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第87話『崩れる限界──痛みと涙と』
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「よーし、今日の授業はここまで! 帰る準備しろー!」
放課後のチャイムが鳴り響き、クラスにワイワイとした声が広がった。
ハルカも、笑顔を作りながら教科書をまとめる。
──膀胱に、ジンジンとした痛みを抱えたまま。
(あと少し、あと少し耐えれば……)
そう思っていた。
けれど、体は──
とうに限界を超えていた。
「うっ……!」
ハルカの体が、小さく震える。
目の前がじわりと滲んだ。
(だめだ……もう、無理……!)
必死に笑顔を作ったまま、ハルカは教室を飛び出した。
「ハルカー? どしたー?」
ミキの声が背後から飛んできたが、
もうそれに答える余裕すらなかった。
──走る、走る。
校舎の奥、女子トイレへ一直線。
個室に飛び込むと、ハルカは必死に座った。
だが──
「っ……!」
来ない。
強烈な尿意とは裏腹に、膀胱は、痛みでうまく開かなかった。
ジクジクと刺すような痛み。
押し潰されるような違和感。
出したいのに、出ない。
出そうとすると、さらに痛い。
「なに、これ……なに、これ……!」
パニックだった。
どうしていいかわからず、
膝を抱えて小さく震えた。
(いつもなら、こんなに苦しくないのに……)
(怖いよ……)
じわりと、瞳に涙が滲む。
誰にも見せたくなかった。
強がりたかった。
でも──
怖かった。
「……佐藤」
個室の外から、聞き慣れた低い声がした。
ケントだった。
驚いて、ハルカは慌てて口を押さえた。
(ばれた……? 泣いてるの、ばれた……?)
ドア越しに、ケントの気配が伝わってくる。
彼は、何も言わず、ただそこに立っていた。
無言で。
でも、確かに、待っていた。
ハルカは、必死に涙を拭い、
震える足で、個室を出た。
「ハ、ハハ……! だいじょーぶだもん! ちょっとだけ、お腹痛かっただけ!」
笑顔を作る。
また、無理に、作る。
けれど──
ケントは、ただ静かに彼女を見つめた。
そして、
低く、真っ直ぐな声で告げた。
「佐藤……お前、本当はヤバいだろ」
ハルカは、息を呑んだ。
もう、
ごまかせなかった。
(続く)
放課後のチャイムが鳴り響き、クラスにワイワイとした声が広がった。
ハルカも、笑顔を作りながら教科書をまとめる。
──膀胱に、ジンジンとした痛みを抱えたまま。
(あと少し、あと少し耐えれば……)
そう思っていた。
けれど、体は──
とうに限界を超えていた。
「うっ……!」
ハルカの体が、小さく震える。
目の前がじわりと滲んだ。
(だめだ……もう、無理……!)
必死に笑顔を作ったまま、ハルカは教室を飛び出した。
「ハルカー? どしたー?」
ミキの声が背後から飛んできたが、
もうそれに答える余裕すらなかった。
──走る、走る。
校舎の奥、女子トイレへ一直線。
個室に飛び込むと、ハルカは必死に座った。
だが──
「っ……!」
来ない。
強烈な尿意とは裏腹に、膀胱は、痛みでうまく開かなかった。
ジクジクと刺すような痛み。
押し潰されるような違和感。
出したいのに、出ない。
出そうとすると、さらに痛い。
「なに、これ……なに、これ……!」
パニックだった。
どうしていいかわからず、
膝を抱えて小さく震えた。
(いつもなら、こんなに苦しくないのに……)
(怖いよ……)
じわりと、瞳に涙が滲む。
誰にも見せたくなかった。
強がりたかった。
でも──
怖かった。
「……佐藤」
個室の外から、聞き慣れた低い声がした。
ケントだった。
驚いて、ハルカは慌てて口を押さえた。
(ばれた……? 泣いてるの、ばれた……?)
ドア越しに、ケントの気配が伝わってくる。
彼は、何も言わず、ただそこに立っていた。
無言で。
でも、確かに、待っていた。
ハルカは、必死に涙を拭い、
震える足で、個室を出た。
「ハ、ハハ……! だいじょーぶだもん! ちょっとだけ、お腹痛かっただけ!」
笑顔を作る。
また、無理に、作る。
けれど──
ケントは、ただ静かに彼女を見つめた。
そして、
低く、真っ直ぐな声で告げた。
「佐藤……お前、本当はヤバいだろ」
ハルカは、息を呑んだ。
もう、
ごまかせなかった。
(続く)
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