『おしっこパニックで恋が始まる!?』

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第104話『ケントのまさかの告白!?』

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「うううう……」

 机に突っ伏し、
 微動だにしないハルカ。

 教室中には、まだ笑い声が渦巻いていた。

「ハルカ、小五伝説! 伝説認定!」

「卒業証書に“おねしょ特待生”って書かれてたんじゃね!?」

「やめてぇぇぇぇ!! これ以上えぐらないでぇぇぇぇ!!」

 涙目で叫ぶハルカ。
 だが、誰も止まらない。

 それどころか、
 さらに追い打ちをかけるように、
 ミキたちが机バンバン叩きながら大爆笑していた。

「青春って、こういうもんだよなぁ!!」

「ハルカ最高!! 伝説生きてた!!」

(ああ……私の人生、ここで終わるんだ……)

 ハルカは、遠い目をしていた。

 しかし──

 そのときだった。

 ふと。

 静かな、低い声が、
 教室の一角から響いた。

「……俺も、小四までだった」

 ──ケントの声だった。

「……え?」

 一瞬、
 空気が止まった。

 そして──

「えええええええええええええ!!?」

 教室中が、
 大爆発した。

「マジかよケント!!」

「意外すぎる!!」

「お前、そういうキャラだったか!?」

 男子たちが叫び、
 女子たちも目を丸くする。

「え、ケント、小四って……マジで!?」

「え、嘘じゃなくて!?」

 ざわざわざわざわ。

(な、なにこの展開……!!)

 ハルカは、
 机に突っ伏したまま、
 耳をピクピクさせた。

(えっ、ケントって……あのケントが……!?)

(無敵クール男子代表、みたいな顔してたのに……!)

 あまりの衝撃に、
 ハルカはゆっくりと顔を上げた。

 ──ケントは。

 普段と変わらない顔で、
 静かに教室の騒ぎを受け止めていた。

「別に隠すことじゃねーし」

 さらっと、言った。

 その顔は、
 ちっとも恥ずかしがっていなかった。

 堂々としていて、
 どこか、かっこよかった。

(……ズルい……)

 ハルカは思った。

(私なんて、あんなに絶叫して、泣きそうになって、机に突っ伏して、蒸気機関車だったのに……!)

(なんでケントは、あんなふうに……かっこよく、言えるの……!?)

 心臓が、
 ドクン、と跳ねた。

(……あれ?)

(なんで、ドキドキしてるの……?)

 ハルカは自分の胸を押さえた。

 ドクンドクン、と、
 速い鼓動が、掌に伝わる。

 ケントは、
 特別なことは何もしていない。

 ただ、
 ほんの少しだけ、
 自分のことを素直に言っただけ。

 ──それだけなのに。

(……かっこいい、って思っちゃった)

 頬が熱くなる。

 慌てて顔を伏せるハルカ。

(バカバカ! 何考えてんの私!!)

 心の中で自分を全力で叩きながら、
 それでも、
 ケントの言葉が、耳に残り続けていた。

「俺も、小四までだった」

 普通の一言。
 だけど、
 今のハルカには、
 妙にあったかく、
 胸に響いていた。

 ***

「……てか、ハルカよりは早かったな」

 ケントがぼそっと、
 ハルカの近くで呟いた。

「うぐっ」

 ハルカは顔を真っ赤にして、
 机に再度ダイブした。

 ゴンッ。

(やっぱりこの男、最低だぁぁぁぁぁぁ!!!)

 涙目で机を叩くハルカに、
 ケントはほんの少しだけ──
 口の端を上げて、微笑んだ。

(続く)
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