『おしっこパニックで恋が始まる!?』

本能寺から始める常陸之介寛浩

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【新章・尻尾グッズで大混乱編】

第143話『尻尾装着、寸前大惨事!』

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 ──尻尾グッズを囲み、
 誰が一番「プリティアニマルクイーン」にふさわしいかを決めようという
 謎の尻尾大会(仮)が、いま始まろうとしていた。

(いや、始まっちゃだめでしょ!?)

 ハルカは、
 心の底から叫んでいた。

 しかし、
 サバナ・ムトワはそんな常識など知る由もない。

「よぉぉぉし!!」

「じゃあ、アタシが先陣切るぜぇぇぇ!!」

 元気に拳を振り上げたかと思うと──

 バッ。

 迷いゼロの動きで、
 サバナはスカートを捲り上げ、ズボンを下ろし始めた。

「ちょ、ちょ、ちょちょちょちょちょちょちょちょちょ!!!」

 ハルカ、
 反射で叫びながら跳びついた。

 バンッ!!

 地響きのような音とともに、
 ハルカとサバナ、二人まとめて床に倒れ込む。

「やめろぉぉぉぉぉ!!」

「今ここで未来を壊すわけにはいかないぃぃぃぃぃ!!!」

 ハルカは、
 ズボンを押さえ、スカートを引き下ろし、
 必死でサバナを制止する。

「え~? なんで~?」

「アタシ、ただカッコよくなりたいだけなのに~」

 サバナは、屈託ない笑顔で言う。

「どこがカッコいいんだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 ミキとナナも、
 慌てて駆け寄り、ハルカの応援に回る。

「止めろ止めろ!!」

「止めろってばぁぁぁぁぁ!!!」

「プリティアニマルじゃなくて、プリズンブレイクになっちゃうから!!」

 ナナの的確すぎる叫びが教室に響き渡った。

 ***

 ──そのときだった。

 サバナの手から、
 問題の尻尾グッズが、
 つるんと滑り落ちた。

「──あっ!!」

 誰もが、固唾を飲んだ。

 ピュンッ!!

 尻尾は、妙な回転をしながら空を飛び──

 ズボッ。

 ミキの頭に、
 見事に突き刺さった。

「……へ?」

 ミキ、完全フリーズ。

 頭から突き出た、
 ピンク色のふわふわモコモコ尻尾。

 それはまるで──

 尻尾付き人間。

「ぎゃははははははははははははは!!!!」

 サバナ、レイナ、ナナ、ユイ、エミリ──

 全員が、
 床に転がって笑い転げた。

「ミキ!!」

「ミキが進化したぁぁぁぁぁ!!!!」

「アニマル進化第一号ぉぉぉぉぉ!!!!」

 ミキは──
 言葉を失ったまま、ゆっくりと尻尾に手を伸ばす。

「……これ、」

「……めっちゃプリッてしてる……」

 まさかのセルフ認識。

「違う!!」

「それ違うからぁぁぁぁぁぁ!!!」

 ハルカ、
 頭を抱えて崩れ落ちた。

 ***

「いやー、ミキ超似合うわー!」

「マジプリティ!!」

「今すぐ文化祭のアイドル枠で出られるよ!」

 レイナとサバナ、ノリノリで褒めちぎる。

 ナナも、「ちょっと可愛い……」と呟いている。

「……おい……やめろ……」

 ミキが、
 尻尾を振りながら呟いた。

「今さら正気に戻っても……」

「アタシ……もう戻れない気がする……」

「いや戻ろうよぉぉぉぉ!!!」

「頼むから戻ってぇぇぇぇ!!!」

 ハルカは、
 絶叫しながらミキを揺さぶった。

「だってさぁ」

「ハルカも付けたら?」

「似合うと思うよ☆」

 レイナが、
 とびきりの笑顔で差し出してきた、
 もう一本の尻尾グッズ(予備)。

「絶対! イヤぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 ハルカは、
 魂の叫びをあげながら走り出した。

(このクラス……)

(狂ってるぅぅぅぅぅぅ!!!!)

 夕日に染まる教室で、
 またひとつ、青春の尊厳が粉々に砕けた──。

(続く)
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