異世界風俗❤『異世界転生したら風俗店こそが癒しの最前線だった件~俺は冒険して稼ぎ、全力で愛され、そして搾られる~』

本能寺から始める常陸之介寛浩

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《「ふれない快楽」から「ふれ合う覚悟」へ》

第202話『外交官セックス──あなたの“名”を、絶頂の中で呼びたい』

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仮面の国《シィアス・ナーム》に、
“ふれない愛”が旋風のように広がっていた。

だがその中心で――

ふたりの外交官は、誰よりも深く、そして危うい一線の上を歩んでいた。

 



 

「……ルセナ」

 

夜の風が、静かに仮面の境界をなでていく。

それは、ふたりだけの“裸の場所”。

周囲は静まり返り、誰もが“波動施術”の余韻に酔いしれている深夜。

ルセナは、流星の前で仮面を外した。

 

いや、もっと正確に言えば、
「名前を呼ばせるために」、それを脱ぎ捨てた。

 

「ねえ、流星……わたしの“名”って、何だと思う?」

 

静かに、服の紐をほどきながら、彼女は言った。

 

「ふれずに愛することって……とても官能的で、
 でも、ふれたいって思った瞬間から、それは“恋”になってしまう」

 

肌が露わになる。

心音が高鳴る。

ルセナの胸元が、呼吸に合わせて揺れる。

そしてその瞳が、まっすぐに、流星の心を見つめていた。

 

「わたし、もう……名前で呼ばれたいの。
 ふれられる“誰か”になりたいの……」

 

流星は、咄嗟に答えられなかった。

 

これまでの施術――
ふれない愛、名前のない悦び、匿名の絶頂。

それらすべては、この国での“流儀”だった。

それを破るということは、
外交官としてではなく、“男”として彼女に触れるということ。

 

「……ルセナ、お前の名を、呼びたいよ」

 

ただ、それは同時に、
彼女の中の“何か”を壊してしまう気がした。

純粋で、仮面越しの官能に咲いていた、あの美しさ。

 

ルセナは、そっと彼の胸に耳を当てる。

鼓動が速い。

彼女の頬も、赤く染まっている。

 

「じゃあ……名前のかわりに、これを覚えてて」

 

彼女は流星の心音に、自分の指をそっと重ねた。

「ドク……ドク……ドク……」

 

リズムが、合っていく。

まるで心臓が“名”を代弁しているかのように。

 

「わたしは、あなたのこの音で、イくから。
 だから……ふれないまま、でも、“中”に来て……」

 

それは、まぎれもなく――
セックスではなかった。

だが、性交よりも濃密で深い、愛と官能の融合だった。

 

ルセナは、流星の胸にキスを落とした。

服の上から、心臓に、音に、想いを。

 

「わたし、あなたの“鼓動”が好き。
 呼吸が、熱が、声にならない声が……全部、愛してる」

 

流星は、彼女の背を抱き寄せた。

触れてはいけないと知りながら。

それでも、彼女の吐息が、耳にふれた瞬間――

 

「あ……」

 

ルセナの身体が、震えた。

まるで心臓が、そこに達してしまったかのように。

 

「だめ、そこ……鼓動が、跳ねて……!
 もう、呼ばれてるみたい……っ、あ、ああっ……!」

 

彼女は絶頂した。

服のまま。挿れられることなく。

ただ流星の“心”に、音に、名もなき愛に、貫かれて。

 

「ねえ……もう、名前なんていらない……」

 

ルセナは泣いていた。

満たされた涙だった。

ふれないまま愛し、ふれないまま堕ちて、
そして、ふれたまま、昇華されてしまった愛の姿だった。

 



 

朝が来る。

だが、ふたりはまだ“名前”を呼ばなかった。

呼べば、きっと終わってしまう。

この仮面の国でだけ、許された“恋”のかたち。

 

けれど流星は思う。

いつか、彼女の名を呼ぶ日が来たなら――

それは、たった一度きりの、絶頂の瞬間にするのだと。

 

「その日が来たら……その名を、“中”で呼ぶよ」

 

ルセナは、そっと微笑んだ。

そして、ふたりはもう一度だけ、心臓を重ねた。
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