『おしっこパニックで恋が始まる!?』

本能寺から始める常陸之介寛浩

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【新章・立ちション願望ギャル乱入編】

第138話『グッズ封印式──二度と開けるな!』

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 ──日が完全に沈んだ後の、校舎裏。

 冷たい夜風が吹き抜ける中、
 ハルカたちは輪になって立っていた。

 中央には、
 例の“女子用スタンディングユリナリーデバイス”が、
 まるで何かの秘宝のように鎮座している。

「……というわけで」

 ハルカは、深刻な顔で宣言した。

「このグッズを──」

「ここに、封印します!!」

「おおおおおぉぉぉぉ!!」

 なぜか盛大に盛り上がる周囲。

 サバナは両手を組んで神妙な顔をし、
 レイナは真剣そのものの顔で頷いている。

 ミキ、ナナ、ユイも、
(なにやってんだろ……)と思いながらも、空気に流されていた。

 ***

「みんな……よく聞いて」

 ハルカは、
 一つ一つ、言葉を噛みしめるように続けた。

「立ちションは──」

「自由の象徴じゃありません!!」

「革命でもありません!!」

「むしろ、社会のルールを守るために──」

「夢で終わらせなければならないのです!!!」

 ビシィィッ!!

 右手を高く掲げて、
 ハルカは叫んだ。

「立ちションは!!」

「夢で終わらせろぉぉぉぉぉ!!!!」

「うおぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 サバナとレイナも、なぜか感動して叫んだ。

「立ちションは! 夢!!」

「現実でやったら犯罪!!」

「みんなの未来のために!!」

「トイレは、室内!!!」

「──室内トイレONLY!!」

 サバナも、ガッツポーズで決意表明。

(なにこの謎の一体感……)

 ハルカたちは、
 もういろんなものを超越して、無駄に熱くなっていた。

 ***

「じゃあ、封印作業に入るよ!」

 ハルカが、
 グッズを丁寧にタオルで包み、さらに袋に入れた。

 ミキが、袋の口をきっちり縛る。

 ナナが、そこにでかでかとマジックで書いた。

 ──【開封厳禁】──
 ──【絶対に開けるな】──
 ──【これは Pandora's Pants】──

「……パンドラの、パンツ?」

 レイナが小首をかしげる。

「そうだよ!!!」

「この袋を開けたら──世界が終わるからぁぁぁぁ!!」

 ハルカが、魂の叫びで応えた。

(マジで……!!)

(次に誰かが使ったら、本当に青春が終わる……!!!)

 ***

「じゃ、誓おうか」

 ミキが、
 厳かな顔で言った。

「絶対に、二度とこの袋を開けない!」

「絶対に、立ちションにトライしない!」

「そして、ちゃんと、トイレでおしっこする!!」

「はい!」

「誓います!!」

 レイナ、サバナ、エミリ、全員が大声で宣誓。

「……仕方ないな」

「誓うよ……」

「……絶対に、これ以上被害者を増やさないために」

 ナナとユイも、苦笑しながら手を挙げた。

(──よかった)

(これで……)

(やっと……)

(普通の日常が……)

 ハルカは、
 心からの安堵を覚えていた。

「よしっ!」

「じゃ、封印完了──!」

 袋をきゅっと結び、
 裏庭の物置小屋にそっと押し込む。

 カチャン。

 南京錠をかけて、
 本当に“封印”した。

 ***

「ふふん!」

「これで、アタシたち、文明人☆」

 レイナが得意げに笑った。

「アタシも──」

「トイレは、ちゃんと室内だけって決めたもんね!」

 サバナも、胸を張る。

「……アタシたち、ちょっとだけ成長したかも」

 ミキが、
 笑いながらポンとハルカの肩を叩いた。

「まぁ、まともになったっていうか……」

「最低ラインに戻ったっていうか……」

 ナナが、
 冷静なツッコミを入れる。

「……でも、これも青春、ってことで」

 ユイがぽつりとつぶやいた。

(──そうだ)

(バカなことして、バカみたいに笑って)

(でも、ちゃんと真剣になって)

(それが、きっと)

(アタシたちだけの──最高の青春だ)

 ハルカは、
 静かに、そう思った。

「じゃ、帰ろっか!」

「冷えてきたし!」

 ミキが手を振る。

「帰ったら、あったかいお風呂入ろー!」

「あと、甘いものも食べたい!!」

「わかる~!」

「おしっこも、ちゃんと室内で!!」

 レイナとサバナが、笑いながらハイタッチした。

(……うん)

(これでいい)

(これで……本当に、よかった)

 ハルカは、
 微笑みながら、仲間たちと歩き出した。

 ──青春は、まだまだ続く!

(続く)
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