『おしっこパニックで恋が始まる!?』

本能寺から始める常陸之介寛浩

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『謎のドリンクで、止まらない!?~トイレへの疾走と青春の限界突破編~』

第154話『笑って流せる日が来るまで』

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 ──あの地獄のような一日から、数日が経った。

 廊下には涼しい風が通り、空は少しだけ秋色に傾いている。

 教室の窓際、ミキがジュースを飲みながらぽつりと呟いた。

「……あのときさ、実はアタシ……ちょっとだけ、出ちゃってたかも~♡」

 その一言で、教室の空気が凍った。

 しかし、すぐに──

「マジで!? お前だったの!?!?!?」

「やっぱりあの“チョロロ”音、お前だったんかぁぁぁ!!」

 ナナとレイナが爆笑しながら机をバンバン叩く。

「えー、じゃあ言うけど……アタシも……ほんの数滴、限界寸前で……」

 サバナも続く。

「え、嘘!? じゃああの時“私は岩”って言ってたの、ただの自己暗示!?!?!?」

 ナナが頭を抱えて崩れ落ちる。

「いや、もういっそみんな言おうぜ!」

 レイナがガッツポーズで叫ぶ。

「“あのとき私もちょっと危なかった”選手権!!開催じゃあああ!!!」

「やめとけぇぇぇぇ!!!」

 ハルカが即座にツッコミを入れるが、すでに手遅れだった。

「実は私は、音がバレそうで、わざと咳してた……」

「私は、机にジュースこぼしたフリで濡れ跡ごまかした……」

「アタシ、スカートを引っ張って座面からずらしてた……!」

 教室中が、もはや戦場を語る帰還兵の談話室と化していた。

「もうさ、あれだよね」

「“誰がやらかしたか”とかじゃなくて、“誰が一番面白かったか”の話だよね」

 ミキが吹き出しながら言うと、ナナが即座に返す。

「優勝はレイナの“スッキリした♡”発言だろ!!!」

「えっへん☆」

 ドヤ顔のレイナを見て、全員が再び爆笑。

(……あの日のあれを、笑って話せる日が来るなんて……)

 ハルカは少しだけ遠くを見て、感慨深くなっていた。

「でも……みんな仲良くなった気がするよね」

「うん、尿意って団結生むんだなって」

「それ絶対教材にしちゃダメなやつ……」

 そんな中、ひときわ明るい声が跳ねた。

「じゃあさ、次は──“出さずに1日耐える合宿”しようぜ☆」

 言ったのはもちろん、黒ギャル爆弾娘・レイナである。

「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 ハルカが叫んだ瞬間、教室の壁が軽く震えた。

「それもう青春じゃないの!! もはや拷問なの!!」

「人間の尊厳と、友情と、尿意をいっしょくたにするなぁぁぁ!!!」

「でも、やってみたくない?」

「アリかも……」

「賭けとかにしたら盛り上がる気がする……」

「おまえら真顔で言うなぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 頭を抱えるハルカに、全員がにやりと笑った。

「まあ、またおしっこで絆深めよーぜ♡」

「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 叫びながら、ハルカは机に全身を投げ出す。

 けれどその顔は、確かに笑っていた。

 尿意と羞恥と青春と、わけのわからない日々。
 でもそこにあったのは──確かに本物の“絆”だった。

 今日もまた、彼女たちは笑い合い、
 次なるドタバタの日々へ向かって歩き出す。

 そう、笑って流せる日が来るまで。

(終)
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