前代未聞のトイレ異世界転移ファンタジー~うちのトイレは異次元でした。街中は勘弁してください。いや、そこもちょっと!~

本能寺から始める常陸之介寛浩

文字の大きさ
190 / 234

第186話:ヤンデレちゃんの家のトイレで緊迫の危機!? もう逃げ場ねえよ、この恐怖!

しおりを挟む
 俺の名前は佐藤太一、18歳。
 コンビニ飯が大好きで、それが原因で腹を壊しがちな、ごく普通の高校生だ……と言えたらどんなに楽か。
 最近はコンビニ弁当だけじゃなく、友達の手料理でも胃をやられてる俺の運命が恨めしい。
 俺の日常は、引っ越し先のアパートに備え付けられた曰く付きトイレのせいで、完全にカオスと化してる。  
 トイレのドアを開けた瞬間、どこか知らない場所に便器ごと転移して、用を足さないと戻れない仕様。
 もう何回目か分からないけど、毎回メンタルが削られる。
 このトイレ、俺の状況とか感情とか完全に無視して転移先決めるっぽいし、引っ越した当初は「駅近で家賃安い、ラッキー!」なんて浮かれてた自分が恨めしい。  
 昨日はアルプスの草原で牛と羊をパニックに陥れて牧歌的風景をぶち壊した。
 その前は大阪万博開会式で歴史をカオスに変えたし、毎回毎回が試練だ。
 なのに、今日もまた腹がゴロゴロ鳴ってる。
 原因は昨夜の飯だ。
 半額の「激辛スープカレー」を食っただけじゃなく、彩花が「太一くんに温まってほしいな!」って持ってきた手作り激辛キムチシチューも一緒に食っちまった。
 コンビニの辛さと彩花の優しさ(と辛さ)が胃の中で暴れてる感じだ。
 シチュー飲んだ瞬間、喉が焼けるかと思ったけど、彩花の「美味しいでしょ?」って笑顔見たら断れなくて、結局全部飲み干しちまったんだよ。  
 学校から帰って少しテレビ見てたけど、我慢の限界が来た。
 胃が「ギュルルル!」って唸ってて、冷や汗が止まらない。
 仕方なくトイレに駆け込んだら、ドアを開けた瞬間――
 見慣れたタイルと、微かな香水の匂いが鼻をついた。
 目の前にはただのトイレ、でもどこか妙に緊張感漂う空間。
 俺の便器は、そのトイレのど真ん中、洗面台の横にポツンと出現。
 そして、ドアの向こうから聞き覚えのある声が響いてきた。  
「太一……やっと会えた……」  
 低い、ゾクッとする声。
 佐々木美咲だ。
 俺に妙に執着するヤンデレ気質のクラスメイトで、過去にも何度も俺の危機を演出してきたヤバい奴。
 ここが美咲の家のトイレだって気づいた瞬間、背筋が凍ったよ。  
「うおっ、ただのトイレ!? いや、美咲の家かよ!?」  
 トイレは狭くて、清潔感ある白いタイルとピンクのカーテンが目に入る。
 洗面台には美咲の歯ブラシと、俺の写真が貼られた怪しげなメモが置いてある。
 ドアの隙間から美咲の気配がビンビン伝わってきて、「太一……どこにも行かせないよ……」って呟きが聞こえる。
 普通のトイレのはずなのに、ヤンデレの気配でホラー映画みたいになってるよ。
 俺の便器が美咲のプライベート空間にドーンと浮いてて、いつもなら笑える状況も今回は恐怖しかない!  
「こんなとこで用を足すとか、マジで無理ゲーだろ……!」  
 腹痛は待ってくれない。
 スープカレーの辛さと彩花のキムチシチューのスパイスが下腹部をギュルギュル締め付けてきて、冷や汗が止まらない。
 でもさ、美咲の家のトイレで、どうやって集中しろって言うんだよ!
 ドアの向こうで美咲が「太一、私だけでいいよね?」って呟きながら何かガサガサ動いてる。
 洗面台のメモには「太一の予定」「太一の好きなもの」って細かく書いてあって、俺の名前が赤ペンでハートマークで囲まれてる。
 ヤンデレの執着が空気を重くしてて、腹痛より恐怖が勝ちそうになるよ!  
「いやいや、落ち着け俺。『俺からは見えてるけど、向こうからは見えない』がルールだろ?」  
 そう自分に言い聞かせて、深呼吸する。
 でもその瞬間、腹が「グゥゥゥ!」ってデカい音立てちまった。
 トイレが一瞬静まり返って、ドアの向こうから美咲の「太一!?」って声が響く。
「今のは太一の声だよね? やっと会えた……!」ってドアノブがガチャガチャ動き出す。
 見えてないはずなのに、腹音でバレかけてて、俺、自分の腹に「ヤンデレの前で鳴くなよ!」って心の中で叫んでるよ!  
「やばい、やばい、やばい! 早く終わらせないと精神持たねえ!」  
 腹に全神経を集中させる。
 おっ、おっ、おっ、なんとか出そう……よし、気合入れろ!
 ブッ。  
「……うっ、音がトイレに爆音で響いた!」  
 狭い空間に音が反響して、ドアの向こうで美咲が「太一の音だ! 可愛い……!」って変なテンションで叫ぶ。
「この匂いも太一だよね? 全部受け入れるよ……」ってドア叩き始める。
 見えてないはずなのに、匂いが漂ってきて完全にバレてるじゃん!
 ドアノブが「ガチャガチャ!」って激しく動いて、「太一、隠れてても無駄だよ!」って美咲の声が迫ってくる。
 洗面台の鏡に映る俺の便器が妙にシュールだけど、ヤンデレの執念が恐怖でしかない。
 ドアが「ドンッ!」って揺れて、美咲が「太一、私とずっと一緒だよね?」って呟く声がホラーすぎるよ!  
「待て待て、俺はここにいるだけだって! ……って、逃げ場ねえ!」  
 いつもなら笑えるシュールさが今回は緊迫感に変わってる。
 美咲が「太一の全てが欲しい……」ってドアに何か擦りつけてる音が聞こえてきて、背筋がゾクゾクする。
 トイレの狭さが逆に逃げ場を奪ってて、腹痛と恐怖が混ざって頭おかしくなりそうだよ!
 美咲が「ドア開けたら太一がいるよね? 楽しみだな……」って笑い声上げてるけど、俺、見えてないはずなのに捕まる危機しかない。
 このままじゃミッションクリアしても精神が持たねえよ!  
「いや、美咲、ごめんって! ……って、どうすりゃいいんだよ!」  
 ポチャン。  
「よっしゃ、出た! 終わった! ……って早く帰してくれ!」  
 次の瞬間、頭の中にいつもの声が響く。
「ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」  
 光に包まれてアパートのトイレに戻った瞬間、便器の冷たい感触と換気扇の微かな音にホッとする。
 心臓バクバクで息を整えながら、俺は便器に座ったまま放心状態で「うわあ……」って呻く。
 笑う余裕なんてなくて、美咲のヤンデレ気配に追い詰められた恐怖がまだ体に残ってるよ。  
「本当に何でこんなトイレ付きの部屋に住んじまったんだろ……」  
 汗だくで呟く。
 美咲の家のトイレでヤンデレに追われるなんて、俺の人生ハードすぎるだろ。
 今回は遥や彩花たちじゃなく、美咲の執念だけが相手だったけど、その分緊迫感がヤバかった。
 あの狭いトイレで耐えた俺、よくやったよ……いや、やりたくなかったよ!  
「ったく、次のトイレはどこに飛ばされるんだよ……」  
 腹痛が収まったことに感謝しつつ、俺はトイレのドアをそっと閉めた。
 次に開けるのが怖い。
 でもスープカレーとキムチシチューの残りがまだ胃で暴れてる気がするし、またすぐ来るかもしれない。
 コンビニ飯も彩花の手料理も、やめたいけどやめられないんだよな。
 安いし美味いし、優しさも嬉しいし、つい食べちゃうんだよ。  
 考えてみれば、このトイレのせいで歴史や平和な場所をめちゃくちゃにしてきたけど、今回は身近な恐怖に放り込まれたよ。
 美咲の「太一、私だけでいいよね?」って声が頭から離れねえよ。
 あのドアが開く前に帰れてよかったけど、ヤンデレの家のトイレって何だよ。
 美咲が知ったら俺のトイレに何か仕掛けてくるんじゃないかとビビるよ。
 とりあえず水飲んで落ち着こう。
 次はどんな場所に飛ばされるか分からないけど、ヤンデレから離れてほしい……って、無理か。
 このトイレ、絶対また何かやらかす気だよ。  
 少し深呼吸して、心を落ち着かせたいけど、この胃じゃ無理だろうな。
 コンビニの激辛と彩花のスパイスが俺を離してくれねえ。
 美咲の家のトイレのピンクのカーテンと赤ペンのメモが頭に残ってて、ちょっとトラウマになりそうだよ。
 美咲、ごめんな。
 お前の家のトイレでやらかしちまったよ。
 次は頼むから普通の場所に飛ばしてくれ……って、期待しても無駄か。  
 とりあえず、今日はもうトイレ行きたくない。
 でも腹の調子がそんな願い聞いてくれるわけないか。
 美咲のトイレで生き延びただけでも褒めてくれよ、自分。
 あのヤンデレの気配の中でミッションクリアしたんだからさ。
 次はどんな恐怖が待ってるか分からないけど、もう慣れた……いや、慣れねえよ!  

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

あだ名が242個ある男(実はこれ実話なんですよ25)

tomoharu
児童書・童話
え?こんな話絶対ありえない!作り話でしょと思うような話からあるある話まで幅広い範囲で物語を考えました!ぜひ読んでみてください!数年後には大ヒット間違いなし!! 作品情報【伝説の物語(都道府県問題)】【伝説の話題(あだ名とコミュニケーションアプリ)】【マーライオン】【愛学両道】【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】【トモレオ突破椿】など ・【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】とは、その話はさすがに言いすぎでしょと言われているほぼ実話ストーリーです。 小さい頃から今まで主人公である【紘】はどのような体験をしたのかがわかります。ぜひよんでくださいね! ・【トモレオ突破椿】は、公務員試験合格なおかつ様々な問題を解決させる話です。 頭の悪かった人でも公務員になれることを証明させる話でもあるので、ぜひ読んでみてください! 特別記念として実話を元に作った【呪われし◯◯シリーズ】も公開します! トランプ男と呼ばれている切札勝が、トランプゲームに例えて次々と問題を解決していく【トランプ男】シリーズも大人気! 人気者になるために、ウソばかりついて周りの人を誘導し、すべて自分のものにしようとするウソヒコをガチヒコが止める【嘘つきは、嘘治の始まり】というホラーサスペンスミステリー小説

生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!

mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの? ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。 力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる! ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。 読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。 誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。 流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。 現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇 此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。

「いっすん坊」てなんなんだ

こいちろう
児童書・童話
 ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。  自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・           

笑いの授業

ひろみ透夏
児童書・童話
大好きだった先先が別人のように変わってしまった。 文化祭前夜に突如始まった『笑いの授業』――。 それは身の毛もよだつほどに怖ろしく凄惨な課外授業だった。 伏線となる【神楽坂の章】から急展開する【高城の章】。 追い詰められた《神楽坂先生》が起こした教師としてありえない行動と、その真意とは……。

猫のモモタ

緒方宗谷
児童書・童話
モモタの出会う動物たちのお話。 毎月15日の更新です。 長編『モモタとママと虹の架け橋』が一番下にあります。完結済みです。

ノースキャンプの見張り台

こいちろう
児童書・童話
 時代劇で見かけるような、古めかしい木づくりの橋。それを渡ると、向こう岸にノースキャンプがある。アーミーグリーンの北門と、その傍の監視塔。まるで映画村のセットだ。 進駐軍のキャンプ跡。周りを鉄さびた有刺鉄線に囲まれた、まるで要塞みたいな町だった。進駐軍が去ってからは住宅地になって、たくさんの子どもが暮らしていた。  赤茶色にさび付いた監視塔。その下に広がる広っぱは、子どもたちの最高の遊び場だ。見張っているのか、見守っているのか、鉄塔の、あのてっぺんから、いつも誰かに見られているんじゃないか?ユーイチはいつもそんな風に感じていた。

会社員だった俺が試しに選挙に出てみたら当選して総理大臣になってしまった件 権力闘争編

もっちもっち
経済・企業
世界を混乱に貶めたパンデミック。 それは、民自党を救い、新革党を窮地に追いやった。 結果、新革党党首渦川俊郎は死に、古味良一達新革党は 民自党に吸収される。 そうして、紆余曲折はあったが、古味は緒川順子と結婚し、晴れて与党の政治家となる。 しかし、順風満帆と見えた古味たちに、今度は今までと違う、権力闘争という嵐が迫っていたのであった。 古味良一・・・新革党が吸収され、与党民自党の代議士になる。 古味順子・・・古味の妻兼後援会長。 水本上親・・・地域政党地方の風の党首。今や古味の一番の盟友(本人は結局町議に逆戻り)。息子がいる。 秋屋誠二・・・民自党の重鎮。次の政権を狙う。 水園寺義光・・・民自党の代議士。古味より上と思っている。 阿相元春・・・現内閣総理大臣。古味順子の実の父。 門関幸太郎 ・・・元内閣総理大臣にして政界十常侍の別格。

処理中です...