よりも濃密で深い、愛と官能の融合だった。
ルセナは、流星の胸にキスを落とした。
服の上から、心臓に、音に、想いを。
「わたし、あなたの“鼓動”が好き。
呼吸が、熱が、声にならない声が……全部、愛してる」
流星は、彼女の背を抱き寄せた。
触れてはいけないと知りながら。
それでも、彼女の吐息が、耳にふれた瞬間――
「あ……」
ルセナの身体が、震えた。
まるで心臓が、そこに達してしまったかのように。
「だめ、そこ……鼓動が、跳ねて……!
もう、呼ばれてるみたい……っ、あ、ああっ……!」
彼女は絶頂した。
服のまま。挿れられることなく。
ただ流星の“心”に、音に、名もなき愛に、貫かれて。
「ねえ……もう、名前なんていらない……」
ルセナは泣いていた。
満たされた涙だった。
ふれないまま愛し、ふれないまま堕ちて、
そして、ふれたまま、昇華されてしまった愛の姿だった。
◆
朝が来る。
だが、ふたりはまだ“名前”を呼ばなかった。
呼べば、きっと終わってしまう。
この仮面の国でだけ、許された“恋”のかたち。
けれど流星は思う。
いつか、彼女の名を呼ぶ日が来たなら――
それは、たった一度きりの、絶頂の瞬間にするのだと。
「その日が来たら……その名を、“中”で呼ぶよ」
ルセナは、そっと微笑んだ。
そして、ふたりはもう一度だけ、心臓を重ねた。
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