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第102話『予想外の暴露合戦』
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教室の一角。
冬の夕陽が窓から差し込む中、
ハルカは、ぐるりと取り囲まれた体育座り軍団の真ん中で、ブルブルと震えていた。
(な、なにこれ……こんなの、青春の一ページに刻みたくない……!)
必死に現実逃避を試みるが、
現実は無慈悲だった。
「はいはーい! じゃあ、まずは私から行くぞー!」
元凶こと、ミキが満面の笑みで挙手した。
教室中に緊張が走る。
「えーっとね、私はぁ……」
一呼吸置いて、ミキは堂々と宣言した。
「小・学・三・年・生・までーっ!!」
パチパチパチパチ!
まさかの拍手。
「さすがミキ! 安定のカミングアウト力!」
「三年生はまぁ……可愛い範囲だな!」
「むしろ潔い!」
周りの女子たちが口々に称賛する。
(な、なんでこんなに盛り上がってんの!?)
ハルカは心の中で叫びながら、
机の脚にしがみついた。
だが──そんなハルカを尻目に、
カミングアウト大会は止まらなかった。
「はい、次ナナ!」
「ふぇっ!? わ、私!?」
指名されたナナは、わたわたしながらも、
顔を赤くして口を開いた。
「わ、私も……小、四、かな……。修学旅行のとき……ちょっとだけ、失敗して……」
「「おおぉぉ~~~!!」」
またしても拍手と歓声。
「ナナ、そんなエピソード持ってたのか!」
「修学旅行おもらし、エモすぎ!」
「バスの中か!? バスか!?」
「ちがぁぁぁう!!」
ナナが顔を真っ赤にして否定する。
一同大爆笑。
(やばい……この流れ、完全にノリと勢いだけで成り立ってる……!)
(私、こんな場にいたら……死ぬ……!)
ハルカは机の下に潜りたかった。
だが、
その肩をガッチリ掴んでいるミキの手は、容赦なかった。
「さーて、次は誰かなぁ?」
「ユイ行けー!」
「エミも続けー!」
ワチャワチャと順番が決まっていく。
ユイ「私、小二のとき! でも、毎日じゃなかったから!」
エミ「わ、私も……小三のときに……インフルエンザで寝てるとき、うっかり……!」
告白、告白、告白ラッシュ。
「すげぇ! みんな一回は通る道じゃん!」
「人類みなおもらし経験者!!」
「人に歴史あり!!」
盛り上がる教室。
(なんでこんな謎の団結感が生まれてるのぉぉぉ!?)
ハルカは震えた。
しかも、
全員がなぜか「ハルカの順番」を心待ちにしている空気すらある。
「さて、佐藤ハルカさん?」
「準備はよろしいでしょうか?」
「さあ、告白の時間だぁぁぁ!!」
「いやあああああぁぁぁぁぁぁ!!」
ハルカ、机にしがみつき、泣きながら絶叫。
「絶対やだ!! 恥ずかしすぎる!! こんなこと言いたくないぃぃぃ!!」
必死に拒否するハルカ。
しかし、
囲んでいるミキたちは、
鬼のようなニヤニヤ顔だった。
「大丈夫、ハルカ!」
「みんなで受け止めるから!」
「どんな年齢でも、ドンとこい!」
「そんな受け止められたくないぃぃぃぃ!!!」
絶叫するハルカ。
──だが、逃げ場は、ない。
(ああ……もう……もうだめだぁ……)
(地獄だ……)
(青春とは、こんなにも……残酷なものだったんだ……)
ハルカは絶望の淵で、
人生最大の羞恥を覚悟するのだった。
──次はいよいよ、自分の番。
机に突っ伏したハルカの背中に、
夕陽が、哀れみのように差し込んでいた。
(続く)
冬の夕陽が窓から差し込む中、
ハルカは、ぐるりと取り囲まれた体育座り軍団の真ん中で、ブルブルと震えていた。
(な、なにこれ……こんなの、青春の一ページに刻みたくない……!)
必死に現実逃避を試みるが、
現実は無慈悲だった。
「はいはーい! じゃあ、まずは私から行くぞー!」
元凶こと、ミキが満面の笑みで挙手した。
教室中に緊張が走る。
「えーっとね、私はぁ……」
一呼吸置いて、ミキは堂々と宣言した。
「小・学・三・年・生・までーっ!!」
パチパチパチパチ!
まさかの拍手。
「さすがミキ! 安定のカミングアウト力!」
「三年生はまぁ……可愛い範囲だな!」
「むしろ潔い!」
周りの女子たちが口々に称賛する。
(な、なんでこんなに盛り上がってんの!?)
ハルカは心の中で叫びながら、
机の脚にしがみついた。
だが──そんなハルカを尻目に、
カミングアウト大会は止まらなかった。
「はい、次ナナ!」
「ふぇっ!? わ、私!?」
指名されたナナは、わたわたしながらも、
顔を赤くして口を開いた。
「わ、私も……小、四、かな……。修学旅行のとき……ちょっとだけ、失敗して……」
「「おおぉぉ~~~!!」」
またしても拍手と歓声。
「ナナ、そんなエピソード持ってたのか!」
「修学旅行おもらし、エモすぎ!」
「バスの中か!? バスか!?」
「ちがぁぁぁう!!」
ナナが顔を真っ赤にして否定する。
一同大爆笑。
(やばい……この流れ、完全にノリと勢いだけで成り立ってる……!)
(私、こんな場にいたら……死ぬ……!)
ハルカは机の下に潜りたかった。
だが、
その肩をガッチリ掴んでいるミキの手は、容赦なかった。
「さーて、次は誰かなぁ?」
「ユイ行けー!」
「エミも続けー!」
ワチャワチャと順番が決まっていく。
ユイ「私、小二のとき! でも、毎日じゃなかったから!」
エミ「わ、私も……小三のときに……インフルエンザで寝てるとき、うっかり……!」
告白、告白、告白ラッシュ。
「すげぇ! みんな一回は通る道じゃん!」
「人類みなおもらし経験者!!」
「人に歴史あり!!」
盛り上がる教室。
(なんでこんな謎の団結感が生まれてるのぉぉぉ!?)
ハルカは震えた。
しかも、
全員がなぜか「ハルカの順番」を心待ちにしている空気すらある。
「さて、佐藤ハルカさん?」
「準備はよろしいでしょうか?」
「さあ、告白の時間だぁぁぁ!!」
「いやあああああぁぁぁぁぁぁ!!」
ハルカ、机にしがみつき、泣きながら絶叫。
「絶対やだ!! 恥ずかしすぎる!! こんなこと言いたくないぃぃぃ!!」
必死に拒否するハルカ。
しかし、
囲んでいるミキたちは、
鬼のようなニヤニヤ顔だった。
「大丈夫、ハルカ!」
「みんなで受け止めるから!」
「どんな年齢でも、ドンとこい!」
「そんな受け止められたくないぃぃぃぃ!!!」
絶叫するハルカ。
──だが、逃げ場は、ない。
(ああ……もう……もうだめだぁ……)
(地獄だ……)
(青春とは、こんなにも……残酷なものだったんだ……)
ハルカは絶望の淵で、
人生最大の羞恥を覚悟するのだった。
──次はいよいよ、自分の番。
机に突っ伏したハルカの背中に、
夕陽が、哀れみのように差し込んでいた。
(続く)
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