『おしっこパニックで恋が始まる!?』

本能寺から始める常陸之介寛浩

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『謎のドリンクで、止まらない!?~トイレへの疾走と青春の限界突破編~』

第150話『体育館裏、密かな暴発事件!?』

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 ──放課後。

 チャイムの音が鳴るよりも早く、
 ハルカたち数人の女子は無言で目を合わせた。

(いける……今しかない……!)

「行こう」

 ミキが小声で言うと、ナナ、ユイ、そしてハルカも無言で頷いた。

 場所は“体育館裏”。

 校内のトイレは補修工事で一部使用不可。保健室前は職員の動線。
 そして女子トイレの列は、すでに長蛇。

 唯一目立たず使えるのが、古びた体育館の裏手にある“予備設備”。

「私たちは今、ただトイレに行くだけなのに……なぜこんなスリルが……」

 ハルカは足早に移動しながら、軽く膝を曲げた姿勢で腰をかばっていた。

 サバナとレイナも後から合流。

「いやー、演劇部ネタでまさかスルーされるとは!」

「文明とは自由を奪うものだと知ったよ……膀胱的に!」

「自由の話してる場合じゃないわよ!!」

 ハルカは怒鳴りながら、体育館裏へ続く裏道へ折れた。

 そこには確かに、
 古いタイプの男女共用トイレの扉があった。

「よし、あとは順番に……」

 ──カチャ。

「……開かない……?」

 ナナがノブを回しながら振り返る。

「え? 嘘でしょ!? 嘘だって言って!!」

 ハルカが一歩前に出て、力いっぱいドアを引く。回す。叩く。蹴る。

 しかし、びくともしない。

「詰んだァァァァァァァ!!!!」

「なんでこんなときにぃぃぃぃ!!!!」

 サバナは地面に崩れ落ち、
 レイナは空に向かって「解き放ってくれぇぇぇ!!」と叫んでいた。

「と、とにかく落ち着こう! た、耐えれば……耐えれば……!」

 ミキがその場で、謎のリズムステップを始める。

「あたしはね……リズムでおしっこを忘れるって聞いたの……!!」

「それ、ガセだよぉぉぉ!!」

 ナナは近くの体育館の壁に手をつき、壁ドン姿勢で膀胱集中回避モードに入る。

「冷たい壁に集中……私は岩……私は滝の下の修行僧……!」

「むしろ“滝”って言うなぁぁぁぁぁ!!!!」

 ハルカは泣き叫びながら、自分の両足をぎゅうううっと交差させて耐える。

「おかしい……私たち、ただ学校生活してただけなのに……!」

「なんで“トイレ難民”みたいな地獄を味わってるの……!?」

「この状況、どう考えても異常でしょ!?!?!」

「でも……でも!!」

「誰も……まだ漏らしてない!!」

 ミキがステップ踏みながら吠える。

「それが……奇跡だよ!!」

「そろそろ誰か……人類の限界、超えてる気がする……」

 ナナの顔は完全に無の境地へ突入していた。

「このままだと……」

「マジで……誰かが、ここで、終わる……!」

 ハルカは、
 朦朧とした意識の中で未来を想像した。

 誰かが、静かに、カタカタと足を鳴らす音。

 誰かが、ぽろっと「……無理かも……」と呟く音。

 そして、足元から……水滴が……

「うああああああああああああああ!!!!」

「見たくない未来見たくない未来見たくない未来見たくないぃぃぃ!!!」

 ハルカは叫びながら壁に頭を打ち付けた。

 ──そのとき、背後からひとりの少女が走ってきた。

「開いたよォォォォォ!!!!鍵見つかったァァァ!!」

 エミリだった。

 彼女の手には、体育館管理用のキーボックスが握られていた。

「お、おそっ!!」

「なぜこんなタイミングで!!」

「ってか鍵、そこにあったのかよ!!!」

 全員、泣きながら扉に突進。

 そして──
 “脱出”が始まった。

(続く)

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