前代未聞のトイレ異世界転移ファンタジー～うちのトイレは異次元でした。街中は勘弁してください。いや、そこもちょっと！～

第89話：東尋坊の刑事と殺人犯と緊迫の便器

俺、佐藤太一、18歳。

この呪われたトイレに振り回される生活、もう慣れっこだけど毎回予想外だ。

昨日は翔太の告白失敗で切なすぎて心がグチャグチャになったし、もう切なすぎる場所はマジで勘弁って思ってた。

明るく楽しい場所に行きてえよ……って願ってたけど、このトイレは毎回予想を東尋坊にぶち込んでくる。  

トイレに駆け込んで、ドアをガチャッと開けた瞬間――。  

「うおっ、東尋坊!?」
  
目の前には、東尋坊の崖っぷち。

刑事が「なぜ殺したんだ！」って殺人犯を問い詰めてて、犯人が「知らねえよ！」って叫び返してる。

波が「ザバーン！」と岩に打ち付け、風が「ヒュウウ！」と唸ってる。

遠くでカモメが「キーッ」と鳴き、刑事の無線が「ザザッ」と響いてる。

で、俺はいつものように便器ごと、その緊迫の場面のど真ん中にポツンと出現。  

「いや、マジかよ……東尋坊で刑事と犯人の追及中にトイレって、明るいどころか怖すぎだろ！」  

すぐ横では、刑事が「証拠は揃ってる、観念しろ！」って一歩詰めてて、犯人が「崖から落ちてもいいのか！」って逆ギレしてる。

距離、刑事まで3メートルくらい。

海風と塩の匂いが鼻にガンガンくる。

この危険な場所で座ってるだけで、心臓がバクバクだ。

Tシャツが汗でビショビショで、場違い感がやばい。 
 
「見えてるのは俺だけで、向こうからは見えない」ってルール、信じたい。

でもこの近さ、刑事の「吐け！」って怒鳴り声や、犯人の「うるせえ！」って叫びが耳にガンガン入ってくるんだぞ！

崖の空気が冷たくて緊迫してて、便器が岩にドカッと浮いてるのが気まずい。

こんな場面で用を足すとか、羞恥心が東尋坊の崖より深い。

怖すぎて、心が緊張で締め付けられてる。  

腹が限界だ。

時間がない。

こんな場所でミッションとか、心が恐怖と羞恥で爆発しそう。

刑事が「動くな！」って拳銃構える中、俺は必死に腹に力を入れる。
  
「おっ、おっ、おっ……頼む、出てくれ！」  

その時、犯人が俺のすぐ横まで来て、「もう終わりだ！」って崖に近づいた。

やばい、見つかる!?

俺は慌てて息を止めて固まる。

でも犯人、俺をスルーして「撃つなら撃て！」って刑事に吠えて離れた。

見えてねえよな……よな？

でもその瞬間、波が「ドバーン！」と岩にぶつかって、水しぶきが「バシャッ！」と便器に跳ねた。

「うっ！」って声が出そうになったけど、汗だくで堪えた。  

東尋坊の騒音に紛れて、俺の腹が「ぐぅうう」って鳴った。

刑事が一瞬「ん？何だ？」って顔して首傾げた。

やばい、音でバレる!?  

ぷすっ。  

「……ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」  

光がパッと弾けて、俺はアパートの狭いトイレに帰還。

換気扇のブーンって音と便器の安定感が、いつも以上に現実に戻してくる。

全身汗だくで、心がまだ東尋坊の緊迫感で震えてる。

息を整えながら、俺は呟いた。  

「東尋坊の刑事と犯人って……怖い崖の前でトイレとか、心が崩れるだろ……」 
 
考えてみれば、刑事も犯人も俺のこと本当に気づいてなかったよな？

「何だ？」は偶然だろ。

でも、あの追及の中でやった事実は消えねえ。

俺のメンタル、もう東尋坊の波みたいに荒れてるよ。  

「ったく、次はどこだよ……もう怖すぎるとこはマジで勘弁してくれ」  

腹痛の原因は忘れたけど、当分食う気しねえと思いながら、俺はトイレのドアをそっと閉めた。

でも、次に開けるのがやっぱり怖いんだよな、これ。