前代未聞のトイレ異世界転移ファンタジー~うちのトイレは異次元でした。街中は勘弁してください。いや、そこもちょっと!~

本能寺から始める常陸之介寛浩

文字の大きさ
195 / 234

第191話:十和田湖の静寂でまさかの大波乱!? もう恥ずかしくて湖に沈みたいよ!

しおりを挟む
 俺の名前は佐藤太一、18歳。
 コンビニ飯は嫌いじゃないけど、最近は控えめにしてるつもりだ。
 友達の手料理も、なるべく優しい味を選びたいけど、なかなかそうもいかねえ。
 それでも俺の胃は、たまのスパイスや変な食い物でやられちまう。
 俺の日常は、引っ越し先のアパートに備え付けられた曰く付きトイレのせいで、完全にカオスと化してる。  
 トイレのドアを開けた瞬間、どこか知らない場所に便器ごと転移して、用を足さないと戻れない仕様。
 もう何回目か分からないけど、毎回メンタルが削られる。
 このトイレ、俺の状況とか感情とか完全に無視して転移先決めるっぽいし、引っ越した当初は「駅近で家賃安い、ラッキー!」なんて浮かれてた自分が恨めしい。  
 昨日は大間崎のマグロ祭りで、祭りの活気をぶち壊してしまった。
 その前は小樽の赤レンガ倉庫街でノスタルジーを台無しにしたし、毎回毎回が試練だ。
 なのに、今日もまた腹がゴロゴロ鳴ってる。
 原因は昨夜の飯だ。
 美月が「太一、たまには優しい味でいいよね?」って持ってきた手作りカレーパンだ。
「辛えの控えたよ!」って言ってたけど、隠し味のスパイスが効きすぎてたのか、胃がビックリしたみたいだ。
 カレーパン自体は美味かったけど、食べ終わった後にじわじわ来る感じで、「やっぱり美月の料理は油断ならねえ」って実感したよ。
 それに加えて、最近この転移トイレに振り回されすぎてストレス溜まってたから、ついコンビニで「腸活ヨーグルトバー」ってのを買って食っちまった。
「トイレにちなんだ食い物なら運気上がるかも!」なんてバカなこと考えたのが間違いだった。
 ヨーグルトの酸味とカレーパンのスパイスが胃の中でケンカしてる感じだ。  
 学校から帰って少しマンガ読んでたけど、我慢の限界が来た。
 胃が「ギュルルル!」って唸ってて、冷や汗が止まらない。
 仕方なくトイレに駆け込んだら、ドアを開けた瞬間――
 湖の水面の匂いと、静かな鳥のさえずりが鼻と耳に飛び込んできた。
 目の前には青森県十和田湖、静謐な湖畔の風景。
 俺の便器は、その湖畔のど真ん中、観光客が集まる展望デッキの脇にポツンと出現。  
「うおっ、十和田湖!? めっちゃ静かじゃん!?」  
 周りには十和田湖の青い水面がキラキラ光り、遠くの山々が緑に覆われてる。
 湖畔には観光客が「きれいだね~!」って写真撮りながら歩いてて、カップルが「落ち着くね」ってベンチで寄り添ってる。
 近くの木々から「ピピピ!」って鳥の声が響き、空は薄い雲がゆっくり流れてる。
 静かで穏やかなこの風景の中に、俺の便器がドーンと浮いてて、まるで俺が湖畔の新名物みたいになってるよ。
 十和田湖の神秘的な雰囲気が俺の便器でぶち壊しになってて、どうしていいか分かんねえよ!  
「こんなとこで用を足すとか、マジで無理ゲーだろ……!」  
 腹痛は待ってくれない。
 美月のカレーパンとヨーグルトバーの組み合わせが下腹部をギュルギュル締め付けてきて、冷や汗が止まらない。
 でもさ、十和田湖の静寂の中で、どうやって集中しろって言うんだよ!
 カップルが「ここでプロポーズしたいな」って囁き合ってるし、観光客が「この湖、神秘的!」ってスマホでパシャパシャ撮ってる。
 湖面の「チャプチャプ」って音と鳥のさえずりが耳に響いてて、静かすぎるこの状況が逆に焦りを増してくる。
 おじいさんが「何か変な感じするな?」って俺の便器の方チラ見してるけど、見えてないはずだよな……?  
「いやいや、落ち着け俺。『俺からは見えてるけど、向こうからは見えない』がルールだろ?」  
 そう自分に言い聞かせて、深呼吸する。
 でもその瞬間、腹が「グゥゥゥ!」ってデカい音立てちまった。
 湖畔の静寂が一瞬止まって、カップルが「え、何!?」って振り返る。
「鳥の声?」って彼氏が誤魔化すけど、彼女が「いや、なんか変だったよ?」って首かしげる。
 観光客のおばさんが「腹減ったかな?」って笑うけど、俺の腹音がバレかけてて、心臓バクバクだ。
 見えてないはずなのに、こんな神秘的な場所で注目されるなんて、俺、自分の腹に「十和田湖の静けさ壊すなよ!」って心の中で叫んでるよ!  
「やばい、やばい、やばい! 早く終わらせないと精神持たねえ!」  
 腹に全神経を集中させる。
 おっ、おっ、おっ、なんとか出そう……よし、気合入れろ!
 ブッ。  
「……うっ、音が湖畔に爆音で響いた!」  
 静かな湖面に音が反響して、観光客が「うわっ!?」って飛び上がり、おじいさんが「何だ!?」って杖握りしめる。
 見えてないはずなのに、匂いが漂ってきて完全にバレてるじゃん!
 カップルが「え、臭い!」って鼻つまみ出し、子供が「誰かオナラした!」って笑い出す。
 おばさんが「湖の匂いじゃないよね?」って困惑し、ガイドが「皆様、落ち着いて! 自然の音です!」って必死に誤魔化す。
 鳥が「ピーッ!」って一斉に飛び立ち、湖面が「ザワザワ!」って揺れる。
 湖畔全体が「謎の音と匂い」でざわつき始めて、俺、この神秘的な風景を台無しにしちまった罪悪感で頭おかしくなりそうだよ!
 ガイドが「十和田湖は神秘の湖です、静かに!」って叫ぶけど、誰も聞いてねえ。  
「待て待て、俺は自然じゃねえって! ……って、どうにもならねえ!」  
 いつもならシュールで笑える状況も、今回は十和田湖の静けさを汚した焦りと羞恥しかない。
 カップルが「せっかくのデートが……」ってケンカ始め、子供が「オナラ湖だ!」って走り回る。
 観光客が「これも十和田湖の神秘か?」って笑ってるけど、俺のせいで「十和田湖オナラ事件」なんて語られたらどうすんだよ!
 この湖の聖なる雰囲気が俺のせいで汚れちまった罪悪感で、笑うどころか湖に沈みたくなるよ!  
「いや、十和田湖、ごめんって! ……って、早く帰らせてくれ!」  
 ポチャン。  
「よっしゃ、出た! 終わった! ……って恥ずかしくて死にそう!」  
 次の瞬間、頭の中にいつもの声が響く。
「ミッションクリアー、通常トイレに戻ります」  
 光に包まれてアパートのトイレに戻った瞬間、便器の冷たい感触と換気扇の微かな音にホッとする。
 心臓バクバクで息を整えながら、俺は便器に座ったまま放心状態で「うわああ……」って呻く。
 笑う余裕なんてなくて、十和田湖の静寂をぶち壊した羞恥がまだ体に残ってるよ。  
「本当に何でこんなトイレ付きの部屋に住んじまったんだろ……」  
 汗だくで呟く。
 十和田湖の湖畔で神秘を台無しにするなんて、俺の人生ハードすぎるだろ。
 今回は遥や彩花たちが出てこなくて一人だったけど、観光客のざわめきと湖の静けさが俺を追い詰めた。
 あの展望デッキの脇で耐えた俺、よくやったよ……いや、やりたくなかったよ!  
「ったく、次のトイレはどこに飛ばされるんだよ……」  
 腹痛が収まったことに感謝しつつ、俺はトイレのドアをそっと閉めた。
 次に開けるのが怖い。
 でも美月のカレーパンとヨーグルトバーの残りがまだ胃で暴れてる気がするし、またすぐ来るかもしれない。
 コンビニ飯や激辛、トイレにちなんだ食い物は控えめにしたいけど、つい手が伸びちまうんだよな。
 美味いし、友情も嬉しいし、つい食べちゃうんだよ。  
 考えてみれば、このトイレのせいで歴史や観光地をめちゃくちゃにしてきたけど、今回は湖の聖域を汚しちまったよ。
 あの十和田湖の青い水面と鳥のさえずりが頭から離れねえよ。
 十和田湖、ごめんな。
 お前の静けさをぶち壊しちまったよ。
 次は頼むから穏やかな場所に飛ばしてくれ……って、期待しても無駄か。  
 少し落ち着いて、深呼吸したいけど、この胃じゃ無理だろうな。
 美月のスパイスとヨーグルトの腸活パワーが俺を離してくれねえ。
 十和田湖の湖畔と風の音が頭に残ってて、ちょっと癒される気分になるけど、思い出したら羞恥で震えるよ。
 次はどんな場所に飛ばされるか分からないけど、少しでも静かな場所を願いたい……って、無理か。
 このトイレ、絶対また何かやらかす気だよ。  
 ヨーグルトバーみたいなバカな食い物、もうやめようと思ったけど、コンビニで見たらまた「腸活!」って誘惑されそうで怖いよ。
 このトイレのせいで食い物の選択までおかしくなってるんだから、俺の胃とメンタル、どうなってんだよ。
 とりあえず、今日はもうトイレ行きたくない。
 でも腹の調子がそんな願い聞いてくれるわけないか。
 十和田湖でやらかしただけでも褒めてくれよ、自分。
 あの湖畔のど真ん中でミッションクリアしたんだからさ。
 次はどんな試練が待ってるか分からないけど、もう慣れた……いや、慣れねえよ!  

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

あだ名が242個ある男(実はこれ実話なんですよ25)

tomoharu
児童書・童話
え?こんな話絶対ありえない!作り話でしょと思うような話からあるある話まで幅広い範囲で物語を考えました!ぜひ読んでみてください!数年後には大ヒット間違いなし!! 作品情報【伝説の物語(都道府県問題)】【伝説の話題(あだ名とコミュニケーションアプリ)】【マーライオン】【愛学両道】【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】【トモレオ突破椿】など ・【やりすぎヒーロー伝説&ドリームストーリー】とは、その話はさすがに言いすぎでしょと言われているほぼ実話ストーリーです。 小さい頃から今まで主人公である【紘】はどのような体験をしたのかがわかります。ぜひよんでくださいね! ・【トモレオ突破椿】は、公務員試験合格なおかつ様々な問題を解決させる話です。 頭の悪かった人でも公務員になれることを証明させる話でもあるので、ぜひ読んでみてください! 特別記念として実話を元に作った【呪われし◯◯シリーズ】も公開します! トランプ男と呼ばれている切札勝が、トランプゲームに例えて次々と問題を解決していく【トランプ男】シリーズも大人気! 人気者になるために、ウソばかりついて周りの人を誘導し、すべて自分のものにしようとするウソヒコをガチヒコが止める【嘘つきは、嘘治の始まり】というホラーサスペンスミステリー小説

生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!

mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの? ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。 力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる! ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。 読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。 誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。 流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。 現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇 此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。

「いっすん坊」てなんなんだ

こいちろう
児童書・童話
 ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。  自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・           

ノースキャンプの見張り台

こいちろう
児童書・童話
 時代劇で見かけるような、古めかしい木づくりの橋。それを渡ると、向こう岸にノースキャンプがある。アーミーグリーンの北門と、その傍の監視塔。まるで映画村のセットだ。 進駐軍のキャンプ跡。周りを鉄さびた有刺鉄線に囲まれた、まるで要塞みたいな町だった。進駐軍が去ってからは住宅地になって、たくさんの子どもが暮らしていた。  赤茶色にさび付いた監視塔。その下に広がる広っぱは、子どもたちの最高の遊び場だ。見張っているのか、見守っているのか、鉄塔の、あのてっぺんから、いつも誰かに見られているんじゃないか?ユーイチはいつもそんな風に感じていた。

笑いの授業

ひろみ透夏
児童書・童話
大好きだった先先が別人のように変わってしまった。 文化祭前夜に突如始まった『笑いの授業』――。 それは身の毛もよだつほどに怖ろしく凄惨な課外授業だった。 伏線となる【神楽坂の章】から急展開する【高城の章】。 追い詰められた《神楽坂先生》が起こした教師としてありえない行動と、その真意とは……。

猫のモモタ

緒方宗谷
児童書・童話
モモタの出会う動物たちのお話。 毎月15日の更新です。 長編『モモタとママと虹の架け橋』が一番下にあります。完結済みです。

独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。

猫菜こん
児童書・童話
 小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。  中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!  そう意気込んでいたのに……。 「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」  私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。  巻き込まれ体質の不憫な中学生  ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主  咲城和凜(さきしろかりん)  ×  圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良  和凜以外に容赦がない  天狼絆那(てんろうきずな)  些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。  彼曰く、私に一目惚れしたらしく……? 「おい、俺の和凜に何しやがる。」 「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」 「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」  王道で溺愛、甘すぎる恋物語。  最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。

処理中です...