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《ふれあい風俗解禁──恋と肌と音のエレジー》
第207話『“ふれあり”施術室、潮吹き寸前──音と名前でイくまで』
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──それは、耳元で名を囁かれただけのはずだった。
それだけのはず、なのに。
「う、そ……名前を、呼ばれただけで……どうして……こんな……っ」
少女の喉が震え、足元がふらつく。
肌に触れられたわけじゃない。視線すら交わしていない。ただ、そっと耳朶(じだ)に吐息とともに、彼女の“名”が届けられただけ──
「……エリーゼ」
その低く囁く声は、深海のように濡れて、熱を秘めていた。
特区内に新設された専用施術施設《恋鳴室(れいめいしつ)》は、前代未聞の人気を博していた。
従来の「ふれあい施術」ではなく、今回の目玉は【音だけ】──耳に特化した新機軸。
“ふれあり”と銘打たれてはいるが、身体的接触は一切なし。
それでも施術を終えた者たちは、足をふらつかせ、甘く蕩けた表情で出口へと歩き去る。
「……あれで、何も触れてない……だと……?」
街の保安官が呟くほどの異常現象だった。
その施術を行うのは、耳施術師《ルカ》。
黒髪に銀の耳飾り、言葉ではなく「音の温度」で快楽を操作する男。
──音とは、振動。
──名とは、魂の芯を揺さぶる鍵。
その二つを組み合わせれば、ふれずして“絶頂”を導くことができると彼は語る。
「名は、愛のスイッチだ。
そして耳は、愛の導線だ」
そう言って微笑んだその声ですら、女たちを震わせた。
エリーゼは恋鳴室の“第二施術室”に通されると、真っ白な椅子に案内された。
「仰向けにはなれないので、横向きでお願いします」と言われたその瞬間、背中を撫でたのは声だった。
「緊張してる?」
首筋に微かにかかった音。
身体が、反射的に跳ねた。
「な、なにこれ……さわられてないのに、なんで……っ」
「……エリーゼ」
耳のすぐそばで囁かれたその名前が、スイッチだった。
名を呼ばれるたび、彼女の中のどこかが熱を持ち、ほどけていく。
“触れていないのに、濡れていく”という現象が現実に起こっていることに、彼女自身が最も戸惑っていた。
「ねえ……貴女の“音”……俺の中で渦巻いてる。
……もっと聴かせて? 名前で、貴女を包むから」
──ゾクリ。
喉の奥で何かが波打ち、脚の付け根が勝手に反応する。
ルカの声は低く、湿っていた。
けれどもその響きには、“侵略”ではなく“包容”の気配があった。
「……今、貴女の身体がどうなっているか、わかってるよ」
「“ふれられてない”からこそ、想像が加速する。
その想像が、快感を超える──それが、音の魔術だ」
彼の言葉は魔法陣のように重なり、彼女の頭の中を蕩けさせた。
エリーゼは口元を押さえながら、しかし耐えきれず呻いた。
「やだ……こんな、声だけで……なんで……こんなに……」
膝が勝手に擦れ合い、汗ばむ脚の間が熱を帯びていく。
下着が、微かに濡れている。気づいた瞬間、顔が火照った。
「ルカさん……っ、私、もう……」
「言わなくていい。
音に、委ねて」
──そして再び。
「……エリーゼ」
名を呼ばれただけで、甘い絶頂が、彼女を包み込んだ。
びく、と背筋が震えた瞬間。
彼女の中に、確かに“波”が走った。
──それは“潮”の前触れだった。
施術後、エリーゼは震える足取りで外に出た。
腰が抜けそうになりながらも、彼女は笑っていた。
「……はじめて……“音”だけで、こんなに……」
“音の快楽”は、“触れる”以上に深く潜る。
その夜、恋鳴室には“耳施術希望”の予約が殺到。
中には「名前を囁いてもらうだけでいいんです」と言い出す者まで現れた。
しかしルカは、こう釘を刺すことを忘れなかった。
「名を呼ぶのは、愛の行為。
軽く考えたら、破滅する。
音は、魂を揺らすからね」
──そしてまた、名を呼ぶ。
「……次は、誰の“渦”に触れようか」
それだけのはず、なのに。
「う、そ……名前を、呼ばれただけで……どうして……こんな……っ」
少女の喉が震え、足元がふらつく。
肌に触れられたわけじゃない。視線すら交わしていない。ただ、そっと耳朶(じだ)に吐息とともに、彼女の“名”が届けられただけ──
「……エリーゼ」
その低く囁く声は、深海のように濡れて、熱を秘めていた。
特区内に新設された専用施術施設《恋鳴室(れいめいしつ)》は、前代未聞の人気を博していた。
従来の「ふれあい施術」ではなく、今回の目玉は【音だけ】──耳に特化した新機軸。
“ふれあり”と銘打たれてはいるが、身体的接触は一切なし。
それでも施術を終えた者たちは、足をふらつかせ、甘く蕩けた表情で出口へと歩き去る。
「……あれで、何も触れてない……だと……?」
街の保安官が呟くほどの異常現象だった。
その施術を行うのは、耳施術師《ルカ》。
黒髪に銀の耳飾り、言葉ではなく「音の温度」で快楽を操作する男。
──音とは、振動。
──名とは、魂の芯を揺さぶる鍵。
その二つを組み合わせれば、ふれずして“絶頂”を導くことができると彼は語る。
「名は、愛のスイッチだ。
そして耳は、愛の導線だ」
そう言って微笑んだその声ですら、女たちを震わせた。
エリーゼは恋鳴室の“第二施術室”に通されると、真っ白な椅子に案内された。
「仰向けにはなれないので、横向きでお願いします」と言われたその瞬間、背中を撫でたのは声だった。
「緊張してる?」
首筋に微かにかかった音。
身体が、反射的に跳ねた。
「な、なにこれ……さわられてないのに、なんで……っ」
「……エリーゼ」
耳のすぐそばで囁かれたその名前が、スイッチだった。
名を呼ばれるたび、彼女の中のどこかが熱を持ち、ほどけていく。
“触れていないのに、濡れていく”という現象が現実に起こっていることに、彼女自身が最も戸惑っていた。
「ねえ……貴女の“音”……俺の中で渦巻いてる。
……もっと聴かせて? 名前で、貴女を包むから」
──ゾクリ。
喉の奥で何かが波打ち、脚の付け根が勝手に反応する。
ルカの声は低く、湿っていた。
けれどもその響きには、“侵略”ではなく“包容”の気配があった。
「……今、貴女の身体がどうなっているか、わかってるよ」
「“ふれられてない”からこそ、想像が加速する。
その想像が、快感を超える──それが、音の魔術だ」
彼の言葉は魔法陣のように重なり、彼女の頭の中を蕩けさせた。
エリーゼは口元を押さえながら、しかし耐えきれず呻いた。
「やだ……こんな、声だけで……なんで……こんなに……」
膝が勝手に擦れ合い、汗ばむ脚の間が熱を帯びていく。
下着が、微かに濡れている。気づいた瞬間、顔が火照った。
「ルカさん……っ、私、もう……」
「言わなくていい。
音に、委ねて」
──そして再び。
「……エリーゼ」
名を呼ばれただけで、甘い絶頂が、彼女を包み込んだ。
びく、と背筋が震えた瞬間。
彼女の中に、確かに“波”が走った。
──それは“潮”の前触れだった。
施術後、エリーゼは震える足取りで外に出た。
腰が抜けそうになりながらも、彼女は笑っていた。
「……はじめて……“音”だけで、こんなに……」
“音の快楽”は、“触れる”以上に深く潜る。
その夜、恋鳴室には“耳施術希望”の予約が殺到。
中には「名前を囁いてもらうだけでいいんです」と言い出す者まで現れた。
しかしルカは、こう釘を刺すことを忘れなかった。
「名を呼ぶのは、愛の行為。
軽く考えたら、破滅する。
音は、魂を揺らすからね」
──そしてまた、名を呼ぶ。
「……次は、誰の“渦”に触れようか」
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