『おしっこパニックで恋が始まる!?』

本能寺から始める常陸之介寛浩

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【新章・立ちション願望ギャル乱入編】

第135話『最初の犠牲者、出る!?』

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 ──夕焼けに染まる校舎裏。

「いくよーっ☆」

 サバナ・ムトワが、
 怪しげなグッズを装着しながら元気よく叫んだ。

「ちょ、待っ──!」

「説明も練習もしてないからぁぁぁ!!」

 ハルカの叫びもむなしく、
 サバナは勢いよく構えた。

「スタンディング、ユリナリー、アターック!!」

 ドバァァァァァァァァァァァ!!!!

 水しぶきが爆発した。

「ぎゃあああああああああああああ!!!」

 ハルカたち、全員で飛び退いた。

 ……が。

 時すでに遅し。

 目の前で、
 教科書を抱えていたミキのスカートがびしゃびしゃになっていた。

「ミ……ミキぃぃぃぃ!!」

「なんでアタシだけぇぇぇぇぇ!!!」

 ミキ、泣きながらその場に崩れ落ちる。

 ***

「ご、ごめんねぇ!」

「なんか、変な方向に飛んだぁ!!」

 サバナは、ぺこぺこと謝りながら、
 手に持ったグッズを必死に振って水を飛ばしている。

(振るなぁぁぁぁぁぁ!!!)

(さらに飛び散るぅぅぅぅぅぅぅ!!!)

 ハルカは、心の中で絶叫した。

「でも、これ難しいよ!?」

「先っぽ、どっち向ければいいのかよくわかんないし!」

「そんなもん!!」

「人前で使うことを前提に作られてないからぁぁぁぁぁ!!」

 ナナが地面に膝をつきながら叫ぶ。

 ***

「じゃあ、アタシもトライしてみるわ☆」

 キラキラした目で、
 レイナ・クロフォードがグッズを構えた。

(やめろ……!)

(やめろレイナ……!)

(君だけは止まってくれぇぇぇぇ!!)

 ハルカたちの祈りも虚しく、
 レイナは堂々と足を開き、グッズをセット。

「よーし、アタシ、夢を掴むぅぅぅぅ!!」

 そして──

 ドバァァァァァァァァァァァ!!!!!!

 盛大な水柱。

 ズボン、ぐっしょり。

「わあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 レイナ、叫びながらぴょんぴょん跳ねた。

「冷たっ!! つめたぁぁぁぁぁぁい!!」

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 ハルカたち、頭抱えて地面を転がる。

「なんで!!」

「なんで立ちション練習して!!」

「なんでズボンびしょ濡れになって!!」

「なんでアタシたちが後始末しなきゃいけないのぉぉぉぉ!!!」

 ミキ、泣きながらタオルを持って走る。

 ナナは、タオルと着替えを求めてコンビニダッシュ。

 ユイは、静かにスマホを取り出し、
「証拠隠滅」とつぶやきながら写真を削除していた。

(──青春とは、かくも苦しいものなのか)

 ハルカは、
 夕日を見上げながら思った。

(なにこの立ちション練習地獄……)

(こんなの、普通の青春にカウントしていいの……?)

 しかし。

 目の前では、
 びしょ濡れレイナと、満面の笑みのサバナが、
「次こそ成功させようね!!」とハイタッチしていた。

(いや無理だからぁぁぁぁぁぁ!!!!)

 ハルカは、
 全力でツッコんだ。

 ***

「よし、作戦変更!」

「次は風下を確認してからやろう!!」

「違うよぉぉぉぉぉぉ!!」

「校舎裏でトイレ練習してる時点で全部アウトなのぉぉぉ!!」

 ミキが、
 びしゃびしゃのスカートを絞りながら叫ぶ。

「しかもグッズの説明書、まだ読めてないからね!? 誰も正しい使い方知らないからね!?!?」

 ナナも絶望的な叫びをあげた。

「わたし、今日のこと、なかったことにする……」

 ユイは、静かに存在を消しながら言った。

 ***

 でも、そんなドタバタの中でも。

 サバナもレイナも、
 心の底から楽しそうに笑っていた。

「夢、叶えたいもんね!」

「そうだよね! 諦めないよね☆」

 無邪気な笑顔が、夕日に照らされて眩しかった。

(……本当はさ)

(やってることはめちゃくちゃなんだけどさ)

(でも、こんなふうに夢を語れるの、すごいなって……)

 ハルカは、
 少しだけ、そんなことも思った。

(──いや、だからって、立ちション推奨はダメだけど!!!)

 自分で自分にツッコみながら、
 ハルカは頭を抱えた。

 そして、心の底から決意する。

(次こそ、絶対に止めてみせる!!)

(文明社会の尊厳を守るために!!!)

 ──しかし。

 ドタバタ劇は、まだまだ終わらない。

(続く)
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