『おしっこパニックで恋が始まる!?』

本能寺から始める常陸之介寛浩

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【新章・立ちション願望ギャル乱入編】

第136話『学校バレ寸前──緊急ミッション』

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 ──それは、まさに悪夢だった。

「……あれ? こんな時間に校舎裏にいるの、誰だ?」

 遠くから、
 重たい革靴の足音とともに、
 先生の渋い声が聞こえてきた。

「せ、せんせぇぇぇぇぇぇ!!?」

 ミキが、顔を真っ青にして絶叫。

「やばいやばいやばいやばい!!」

「よりにもよって、こんなタイミングでぇぇぇぇ!!」

 ナナも、必死に周囲を見渡す。

「……なんで、こういうときに限って巡回してくるの!?」

 ユイも、冷静な顔をしながらも、
 両手を小刻みに震わせていた。

 そして──

「ど、どどどどどうする!?」

 ハルカが、声にならない叫びをあげた。

(ヤバい……!!)

(グッズ……!)

(びしょ濡れズボン……!!)

(サバナとレイナのびしょびしょパンツルック……!!)

(──終わった……!!)

 脳内で“人生終了”のBGMが流れた、そのときだった。

「──よし!!」

 ハルカは、バッと顔を上げた。

「隠蔽工作開始!!!」

 ***

「サバナ、レイナ!!」

「とにかく立って!! ズボン隠して!!」

 ハルカが指示を飛ばす。

「オーケー☆」

「まかせて☆」

 なぜか元気よく応じるサバナとレイナ。

(いや、元気だけじゃダメなんだよぉぉぉぉ!!!)

 ハルカは、
 心の中で全力ツッコミを入れながら、動き回った。

「ミキ、ユイ、ナナ!」

「グッズを、グッズをどこかにぃぃぃぃ!!!」

「ど、どこって、どこに!?」

「かばん!かばんに突っ込め!!」

「ぐちゃぐちゃでいいから!!!」

「は、はいっ!!」

 ミキがランドセル並にパンパンなカバンを引っ掻き回し、
 無理やりグッズを押し込んだ。

 ブチィッ!と不吉な音がしたが、気にしない。

 今は生き延びることが最優先だった。

 ***

「……おーい?」

 先生の声が、
 さらに近づいてくる。

 靴音も、どんどん大きくなる。

(間に合うか!?)

(間に合うのかこれぇぇぇぇぇぇ!!!)

 ハルカたち、
 血眼で動き回る。

 サバナは、
 ズボンのびしょ濡れ部分をジャケットで隠しながら
「にっこり作戦☆」と無理やり笑顔。

 レイナも、
 太ももにバッグを押し付けて必死に隠す。

(がんばれ! がんばれ私たち!!!)

(絶対に!! バレるわけにはいかないぃぃぃぃ!!!)

 ハルカは、
 内心で自分たちを鼓舞した。

 ***

 ──そして。

 先生が、ついに角を曲がった。

 目の前に現れたのは──

 カバン抱えたユイ。
 不自然にスカートで太ももを覆うレイナ。
 汗だく笑顔のサバナ。

 それを中心に、
 やたら張り詰めた空気を纏う女子たち。

「……なにしてんだ?」

 先生は、眉をひそめた。

「え、えーとですね!!」

 ミキが、
 ありったけの勇気を振り絞って答える。

「部活動です!!」

「え、ええとっ、演劇部の即興練習!!」

「シ、シチュエーションは、えっと──」

「……“川に落ちたけど必死に隠そうとしてる女子たち”!!」

「…………」

 一瞬、静寂。

 ハルカたち、
 全員で冷や汗を垂らして先生の顔を見つめる。

(頼む……!!)

(このシナリオ、無理があるのはわかってる!!)

(でも、信じてぇぇぇぇぇ!!!)

 先生は──

「……青春だな」

 そう一言だけ残して、
 ため息をつき、踵を返した。

「生きたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 ハルカたちは、
 全員でその場にへたり込んだ。

 ***

「こ、こんな生きた心地しないミッション……二度とやりたくない……」

 ナナが、
 顔面蒼白で呻く。

「こんな青春、いらない……」

 ユイも、膝を抱えた。

「えへへー!」

「アタシ、青春満喫しちゃった☆」

 レイナが無邪気に笑う。

「青春って、最高だね!」

 サバナも、笑顔。

(違う……)

(絶対違う……!!)

 ハルカは、
 真っ白に燃え尽きながら、
 空を見上げた。

 そして、心に深く誓った。

(絶対に……!)

(このカオスを止めてみせる!!)

(いつか──きっと……!!)

 ──だが。

 ドタバタ青春劇は、
 まだまだ収まる気配を見せなかった。

(続く)
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